足部の機能解剖1 〜距骨下関節の臨床応用〜

 足部の機能解剖は非常に複雑である。しかしながら、2足歩行のヒトを相手にする場合、唯一、床に接する足は非常に重要な部位である。


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どの関節でも機能解剖を考えるのに重要なのはその関節の機能的な特徴を考えることである。足であれば、地面に接地しており、2足で立つこと。歩行時に使用されることである。ここを踏まえると、特徴は支持性、衝撃吸収、動作性である。

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特に距骨下関節(以下、STjt)で重要となる考え方は柔らかい足と硬い足です。この機能が、支持性と衝撃吸収に大きな影響を与える。

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柔らかい足と硬い足の違いを作るのはSTjtの変化により、踵骨と距骨の位置が変化し、横足根関節(以下、MTjt)軸の傾きが変化するからである。

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関節軸が平行になるとお互いの軸が関係し合わないので動きを制限しにくくなる。逆に、回外の時のように関節軸が交差していると動きが干渉して制限を作る。

結果的に、回外では可動域が低下して、硬い足になる。回内では可動域が増加して、柔らかい足になる。

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STjtの変化はMTjtを介して、1rayにも影響を与える。STjt回外では可動域低下に伴い、1rayの可動性も低下する。STjt回内では可動性が増加する。

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ここまで話した足部の機能は歩行時にとても重要な役割をしている。歩行時には踵接地時にかかる負荷に対して衝撃吸収する必要がある。また、推進力を産むために蹴り出し時には足部を硬くしてテコのように働く必要がある。(柔らかいと下肢の力が床面に伝わらない。)接地期には回外から回内になることで硬い足から柔らかくして衝撃を吸収する。立脚中期から推進期にかけて回内から回外して足部を硬くする。

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さらに衝撃吸収をするために、膝関節を利用する。膝関節はdouble knee actionにて歩行をスムーズに行っている。一つの目、膝屈曲では接地時にかかる衝撃を吸収する役割があり、その膝関節屈曲は足部からの運動連鎖が関与する。

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理学療法士  さいとう たかし