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スキーボードを楽しむためにまずはスキーボードを知れ

スキーボードを楽しめ。大いに楽しめ。
しかし楽しむためにはまず、スキーボードを知らねばならない。

「スキーボード? スキーの板って意味?」違う。
「スノーボードの言い間違い?」違う。
「スキムボー」違う。

スキーボードだ。skiboard
スキーではないし、スノーボードでもない。

スキーボードはそんなにマイナーなのか?
そんなはずはない! スキー場に行けば、(決して多いとは言えないが)必ず一定数のスキーボーダーを見かける。みんなも見かけているはずだ。見かけているはずだ!

しかし「スキーボード」と言ってすんなり通じることは、まずない。
「短いスキー」と説明を加えれば「あ、それなら知ってる」という反応を得られる。そして「あのゲレンデでくるくる回ってるやつね」と識閾下に沈められていた記憶が読み戻されるのだ。
ここまできてようやく、「あれってスキーボードって呼ぶんだ」と思い至るようである。多くの場合こうだ。
そしてさらに、多くの場合、再び記憶の片隅に追いやられる。

残念ながら「スキーボード」という呼称は、あまり普及浸透していないと言わざるを得ない。

呼称問題

スキーボード」の認知度の低さの原因として、日本ではファンスキーとかショートスキーとか呼び方が定着していないことが考えられる。

なぜか?

理由はよくわからなかった。

しかし繰り返す。
スキーボードだ。skiboard
スキーではないし、スノーボードでもない。

なお、スノーブレードは某メーカの商標なので、無闇に連呼してはいけない。

スキーボードとは?

実は明確な定義や基準がない。(これも良くないのかも。)

成り立ちからいえば「100cm未満の短いスキー」を指すのだが、100cm以上の板を skiboard として製造販売しているメーカもあり、断定し難い。

素材と構造は普通のスキーと同じく、ラミネーテッド(サンドウィッチ)なウッドコアに全周スチールエッジが一般的で、素材や構造からスキーと差別化はできない。

形状も普通のスキーと同じ。ただ短いだけ。
リップ/テール形状は圧倒的にツインチップが多い。なぜなら、ごく当たり前のこととして後ろ向きに滑るからだ。テールカットの板もあるが、少数派だ。
ハイブリッド・キャンバーとかフラット・ロッカーとか、キャンバーとロッカーの良いとこ取りを志向する流れも、スキーと同様だ(スノーボードもそうかな)。

板そのものについては、スキーとの比較でいえば、アルペンよりもフリースタイルに寄るのだと思う。
ゲレンデでの楽しみ方は、スノーボードに近い印象だろうか。
が、その挙動は、スキーともスノーボードとも決定的に異なる。

スキーボードの良いところと悪いところ

短いからこその利点と難点がある。

●利点(1)短いので、取り回しが楽。
●利点(2)軽いので、取り回しが楽。

最大の利点は短くて軽いことによる、取り回しの良さだ。
その取り回しの良さから、ゲレンデでの挙動は自由自在。いやむしろ無軌道という方が正確かもしれない。
取り回しの良さが多彩なトリックを生み、スキーボードに自由をもたらす。
スキーボードは自由だ!
どんな斜面のどんな滑走速度のどんな体勢からでも、あらゆるトリックが可能だ(難易度は変わる)。
普通の長いスキーでは考えられない挙動が可能だし、スノーボードよりも無茶なトリックが可能。

短ければ短いほどこの利点は強まるが、反面難点も強まる。

●難点(1)接地面の面積が小さいので、浮力が小さい。
●難点(2)接地面の面積が小さいので、高速安定性が低い。

短くて軽いゆえの難点だ。利点がそのまま裏返し。
スキーボードは新雪や柔らかい深雪が苦手なのだ。沈む
安定性が低いのも面積故だ。
高速滑走時だけでなく、実は、連続コブも、ビッグエアのランディングも安定しない。
ファットボード(幅の広いボード)ならいくらかマシだが。

もう一つ。最大の難点というか、明確なリスクが。
●難点(3)非解放式ビンディングは怪我をしやすい。

非解放式ビンディングは基本的に何があっても外れないので、高速で転倒したり、エアのランディングに酷く失敗したりすると、膝の靭帯か骨をやられます。こわいね。

もちろん、解放式ビンディングに変えれば、このリスクは簡単に回避できる。
回避できるが、回避していないスキーボーダーが多いのではないかと思う。

遊び方?

板の長さによって変わるだろう。

ロングボード、100~130cmくらいの板の楽しみかたは、ほとんどスキーと変わらない。
高速スラローム、流麗なるカービング、モーグルのごときコブ攻め、ビッグエア。

長さが面積を生み、面積が安定を生む。

ボードは長さを得ることで安定と言うメリットを得る。取り回しの良さが犠牲になるが、得られるメリットは失うものを差し引いても余りある(んん?)。

一方で60~80cm程度のショートボード。短くなるとインラインスケートに近づく。
安定性は犠牲になるが、取り回しの良さは最大を極め、よりアグレッシブなトリックが可能となる。
途切れることなくグラウンドトリックしながら滑走することこそが、スキーボードの醍醐味であると、個人的に思う次第。

なお実際、スキーボーダーはインラインスケーターでもあることが多いように感じる。
実際オレもそうだった

過去形なのは、長く使っていたインラインスケートが壊れて以後、買い換えていないからだ。
もちろん新しいのが欲しいが、限界を超えたスキーボードの新調の方が優先順位が高く、インラインスケートは後回しにせざるを得ない。

最後にミドルサイズ、ごく一般的な80~100cmのボードは、バランスよく、ストイックにスピードやカービングを追究したり、エアを舞ったり、グラウンドでクルクルしたり、いろいろしやすい。

楽しいの?

楽しい! 最高に!

ゲレンデで見かけるスキーボーダーたちも例外なく楽しそうでしょ?

最後に参考動画を挙げて終わろうと思う。
ぜひ観ていただきたい。
ものすごく楽しそうですよ?



だがしかし、残念ながら、オフシーズン……
(北の方に行けばまだ……)

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