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カスタマーサクセスがぶつかる壁?「価値デリバリー」

久しぶりのnoteは、今後成長していくカスタマーサクセスが、企業が、ぶつかるであろう壁について書きたいと思います。

①ぶつかる壁、それは「価値デリバリー」

11月に開催された、CSカレッジ主催(幹事:丸田 弦心 さん)のBRIDGE登壇時にも、この価値デリバリー×カスタマーサクセスをテーマに、お話をさせていただきました。

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「価値デリバリー」とは、違う言い方をするならば「顧客の状況に応じて、最適な支援(=情報、コンテンツ、関係値構築 等)を最適な形で届けること」

そう、おそらく誰もが直感的には大事であることをわかっていることだし、改めて言われたところで「そりゃそうですね、大事ですよね」となることが大半のことでしょう。

特段新しくない。
でも、これは究極に難しいテーマです。

おそらくですが、多くの企業は、この価値デリバリーをやりきれない「壁」にぶつかっている/これからぶつかっていくのではないか、と感じます。

今日はそのお話を主題に取り上げたいのですが、この話に帰着するのに必要な回り道を少しだけ。
※お急ぎの方は目次③くらいまで飛ばしちゃって下さい。

②価値デリバリーに着目することになる2020年

ベルフェイスのカスタマーサクセス、2020年はぶっちゃけると、大変でした。大変じゃない年なんてないんですが(笑)、やっぱり大変でした。

■ コロナによる市況の急激な変化に、プロダクトの変化が追いつききらない
■ 年初20名弱だったCS組織が、最大時70名弱程の組織になっていた(社内異動などもあり、2021年1月頭は56名体制)

端的に言うならば、このあたりが大変さを生んだ最大の要因だったと感じます。この2点が絡み合いながら、波状攻撃をしてくるもんだから、なかなかなものでした。ちょっとは手加減して!!!

★市況の急激な変化と追いつききらないプロダクト
コロナという驚異は皆様もご存知の通り、ビジネスシーンにも大きな影響を与えました。

書ききれないほどの影響がありますが、ベルフェイスにとって1番影響があったのは「多くのビジネスパーソンの、商談や打ち合わせが急速に『オンライン型』に移行したこと」だと思います。コロナがもたらす負と戦うために試行錯誤し、致し方ない部分もはらみながら、社会が変化していきました。イノベーションが起きたのです。

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今では例えばZoomを、Google meetを、Teamsを、その他オンラインで打ち合わせができるツールを、まったく聞いたことがない!触ったことがない!というビジネスパーソンはちょっと少なくなってきているのではないでしょうか。

これまでオンラインで商談をするツールとしてbellFaceは市場に価値を届けていました。そんな中、ビジネス誌でも「コロナで伸びる銘柄」というカテゴリで紹介を受けたりもします。実際に今、お引き合いも多く頂き、多くのお客様に選んで頂いています。

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今回は主題とずれるため多少割愛しますが、bellFaceは単なるオンライン商談ツールとしてだけではなく、営業データを記録・可視化・分析することを価値の1つとしているプロダクトです。手前味噌ではありますが、体感した方に「Wow!!」をもたらせるものとなっています。

ただ、先述の通り、コロナによる社会の変化は、あまりに急速でした。
そのスピードに、営業データを記録・可視化・分析する機能の成熟が追いつききっていない部分や、顧客に紹介しきれていない部分がありました。

結果、何が起きるかというと、他のオンラインで商談や打ち合わせができるツールと比較された時に「で、bellFaceは、他のツールと比べた時に何が違うんだっけ?」ということを問われるシーンが増えるわけです。

もちろん問われたらば、コンセプトや提供している機能など、かなり違うわけですが、そこに続けて…

★重なる組織の急拡大
ベルフェイスは組織全体の人員が去年の4倍(おおよそ80名→320名)になっています。文章に書き起こすとしみじみと「え、まじ?www」とか思うわけですが…(笑)

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その中でカスタマーサクセス組織も比例するように、2020年初は20名ほどだった組織が、最大70名(今は56名)になっていました。

言い訳にしてはいけませんが、会社もできてからまだ5年半のベンチャーです。これまでがむしゃらに走ってきた結果、全体でもCSでも、育成の仕組みやマニュアルなどが完備されているわけではありませんでした。

それに対して、組織構成の6~8割は「新しく入ったメンバー」という状態です。そうなると、会社やプロダクトの理解度、カスタマーサクセスとしての習熟度などにも、ムラが出てきてしまうわけですね。そりゃそうだ!

プロダクトが追いついていない
×
育成が追いついていない
×
顧客をケアしきれる仕組みがつくりきれていない・やりきれていない

こんな状態です。

たくさん活用してくださった顧客や、残念ながら解約をしていく顧客にそれぞれインタビューを重ねていく中で「あれ?顧客に価値、届いてなくない?」と感じることが増えてきていたのです。

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みなさんもサービスを提供している中、自社サービスの価値が届けきれていない…と感じること、ありませんか?

「新しい機能やコンテンツが認知されていない…」
「知られてはいるけど、使われていない…」
「知られているし、使ってみてもらったけど、顧客の課題を解決できていない…」
などなど。

ベルフェイスのカスタマーサクセスも、改めて顧客に価値を届けることを見つめ直し、考え直します。


③価値デリバリー、何が問題として起きる?

事業(bellFace)が顧客に届ける価値は、大分すると3つだと考えます。

① プロダクト
② コンテンツ
③ ヒト・リレーション

品質高く、顧客が使いやすいプロダクトが有り…
付帯するTips・資料や、メディアや、イベントなどのコンテンツが有り…
顧客のことを理解し、成果を出す支援を続けるヒトとリレーションが有り…

これらがすべて合わさったものが「提供するサービス(=価値)」です。

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当社では広域型の支援として「プロダクトそのもの」と「カスタマーマーケティング」という要素があります。

わかりやすい例で言えば、サービスサイトにメッセージを出してみたり、メルマガで案内を出してみたり…というものです。

ただこれらは、顧客からすると距離が遠すぎたり、個別カスタマイズ性も弱いため、ただただリリースするだけでは認知がされづらいものです。
ここまではある意味既知ではあったのですが、、、

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もう1つ起きていた課題は、これらの内容をCS内でも上手く認知できていないことがあったり、理解のムラが生まれていたことです。

そうなんです、社内ですら「価値デリバリーの不足」が起きていました。

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日々色んな機能、色んなコンテンツを用意していっています。
ただ、それらは社内チャットでポン!と投下されたり、会議でちょっと触れる…ということに留まっていることも多々ありました。

コロナ禍、出社するメンバーも激減し、チャットでのコミュニケーションが一層多くなる中、情報も多くてキャッチしきれない…ということも掛け合わさりました。

結果として、担当顧客を持つカスタマーサクセスから、顧客に届ける情報にもムラが出てきます。

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上手く理解が深まっていない中情報を届けることもあれば、そもそも情報のキャッチすらできておらず、案内自体ができていない…ということも。

プロダクトやコンテンツからすると「必要だと思ったから頑張ってリリースしたけど、案内してくれているのか?反応はどうなんだろうか?」となります。

ヒト・リレーションからすると「ポン、と投げられた新機能や新コンテンツって、何で生まれたの?内容もよくわかってないけど…」となっていたわけです。

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お互いの頭の上に「?」がつくような状態でした。完全に価値デリバリーの連携ができておらず、うまく循環ができていません。

④だから、価値デリバリーは2ステップ!

この反省点から、「顧客へ届ける前に、社内へ理解・浸透をやりきらないといけない」ということを強く意識します。

実際に行動の変化として、月曜日に1時間「価値デリ共有会」という時間を設け、実施しています。

これにはカスタマーサクセス全員を招集していますが、開催自体を定例・型化することで、この時間への参加を促すことと、形骸化しないようにしています。

価値デリ共有会では、プロダクトとカスタマーマーケティングが毎週交代交代で

■新しい機能(コンテンツ)はなぜ生まれたのか。内容や背景。
■どんな顧客の、どんな負を解決するものなのか
■その機能(コンテンツ)は顧客にとってどういう価値があるか

と言ったような内容を、きちんと資料もつくりこんでプレゼンテーションします。また、開催後には必ずアンケートもセットです。

1:顧客に対して価値があると感じた/顧客への届け方のイメージがわいた
2:顧客に対して価値があると感じた/顧客への届けるイメージはまだわいていない
3:顧客に対して価値があると感じづらかった/顧客への届け方のイメージはわいた
4:顧客に対して価値があると感じづらかった/顧客への届け方のイメージはまだわいていない

 └&上記回答の理由

これらを収集することで、社内に対してどれくらい理解されたかどうかを見ながら、次回のアウトプットの精度を上げることにも参照します。

また、場合によって顧客に価値がないものである、と社内から判定を受けた場合には、リリースを差し戻すケースもあると考えています。

今後は開催後ワークショップの時間も設け、価値デリ共有会で受けた内容を基に、顧客へ提案する時のプレゼン内容をつくる&社内でプレゼンする…ということもやりたいと考えています。

なぜなら、社内から社内にデリバリーした後には、顧客へのデリバリーが待っていますので、ここのクオリティを上げる施策もセットでやっていかねば片刃落ちだからです。現時点まだここまで手が回っておらず口惜しい限りですが、実施したいと考えています。

この構想をはじめ、組織体制や役割分担の変更も着々と進行しており、顧客への価値デリバリーをやりきりMAXできる未来に向けて、一歩ずつ進めていきます。このあたりの進捗や結果はまた、どこかで。

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顧客の状況に応じて、最適な支援(=情報、コンテンツ、関係値構築 等)を最適な形で届ける=価値デリバリーは、2ステップです。

1.まず社内に価値デリバリーをやりきる(顧客に価値があるものと感じられなければ、議論する・理解を深める・場合によって差し戻す)
2.それを持って顧客に価値デリバリーをやりきる

1と2をやりきる価値デリバリーの実現は、壁があります。
おそらく顧客や組織が大きくなってきたらば、大なり小なりどこかでぶつかるんじゃないかと思います。

そんな壁、みなさんと一緒に切磋琢磨しながらぶち壊していきたいので、このあたりに燃える方がいらっしゃれば、ご連絡下さい。
ぜひ一緒に議論・思考・実行していきましょう!!

カスタマーサクセスに関するnoteを中心に更新しています。これからも、よろしくお願いします!