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アネモネ。または「影をなくした男」の話
■アネモネ
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花の開き具合によっても印象が変わる花。
うっすらと紫がかったところに惹かれて、このアネモネを撮りました。
■「影をなくした男」
「影をなくした男」という小説があります。
『ペーター・シュレミールの不思議な物語』(ペーター・シュレミールのふしぎなぼうけん、Peter Schlemihls wundersame Geschichte)は、1814年に刊行されたアーデルベルト・フォン・シャミッソーの中編小説。幸運の金袋と引き換えに自分の影を失った男の運命を描くメルヘン風の小説であり、ロマン主義文学を代表する作品の1つ。
「ペーター・シュレミールの不思議な物語」という原題ですが、私は「影をなくした男」の方がわかりやすくて好きです。
池内紀さんの訳文も名調子で声に出して読みたくなるし、挿絵もいいんですよね。
岩波文庫のこの本が好き。
この物語の主人公は、お金のために一時の迷いで影を売ってしまいます。
すぐに後悔し、影を取り返そうとするが簡単には行かず・・・。
ごく短い話なので、これ以上書くと面白くなくなります。
岩波文庫で手軽に読めるので、興味のある方はぜひ。
■で、何の話かというと
私タキツネが花の写真を撮り始めて1年くらい経つんですが、実はしばらく「影がない」ことに悩んでいたんです。
ちょうど、「影を無くした男」の主人公のような気持ちでした。
写真を見た人から「あれ、影はどうしたんですか?」と質問されたらどうしようと怯えるような気持ちがあったんですね。
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モノローグの場面でしょうかね。
私の過去の投稿をいくつか見ていただくと、影がくっきり写っているものはほとんどありません。
それはもちろん「影をなくした」からではなく、影が出ないように光を当てているせいです。
細かい撮影環境の話は省きますが、光を反射させて影を打ち消すように撮影することで、影を写さずに写真を撮ることができます。
普通は、このやり方は影を写しなくないときに選択して使うんですが、私は逆にこのやり方しか知らなかったんです。
影を写さない方法だけ覚えて写真を撮っていた結果、「影の出し方が分からない・・・影ってどうやったら出るの・・・?」という悩みを密かに抱えることになりました。
この悩みは厄介でした。
誰にもうっかり言えません。
「ああすみません、ちょっといいですか。影って、どうやったら出るんですか?」
なんて言ってごらんなさい。
「ちゃんとした人間なら、おてんとうさまが出りゃあ影ができるのを知らねえか」
「しかし、あなた」と、画家は言いました。
「どんなはずみで、どう間が抜けていたからといって、自分の影をなくしたりしたのです?」
怪訝な顔で、こう返されてしまうに決まっています。
そんなわけで、私は「影をなくした男」をたっぷり半年くらいはやっていたんです。
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色と模様が付けられたのが嬉しくて撮った。
■(誰向けの?)釈明
もちろん、真正面から光を当てれば後ろに影はできます。
さすがにそれを知らなかったわけじゃありません。
ただ、光には「光質」という要素があって、ただ光れば全部いい感じに撮れるわけじゃないんです。
スマホで、至近距離からフラッシュ発光させて誰かを撮ったときを思い浮かべてもらえばいいと思います。
きっとみんな一度は、写した相手に見せられないようなヤバい写真を撮ってしまったことがありますよね?笑
バッキバキの光を当てたら、ホラー映画か稲川淳二の怖い話です。
私が撮りたい、いい感じの写真には一生なりません。
いい感じの光で、かつ影も映るように撮るためには、ちゃんと条件を揃えて撮影しないといけなかったんです。
■私に影を返してくれたのは、YouTubeと機材。
ソロアマチュアの私に救いをもたらしたのは、この動画でした。
機材にご興味がおありでしたら、どうぞ。
写真撮る人鈴木遥介さんのチャンネル。
最近もうずっと見てます。
ありがとうございます!
助かりすぎる。
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複雑すぎてなんだか分からなくなった。
ということで、私は影を取り戻しました。
これで堂々とおてんとうさまの下を歩くことができます。
めでたしめでたし。
これからしばらくは、たぶんやたら暗めの写真が増えるかもしれませんが、そのうちバランスの良い写真が撮れるようにがんばりますので、今後ともよろしくお付き合いくださいませ。
ここから下は壁紙にしてみたサンプル
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初めて背景をデザインできたのが嬉しい。
こういうの、ずっとやってみたかった。
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今回は以上です。
見てくれて、ありがとう!