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【#最近の学び】知らなかったテラスハウスとタウンハウス

おかげさまで、交通新聞社「さんたつweb」での連載『宅建デートは突然に!』も、“落とす”ことなく続いております。
最新号はこちらです。

今回もそうですが、実際に街をぶらぶらしてみると、いまさらながらですがあらためて学ぶことがあります。
連載にも書いておりますが、こちらでも記してみます。
宅建士のみなさん、これらの違い、おわかりになりますか。

テラスハウス。
タウンハウス。

宅建試験での出題はないと思いますが、宅建士として実務に携わっている宅建ダイナマイターズの皆さんだと、この手の物件にもしかしたらどっかで出くわすかも。
なので知っておいたほうがいいかも。

・・・とえらそうなことを言っておりますが、ワタクシもくわしくなかったものですから、ちょっと深掘りしてみました。


1.タウンハウスってなんだ?

連載ではこういう振りにしてます。

「あ、壁がくっついているね」
エルボーが“発見”した建物は、いわゆる『タウンハウス』とか『テラスハウス』といわれているもので、日本語でいうと『連棟式建物』だ。
さて問題です。
この場合、どこまでをどういうふうに“独立した建物”として扱うのか。
つまり所有権などの権利の対象となるのは、どの“部分”か、ですね。

宅建デートは突然に!
2つ以上の住宅が壁を共通して連なっている。

タウンハウスとはいわゆる『長屋』のことで、洋風の「タウンハウス」という語感からくるイメージとのギャップがすごいかも!!

国土交通省の建築動態統計調査では、長屋建とは「2つ以上の住宅を1棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への出入口を有しているもの。「テラスハウス」と呼ばれる住宅もここに含まれる」としている。

<建て方>
一戸建
1つの建物が1住宅であるもの。

長屋建
2つ以上の住宅を1棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への出入口を有しているもの。「テラスハウス」と呼ばれる住宅もここに含まれる。

共同住宅
1つの建築物(1棟)内に2戸以上の住宅があって、広間、廊下若しくは階段等の全部又は一部を供用するもの。

国土交通省の建築動態統計調査

なので、見た目はエルボーが言うとおり「あ、壁がくっついているね」となる。

2.「タウンハウス」と「テラスハウス」

どの業界での“専門用語”もそうなんでしょうけど、似てて異なる用語って多いですよね。
タウンハウスとテラスハウスなんか、まさに。
両方ともカタカナで洋風なコジャレた感じがするしね。
場合によっては、なんか“ステキなお家”的な。
だがしかし。
いずれも国土交通省でいうところの長屋建で、では、なにがちがうのか。
これは連載でも触れておりますが、土地の権利形態。宅建試験でいうところの“権利関係”ですね。

ここが“ミソ”となりますので、連載ではこういう展開にしております。

「土地の権利はどうなっているのかしら」、とエルボー。
おー、うれしくなりますね。
そんな質問をされるとね。
もちろんそれは登記をみないとなんともいえないけど、ざっくりご説明させていただきますと(笑)。
敷地をみんなで共有しているパターンだと『タウンハウス』。
敷地の境界が明確になっていると『テラスハウス』。
法的な定義じゃないんだけど、そんなふうに言ってます。

宅建デートは突然に!

こんなイメージです。拙い絵ですが(笑)

『タウンハウス』敷地を共有(持分)


『テラスハウス』敷地をそれぞれが持つ(分有)

3.なにがめんどくさいか

元来、日本の権利関係での考え方は、土地と建物はそれぞれ別の物としています。
たとえば土地付き一戸建てを所有していたら、土地だけ、または建物だけを売買することも可能です。
「1つの土地に1つの戸建て」だったら、土地と建物を分離して処分したとしても、関係権利者も少数なので、本人たちの認識があればさほど問題もなかろう。
そのため、土地の所有者を確認するには土地登記簿を、建物だったら建物登記簿を見ることになります。

ところがこれを分譲マンションに当てはめて考えると、メッチャめんどくさいことになる。
一棟の建物を壁・床・天井で区画して、その区画された多数の部分を独立の建物(専有部分)としてそれぞれが所有する(区分所有)というのが分譲マンションです。

上下垂直そして左右に多数の建物がはまりこんでいる。
そんなイメージです。

その建物ごとに所有者(区分所有者)がいます。
そんなマンションが建っている敷地の権利関係はどうなっているかというと、自分が所有している専有部分の床面積の割合(例:1万分の75)に応じて敷地の権利を持つことになります。
つまり、専有部分は区分所有(自分独自のもの)、敷地は共有(例:持分1万分の75)です。
かようなことと次第で、戸建の場合とは異なり多数の権利者がいる分譲マンションで、「建物(専有部分)と土地は分離して処分できる」ということにしておくと、とてもややこしくなります。

そこで、区分所有法ではこういう規定が用意されています。

第22条(分離処分の禁止)
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。

建物の区分所有等に関する法律

ということで、分譲マンションでは「分離処分の禁止」となります。
「土地と建物は別物」ではあるものの、分譲マンションの専有部分(区分所有権)と土地の権利(敷地利用権)を別々に売却することはできません。

「マンションを売った・買った」という場合、マンションの部屋(専有部分)だけ「売った・買った」というのではなく、一般消費者の方だともしかしたらあまり意識しないかもしれませんが、建物とセットで土地の権利(敷地利用権)も「売った・買った」として扱われます。

なので、現状の分譲マンションでは、「部屋だけ持ってて土地はもっていない」というワケのわからん状況は生じないことになっています。

・・・と、ここまでは宅建の受験勉強の復習ですね。

では宅建士のみなさん。

『タウンハウス』と『テラスハウス』の場合、分離処分はできるのでしょうか。

続きは次回。
ちょっと長くなってきたので分けてみます。
次回は、こちらの答えと、そもそも論なのですが、正直にいうとめんどくさいことに巻き込まれる『タウンハウス』と『テラスハウス』が生まれたのか、などを記してみたいと思います。
お時間ありましたらどうぞお付き合いください。

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