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楽しき(?) 春の道迷い

こんにちは、花の写真を撮ってますタキツネです。

今回は夜の花シリーズというかなんというか。
アストランチアという小花を5日ほど撮り続けて道に迷った話です。
迷いに迷ってる様子が写真にも写っていておもしろかったので、まぁ見てやってください。

一応、今回のベストカットはこちら。

時期的に、夜桜みたいで綺麗でしょ?
実際は、真っ暗な部屋で1.5センチの花を接写しているんですが。

私はこのアストランチアという星型の花が好きで、以前から何回か撮っています。
今回も花屋で見かけて何の気なしに買ってきたんですが、撮り始めたら次々とアクシデントが起きて迷いに迷う羽目になりました。

■道迷い、始まり。

特に何も考えずに撮影開始。
しべの部分はあまりクッキリ映すと気持ち悪くなるので、花びら部分に目が行くように、斜めから裏から横からあれこれ撮影。

悪くはないんだけど、もっとおもしろい絵にならないものかと欲を出す。

■道迷い、2回目。レンズが壊れる。

最近ちょいちょい実験している「夜の花」シリーズにしてみようと思い、暗い部屋でライトを当てながら撮影開始、しようと思ったら昨日まで正常に動作していたレンズが認識されなくなって使えなくなる。

あれこれ対策しても復旧できず、メーカーへ修理に出す。
これは後日、無事に復旧しましたが、撮影は急遽別のレンズを持ち出して続行。

何日も撮影をする場合、初日に現像パラメータという設定を作ってしまい、2日目以降は撮影データにパラメータを適用することで写真の雰囲気を統一していくんですが、今回はここで統一感も何もなくなる。

色味もバラバラで、妙に赤が強くなったり、明るすぎたり、ボケの感じが急変したり。
写真だけ見ても慌てぶりが分かるかと思います。

■道迷い、3回目。インフルエンザになる。

とにかく撮影し続けてみたけれど、今回のゴールはどこなのかサッパリわからなくなる。

撮影している時も、欲しい絵がわからないので無闇に撮る。
現像しているときも、どれを現像するのか、どう現像するのかわからずに作業しているので、一枚一枚よくわからないものが出てくるし、それが良いのか悪いのかも判断できない。

カメラマンとしての自分というより、企画者・発注者・ディレクターとしての自分が完全に右往左往している。

この花ブログだって100回近くやってきています。
最初からブログへの載せ方を考えながら撮影を始めないと、散々いじくり倒した果てにボツになる可能性が高いです。

「あ、今回はダメかも・・・」という不安が広がるものの、どうも頭が働かず打開策が思いつかない。

「なんか変だな」と思っていたら、インフルエンザにかかってました。ここで発熱してダウン。

■道迷い、4回目。黄泉の国に迷い込む。

人は不利になるとなぜか勝算の薄い大バクチを打ちたがるものだと言いますが、この時の私がまさにそうでした。

アストランチアは日持ちのよい花で、2週間くらいはずっと咲いていてくれます。

寝たり起きたりで朦朧としている頭で、なぜか「アストランチアをどう撮り直すか」を考え続け、一度もやったことがないライティングを試してみようという結論に辿り着きました。

なぜ。

正常な判断力を失った人間が必死で考えても、おかしな判断しかできないということがよく分かりますね

そうして撮ったのが上の3枚です。
見る人によって感想は違うと思いますが、どうも生き生きとした感じが薄く「死の国の花」とでも言いたくなるような怪しさに溢れています。黄泉の国に迷い込んでる感がある。

もちろん、光学的にはちゃんとした理由があってこんな画面になっているんですが、どちらかというと「病人が無理して撮ったから生気がない写真になった」と説明された方がしっくり来てしまう感じになっています。

■道迷い、5回目。生還。

明るい別カット

熱も下がって、改めて撮り直したのがこちら。

生きてる。
これは黄泉の国の光景ではない。

大袈裟ですが、この写真を見たとき、「あ、正常な世界に還ってこられたな」と思いました。


被写体のアストランチアはほぼ変わっていないのに、撮影するわたし次第で、写真がこうまで変わるというのは、今回驚きました。

この本、まだ読んでいないんですけど、ドキッとさせられるタイトルですね。読んでみよう。

写真を撮っている人って、(ほんとに言い方は悪いですが、)どこか自分だけが相手を覗き見しているような快感というかスリルというか、そういう感覚があると思います。

でも、実はシャッターを切るたびに写っているのが「自分」の方だとしたら?

ああ、でも。

写真を撮る人は「写真に自分が写り込んでしまう」ことを実は期待しているんじゃないか?
だって「自分にしか撮れない写真を撮りたい」とか思ってるもの。
正直に言えば、わたしだって思ってます。

作家性というのか。
「この写真を見た時、これはあなたが撮った写真だってすぐ分かりましたよ」なんて、言われてみたい。
うん、言われてみたい。

メーカーが作った工業製品であるカメラとレンズで、花屋で売ってるポピュラーな花を撮って、「わたしにしか撮れない写真」だなんて、なんと烏滸がましい欲望じゃないかと自分に呆れながら。

・・・。


今回はこんなところです。
見てくださって、ありがとう!


■アストランチア好きな方は、こちらもどうぞ

■記録:

・花:アストランチア

・レンズ:XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro
・レンズ:PERGEAR 60mm F2.8 マクロレンズ
・カメラ:FUJIFILM X-E4


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