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違和感を見ないふり

自分の意思を伝える勇気がないのは、
分かっていた。

心の中には、
"こうしたい。"
"こう思う。"
"なぜそうなの?"
そんな気持ちは存在してる。

存在してるだけ。
溢れそうな言葉を喉元で蓋をして、
物分かりのいい人間をやってきた。

それが、自分を苦しめるなんて、
思ってなかった。


結婚はもう二度としない…とあの時強く思った。

息苦しさしか感じなくなってしまった生活。
あの箱の中に戻りたくない。

もう拒否反応しか起こらなくなっていた。


どうして結婚してしまったのかと、
出会った頃を思い返した。

優しい人…
周りは皆、口を揃えてそう言っていた。
優しいって、結局なんなんだろう…。
そんな気持ちになった。

わたしはあの頃、何を見ていたのか…。
周りに流されるままに、レールに乗り、
皆がうれしそうに喜んでいる様子を目にしながら、そのまま流れていった。

自分にとって大切な事なのに…。
大切な事でさえ、物分かりのいい人ぶるのか?
自分の選択に苛立ちを覚えた。


なんか変だなって事も、
"気のせいかな…"に変換させて、気づかないふりをしてきた。

でもその、なんか変だな…って違和感が、
これまでの多くの苦しみの元になっていた。

気にしないようにしていただけで、
その違和感は、常に存在していて、
日々大きく成長していく。
時が経てば経つほど、やっかいになっていく。

そのまま、バンって破裂して消えてくれれば、
わたしも楽だった。


あの時、違和感を見ないふりしなければ、
また違った人生だったのかな。

そんな思いになる。


争い事は嫌い。
だけど、物分かりのいい人を続けていたら、
きっとこの先も、
同じような失敗を繰り返してゆく気がする。

争わなくていい。
ただ、違和感に感じた事を伝えればいい。
目の前にいる人は、
まだ運命の人になるには早すぎる。

一つ一つクリアして、
その先に、運命が存在するのかもしれない。 

そう思うと、もう結婚は懲り懲り…
という気持ちが、薄らいでゆく。


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