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GigEカメラが出すノイズと受けるノイズ

こんにちは~組み込みエンジニアの滝象540です。

今回は、GigEカメラ導入時に工場担当者を苦しめる、電磁ノイズ(ノイズ)についてまとめたいと思います。

大前提ですが、GigEカメラも他の産業用機器も、各国で決められた安全規格に合格しています。「じゃあ、規格準拠した機器を組み合わせて使えばOKだね!」となれば良いのですが、悲しいかな話はそう単純ではありません。トホホ…。

まず、機器ごとに対応規格が違うので、発生するノイズも、ノイズに対する耐性も様々です。

周囲の機器からでるノイズがGigEカメラにとって大き過ぎると、画像の撮像に失敗するなど誤動作が起きます。逆に、GigEカメラがだすノイズが周囲の機器にとって大き過ぎると、周囲機器の誤動作が起きます。

また、古い設備・機器は「老朽化」や「準拠規格が古い」などの理由で、最新規格に準拠している機器よりも発生するノイズが大きい場合があります。

GigEカメラがだすノイズ (エミッション)

ざっくり、ノイズの大きさは消費電力に比例します。GigEカメラの消費電力は最大でも数ワットで、発生するノイズも大きくありません。

そのため、GigEカメラがだすノイズで他の機器が誤作動することは殆どありません。

GigEカメラが受けるノイズ (イミュニティ)

一方で、近くの機器が発生するノイズでGigEカメラが誤作動することは、まあまあ起きます。

根本原因はノイズで共通ですが、発生するトラブルは以下のように色々あります。

・ パソコンからGigEカメラが認識されない
・ 露光時間など撮像パラメータの設定でエラーが発生
・ GigEカメラからパソコンへの画像転送の途中でエラーが発生

GigEカメラのノイズ対策

ノイズでGigEカメラが誤動作したら、慌てず・騒がず粛々と対策していきましょう。

対策①:イーサネットケーブルを短くする
多くの場合、イーサネットケーブルからノイズが侵入します。そのため、ケーブル長を短くすることでノイズの侵入経路を減らすことができます。

対策②:シールド付きイーサネットケーブルを使用
イーサネットケーブルからのノイズ侵入を防ぐために有効です。特に、ケーブルが長い場合や、ノイズ源の近くをケーブルが通る場合に有効です。

イーサネットケーブルにシールドが無い場合、シールドチューブを使って後片付けすることもできます。

対策③:イーサネットケーブルのシールドをアースに落とす
イーサネットケーブルの周りのビニールを取り除き、ケーブルのシールドをアースに接続します。銅箔テープを使うと簡単です。

GigEカメラに近い側と、パソコンに近い側の2か所をアースに落とすのがセオリーですが、どちらか一方でも効果があります。

対策④:困ったときのフェライトコア追加
イーサンネットケーブルにフェライトコアを取り付けます。GigEカメラ側とパソコン側のどちらに取り付けたらよいかは、現場環境に依存します。

ノイズに関する参考情報

少し話がそれますが、ノイズやノイズ対策に関する情報が少なく、情報を得るのに苦労したので、まとめておきます。

書籍
電磁ノイズの発生メカニズム、測定方法、電磁ノイズ対策について、まとまっている書籍があるので、一通りの知識を手に入れることができます。

企業のセミナー
TDKさんなど、ノイズ対策部品メーカが定期的に開催しているセミナーに参加すると、ノイズの知識に加え各種ノイズ対策部品の使い方も学ぶことができます。

現場から
とは言え、電磁ノイズの問題は現場環境の影響を強く受けるので、対策も現場毎に違います。同じ設備の一つでだけ電磁ノイズが問題になったり、ある現場で有効だった対策が別の現場では効果がなかったりします。

その場合、現場測定を請け負ってくれる双信電機さんやトーキンEMCさんなどの専門業者に頼んで、何処からノイズが発生しているか測定してもらうと原因を特定できる場合があります。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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