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「時」が降ってくる

たまに住んでいる市街から離れて郊外の方に行きます。
なるべくなら全然知らない町に。


最近、生まれ育った町はすっかり様変わりしてしまいました。
もちろん道路などが整備されて清潔になり、スーパーや飲食店、
様々なストアができて経済も活性化しているのはとてもいいことです。


ただやはり、幼い頃の「場所」がどんどん消えていくのは
とても寂しく感じます。

この場合の「場所」というのは公園とか建物とか
広い範囲のものだけではありません。

家と家の間の細い路地。
カラスや野良猫が住処にしている狭い空き地。
ひび割れた道路から生えてくる雑草。

本当に「ちょっとしたもの」なのです。


なぜ郊外に行くかというと、
そういうかつての「ちょっとしたもの」と出会う可能性が高いからです。(元々、知らない町へ行って、知らない店に入って
知らない人に会うのが好き、なのもあります)


ふと、歩いている時。
視界の中に何かを見つけた時。
それは急に蘇ってきます。

それは何かの体験を思い出す、というより
「感情」が浮かび上がります。
今では失った感情。

甘酸っぱいような、胸がいっぱいのような、
変に?幸せなような。


・・・一瞬でも何かが蘇ればその日はとてもいい日です。
実は蘇る日はそんなに多くないですので。


あとは・・・
その日見た「新しい風景」がまた
「新しい記憶」になればいいな、と思っています。

無理に思い出作りにしようとすると、
頭にインプットする作業で疲れてしまうので
ごくごく自然に。見たり聞いたり。

もう子供じゃないけど、
今のなんでもない記憶だって、
将来にどういう形で出てくるか。
ほどほどに期待しています。



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