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【流産】報告を受けたあなたが思いやりを伝えるには?当事者が知ってほしいこと

(この記事は、同じ経験で苦しんでいる方や、そのパートナーの方、ご家族の方、そして過去の自分のことを思いながら書いています。何かひとつでも参考になる所があれば嬉しいです)

これまでの記事です。
ご興味があれば目を通していただけたらうれしいです。
※11/13の記事は、流産してよかったと思っているわけではないことをちゃんと書けていないと感じたので、修正しました。



今回は、流産直後にかけられた言葉、してもらったこと、それによって感じたこと、してもらえたら嬉しいことについて書きたいと思います。


流産が、人に言えない理由

不妊治療が、「育児」「看病」「介護」と同様に急な予定変更が必要となる割に、それらと決定的に異なるのは、対象となる人がまだこの世にいないことだと思います。

私は、薬・注射の影響、つわりで明らかに体調を崩しながら仕事や人付き合いをしている(た)時、その理由を公的な場では「体調不良で休んでいた」「家庭の事情で仕事量を減らしている」と言うことが多いです。
特に、それほど親しくないつながりや、男性相手だと言いづらいと感じてしまいます。

流産となればなおさらで、自分も何気ない言葉で傷つきたくないし、相手にも負担をかけてしまうのでは…と思っていました。

交友関係において全部を話す必要がないことはわかっていますが、流産も、親やきょうだい、パートナーの死と同じように大きなダメージを受ける大きな出来事なのに、隠しているように感じてしまうことがモヤモヤするのです。


全妊娠の15%は、流産になります。


そのわりに、流産した女性の話を聞くことは少ないというのが私の実感です。

それは、流産を打ち明けることは、永遠に乾くことのない生傷をさらけ出す行為だからだと、私は思うのです。
傷口に塩を塗られるか、放置されるか、痛そうだねと言ってもらえるか、ありがたくもそっと絆創膏を差し出してもらえるのか、信頼する人にこそ打ち明けたい気持ちを抱えながらもいつも不安に思っています。


何も言わないで、ただ話を聞いてほしかった

「よくあることだから仕方ないよ」
(私にとってはよくあることじゃなく、初めての一人だけの赤ちゃんだよ)
「みち(私)は悪くない」
(なんでそう言えるの?つわりが辛いってグチ言いすぎたから赤ちゃんが去っていったのかもしれないのに)
「辛いと思うけどまた頑張ってほしいな」
(そんな前向きになれない)
「これで良かったと思える日がいつか来るかもしれないよ」
(どういうこと?流産して良かったってこと?)
「こういうのはご縁だから」
(私と赤ちゃんは縁がなかったの?)

全て、流産報告の時にかけられた言葉と、私の心の声です。
いまとなれば、どん底に悲しんでいる私を気の毒に思って言葉をかけてくれたことはわかるし、その気持ちがありがたいと思っています。


だけど、その当時は本当に、何も言われたくなかったのです。受けたショックが大きすぎて、どんな言葉も受け止められなかった。

ただ、何も言わないで黙って私の話を聞いてほしい、と思っていました(その後、しばらく殻に閉じこもるようになりました)。


言葉をかける前に。

こちらは、映画「うまれる」のブログの記事です。
流産や死産をした人に言ってはいけない言葉として、「愛する人を亡くした人に言ってはいけない言葉」が取り上げられているので、これを読んで頂くと、どんな言葉でさらに傷が深くなるのか知って頂けるのではないでしょうか。


(このブログ、泣けるんですよね…)

きっと、言葉をかけたくなる背景には
相手が悲しんでいることに耐えられなくなり、どうにかして元気を出してもらいたくなる思いやりがあるように思います。

けれども、悲しむ時間は亡くなった人を想い、悼む時間。大切な人であるほど時間がかかるのは当然のこと。

その時間をしっかり持つことこそが、進んだり戻ったりしながらも、少しずつ傷を癒していくのだと思います。


思いやりとは、想像力


流産直後、二人の子どもを持つ妹が

「みち(私)は、私のしたことのない悲しい経験をしたんだね。だから、かける言葉が見つからないよ」
と言ってくれました。

かける言葉がないと言われているのに、やっとわかってもらえたと感じられて嬉しかった。

何が本当の思いやりなのでしょうか?
とにかくその場で「相手のために」と言葉をかけることなのでしょうか。
私は、自分のできる範囲でいいから相手の悲しみと一緒に佇む(たたずむ)こと、相手のそのままを受け止め、その先の回復を信じて、時に辛抱強く待つことだと思います。

だから、父母が果物やおかずを持って私の顔を見にきてくれたことも、それを感じられて嬉しかった。何を言われるかビクビクはしていましたが、「ごめん。気持ちは嬉しいけど、受け止められないから何も言わないで」と自分から言い、わかってもらえたのがありがたかった。


言葉をかける前に少しだけ「自分が相手の立場だったら、これを言われたらどう感じるだろう」と考えてみる。

流産や死産で悲しむ人に対してとは限らず、少しでもそんな想像力をみんなで持ち合えたら、優しい世界になるのではないかと思います。

「愛とは思いやり、思いやりとは想像力」
美輪明宏さんの言葉を思い出します。

私もそんな人になれるよう、心がけていきたいと思います。
長文を最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この思いを知って頂けて、感謝です。

(つづきはこちらです)

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