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カメラ製造メーカーとして生き残るということ。

10/27、FUJIFILMは主力ミラーレス機2種類の受注停止を発表した。受注停止となるのはX-T5とX-S20で特にX-T5は発売から1年近く経つが高く評価されここ最近もレンズ交換式カメラ売り上げランキング上位に入るほどの人気機種だ。受注停止の理由はインバウンド需要の急増などにより予想を大幅に上回る注文状況で製品の供給が追い付かない状況からとされている。しかし在庫不足による受注停止を発表しているのは日本を含む一部地域でありアメリカの大手販売店では通常通り注文することが可能であるため実際は円安ドル高の影響を受けて国内市場より海外市場を優先するための決断だと考えられる。

カメラメーカーの中でも特に生産能力が低く度々話題になり物議を醸しているFUJIFILMだがなぜ国内市場を見捨てるような決断になってしまったのだろうか。

①圧倒的な円安

全く経済に詳しくないのであまり詳しいことは言えないのだけど現在じわじわと円安になっていて本日ついに1ドル150円を突破した。そして国民の購買能力はどんどん下がっていてカメラに限らず多くの高額な買い物を避けられている。一方円安は海外に輸出販売するメーカーは好都合なのでFUJIFILMに限らず海外市場(主にアメリカ)を優先する企業は多い。円安は日本だけの問題ではないため本当にどうしようもない。

②全体的なカメラ市場の低迷

世界初のフルサイズミラーレスカメラが世に出てもうすぐ10年、一見長いように見えるミラーレス市場の歴史はフィルムなどの他のカメラ市場と比べるととても短く「まだ始まったばかり」な市場とも言える。
しかし残念なことにミラーレスカメラを含むカメラ市場は恐ろしいほど衰退しているためミラーレス市場も縮小へと確実に進んでいる。そのほとんどの理由が高機能なカメラを搭載したスマートフォンの登場。決してスマホカメラをネガキャンするわけではなけどあまり重要度の少ないほとんどの写真はスマホで十分だ。だから一般人のカメラ離れは仕方ない。一般人が離れユーザー層が限られたカメラの値段はどんどん高騰しさらにユーザーが離れるといった悪循環にカメラ業界は入っており簡単に手が出せない趣味となってしまった。となるとその業界の中で規模を維持しつつ生き残ることができるのはせいぜい上位2社程度でありもちろんそこにFUJIFILMは含まれない。生き残るためには規模を狭くすることは必至であり余裕ある経営は衰退を招きかねない。

③FUJIFILMの生き残り戦略が個性的すぎる

6年前フルサイズミラーレスカメラという新分野を作り上げ無双していたSONYに老舗メーカーのCanonやNikonですら苦戦させられていることを目の当たりにしたFUJIFILMは他メーカーのようにフルサイズミラーレスに手を出すことはなく、あえてAPS-Cとラージフォーマットという異色な組み合わせでミラーレス戦国時代を切り抜けることを決断した。この決断が正しかったかどうかはまだわからないが少なくともAPS-C機ではFUJIFILMは成功しているだろう。
しかしかつてミラーレス黎明期にマイクロフォーサーズセンサーで業界を圧倒したオリンパスがかなり売れてしまったが故にマイクロフォーサーズから抜け出せずフルサイズや急成長したスマホカメラに総攻撃を受けてジリ貧となったようにメーカーとして小さいセンサーに全振りすることはあまりにも無謀であるため、より長くカメラメーカーとして生き残るためには大きいサイズのセンサーを搭載したカメラで業界に浸透し売り続ける基盤を持たなければならない。そのためにはGFXシリーズの早急な普及が必須であり比較的調子のいいXシステムを蔑ろにしてでもとりあえずGFXシリーズの開発、普及に力をそそがなければならない。ただでさえ開発や製造の基盤が致命的に弱いFUJIFILMにはそれらを現状のFUJIFILMの活動に加えて行うことは不可能であるため今後も受注停止などの対応は起こりあるだろう。

あくまでも今回の対応は一時的なもの

公式サイトには注文再開を改めて案内すると書いてあるのでそのうち買えるようになるだろう。カメラ業界全体として大変な時期だからこそカメラファンであるならば今回の発表も否定的にとらえるのではなく大きく受け止めるべきではないだろうか。


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