妊娠中のマイナートラブル

はじめに

妊娠中のトラブルの代表と言えば『つわり』だと思います。男女問わず、「妊娠中につわりで具合が悪くなる」ということを知っている人は少なくないです。
それ以外に、『妊娠高血圧症候群』『妊娠糖尿病』など懸念されるトラブルはいくつかあります。
そう言った代表的なものや治療が必要で必ず検査が実施されるようなもの以外にも、『マイナートラブル』と呼ばれる、個人差の大きい(程度も発症するかどうかも)トラブルが山のようにあります。

今回は私が経験したマイナートラブルをまとめました。
マイナーとは言っても、十分に体調に支障を来たすものや、精神的なダメージが大きものが多いです。
ただでさえ、妊娠中という全てにおいてままならない状況の中、想定外の不調に襲われることは想像以上の精神的負荷がかかります。

もちろん、誰にでも当てはまることではないですし、同じ症状でも原因が違うこともあると思うので、あくまでも参考にしかならないとは思いますが、「こんなこともあるんだなぁ」と知ってもらえたら幸いです。

妊娠中に発生したマイナートラブル リスト

トラブルの種類毎に発症したものをリストアップしました(つわりによる吐き気、倦怠感、食欲不振、体重減少などは除外しています)。

妊娠中全期に渡って症状のあるトラブル

  • 便秘

  • 口内変化、歯肉炎

  • むくみ

  • 正体不明の腹痛

  • 鼻血、鼻詰まり

  • 睡眠不足

突発的なトラブル

  • 膀胱炎

  • 胃炎

  • 不正出血

お腹が大きくなったことによるトラブル

  • 頻尿、尿漏れ

  • 肩こり、腰痛、坐骨神経痛

  • 逆流性胃腸炎

  • 息苦しさ

  • お腹の乾燥、痒み

大きな不調はないけど不快なトラブル

  • 頭髪のパサつき

  • イボの増加

  • おりものの増加

  • デリケードゾーンのニオイ

  • 乳頭の詰まり

  • 爪の変形

各トラブルについて

便秘

元々、妊娠前もそこまで調子の良い方ではありませんでしたが、妊娠した途端、全く出なくなりました。
原因としては、妊婦はホルモンバランスの変化により便秘になり易いということがあるようですが、それに加えて「力んだら子は大丈夫なのだろうか?」という心配が付き纏うものあると思います。
特に妊娠初期のナイーブな時期は、腹部への加圧に結構気を使います。
結果的に、もちろん排便時の力み程度では影響が出ることはなかったんですが…
これらの要因により、排便が大変困難になり、全期に渡って『酸化マグネシウム』を処方され、飲み続けていました。
便秘を放置すると、激しい腹痛や最終的に病院で摘便してもらうことになったりと、より辛いことになるため、症状が出た場合は速やかに担当医に相談した方が良いです。

口内変化、歯肉炎

正しい表現なのか分かりませんが、お口の中の状態が一変します。
何を飲んでも食べても後味が悪い、歯磨きをしてもなんだか違和感があるなど、口の中はいつも異常事態でした。
亜鉛不足、乾き、塩分量の増加、炎症などの要因が考えられるそうですが、確実な原因は不明のようです。
常にさっぱりしない感覚が付き纏うため、さっぱりしたものが欲しくなります。
私の場合は、つわりが落ち着いた後は主に、炭酸水、氷水などで口の中をなるべくリセットするようにしていました。
ただ、体を冷やすと別の不調が出やすくなるため、飲み過ぎ、冷やし過ぎには注意が必要です。

また、つわり中は歯磨きが難しい場合があります。また、ホルモンの関係で妊娠関連性歯肉炎等を発症しやすくなります。
妊娠すると市町村で歯科検診の補助券が配布されるので、それを利用して検診を受けた結果、案の定、歯肉炎と言われました…
幸い程度は軽かったため、クリーニングとしっかりとしたブラッシングで対処可能でした。
歯肉炎になるとブラッシング時に出血したりするので、つわりが落ち着いたら歯医者さんに見てもらって歯茎周りも一度リセットすることをお勧めしたいです。

むくみ

私の場合、ふくらはぎの浮腫が割と早い段階で出ました。
ただぷよぷよするだけでなく、「膝から下が重い痛い」みたいな不快感が特に夜中に発生し、初めの頃は、反対の足の踵で脛の脇を擦って紛らわしつつ寝るという対応をしていました。
これに関しては、最終的に、夫にふくらはぎのリンパマッサージをしてもらうことで、対処療法にはなりますがかなり楽になりました。
注意が必要なのは、臨月に入るまではマッサージには注意が必要そうです。
いくつか妊娠中には気をつけなければいけない『ツボ』があります。
その中の一つの足首の上の『三陰交』というツボは、陣痛促進する効果があるとされているものなので、正産期に入るまでは刺激しないようにしなければなりません。
その辺を踏まえた上で、不快感を取り除くための適度なマッサージを行うようにしていました。

正体不明の腹痛

これは、特に初期に乱発していたトラブルで、初めての妊娠においては、ストレス以外の何物でもありませんでした。
腹痛と言っても何パターンかあります。
一番多かったのは、子宮が大きくなる時に引き攣れによる痛みでした。
初期の頃は特に小さかった子宮が初めて大きくなるために、靭帯などをこれでもかと引き伸ばします。
その際の痛みは、これまで経験したことのない種類の痛みなので、放置して我慢すればいい痛みなのか、妊娠継続に問題の出る痛みなのか判断がつきません。妊婦健診の際に、「これこれこういう感じの痛みがこのくらいの頻度と間隔で発生するのだけど大丈夫か?」という相談をするようにしていました。
次に辛かったのが、便秘による子宮の張りによる痛みです。
便秘で便やガスが溜まってお腹(腸)が張るという感覚は分かる人も多いと思いますが、それとはまた違う子宮の痛みが起こることがあります。
これも、今まで経験した便秘による張りとは違う感覚だったので、原因が結び着くまで「子宮が痛い…どうしよう…」となっていました。一度、夜間救急に行き、摘便される(結局なかったけど)ところまで悪化したことがあります。
妊娠が進むと便秘だけでなく、膀胱に尿が溜まることでも子宮の張りが発生し、痛みを伴うことが頻発します。
子宮が大きくなるにつれて、張りによる痛みも増すので、トイレは頻繁に行くようにした方がいいです(そうでなくても、近くなりますが)。

鼻血、鼻詰まり

鼻の中の粘膜にも影響が出るらしく、鼻血が出やすくなるそうです。
私の場合は、左の鼻から定期的に鼻血が出ました。
たぱーっと流れ出る訳ではなく、鼻を噛むと真っ赤とかそういう感じです。
特段、支障をきたす訳ではなかったですが、鼻を噛むたびに血が出るのはやっぱりちょっと不安になりますね。
さらに、鼻腔が少し腫れるのか、鼻詰まりも全期に渡って襲いかかってきます。寝ていると「ぷぴー、ぷぴー」と鳥が鳴くような音が聞こえ、目を覚ますと自分の鼻息だったということもしばしばありました。
症状が酷い場合には相談して、何かしらの対応も可能だったのかも知れませんが、様子を見ている間に出産予定日を迎えてしまったので、これらに関しては結果放置したということになります。

睡眠不足

妊娠初期の寝不足は、つわりによるものでした。
とにかく気持ち悪くて、吐き気との戦い。
特に夜になると(なぜか、各種トラブルは夜中に重症化することが多い)、喉元まで上がってくる感覚が付き纏い、さらに倦怠感やめまいなども伴うため、寝付くことが出来ません。
お腹が大きくなり始めると、夜間頻尿が始まり 1, 2 時間おきにトイレに目が覚めます。
さらに、後期に入り、お腹の大きさが目立つくらいになってくると、今度は肺と胃を圧迫され、さらにお腹の重みで、どの体勢になっても苦しくてなかなか眠りに落ちることが出来ません。
「睡眠不足は産後の夜勤(夜中のお世話のことを言うらしい)に備えた準備だと思って」と言われ、結局、諦めて、不調よりも睡魔が勝ったら寝ることにしていました。

膀胱炎

妊娠初期に発症しました。
元々、膀胱炎にはなり易いタイプだったので、すぐに気がつきました。
女性は構造上膀胱炎になり易い上、妊娠して免疫力が低下していることにより、ちょっとのことで膀胱炎になります。
ある日、トイレに行ったらオレンジ色の尿(血尿)が出て、若干の排泄痛と残尿感があったため、急いで産婦人科に電話をしたところ、「近くの泌尿器科に見てもらって」となりました。
本当に泌尿器科でいいのか不安だった私は、膀胱炎も診てくれるレディースクリニックに電話相談し、診察を受け、妊婦でも大丈夫な抗生物質を処方してもらい 2, 3 日で症状は改善しました。
それ以降は、なるべく雑菌を排除するため、お尻拭きを導入しました。

胃炎

胃炎になった原因は不明ですが、妊娠初期に激しい胃痛に襲われ、これまた妊婦健診の時に相談した結果、「近くの消化器内科に相談して」と言われて、産婦人科の近くの内科にその足で向かいました。
食べなかったり、食べ過ぎたりと量も質も偏食気味だったことが一因ではあったかと思いますが、妊婦でも大丈夫な胃薬を処方してもらい、しばらくの間はお粥などの消化の良いものを食べるようにして過ごしました。

不正出血

妊娠中期頃に一度だけ不正出血がありました。
安定期に入り、仕事の休憩でトイレに行った際に、下着に出血痕(茶色いおりもの)があり、とにかく慌てたことを覚えています。
慌てて病院に連絡したところ、量と継続時間が少ないことから安静にして様子を見ると言うことになりました。そのため、お仕事は1週間ほどお休みしました。
茶色出血は過去の出血の残骸が排出されたものの可能性が高く、緊急性は低いことが多いそうです。もちろんケースによるとは思いますが。
この頃から、胎動を感じるようになっていたので、それの影響も多少はあったのかも知れないです。
結果、10 日程度続きましたが、その後特に影響が出ることもなかったです。
ただ、本当にケースバイケースなので、出血は病院に相談した方がいいです。

頻尿、尿漏れ

妊娠初期から少しずつ増えてはいましたが、お腹が大きくなると物理的に膀胱が押し潰されて、貯水量が減るため、自然とトイレが激近になります。
特に夜中は、1, 2 時間ペースで激しい尿意に襲われます。
さらに、くしゃみや力みで簡単に漏れます
後期に入る頃には、おりものも増えるので、尿漏れパッドもしくはナプキンは必須になりました。

肩こり、腰痛、坐骨神経痛

お腹が重くなることで、姿勢が崩れたり、寝る時の姿勢が限定されたり(寝返りもままならない)するため、腰への負担が爆増します。
腰やお尻に負担がかかり、坐骨神経痛のような痛みが出るようになり、一時期歩行が困難な状態にまでなりました。
妊婦でも貼れる湿布を処方してもらい、さらに、夫にお尻のマッサージをしてもらうことで、1週間程度で歩行に支障が出ない程度には軽減されました。

逆流性胃腸炎

お腹が大きくなるにつれ、子宮の位置も上がり、胃が圧迫あれるようになります。その状態で普通に食事をすると上がってきます。
また、食後でなくても、横になると胃液的なものが上がってきます。
すぐに上がってきます。
炎症も起こしたりするので、これまた妊婦でも飲める胃薬(炎症を抑える系)を処方してもらい飲み続けることと、寝る時に上体を少しだけ上げるような環境を作ることで、ごまかしつつではあるものの乗り切ることが出来ました。

息苦しさ

お腹が大きくなるにつれ、子宮の位置も上がり、肺が圧迫されるようになります。
おかげで、呼吸がままならなくなり、とても息苦しい時間が常時続きます。
大きく深呼吸したり、呼吸を意識することでしか、対処出来ませんでした。
これに加えて、鼻詰まりもあるため、臨月以降は本当に毎日高山トレーニングでもしてるのではないかという気分で過ごしていました。

お腹の乾燥、痒み

お腹が大きくなるにつれ、お腹の皮膚がどんどん引き伸ばされることで引き攣りによる痒みが発生しました。
乾燥もしやすくなるので、より痒いです。
さらに、下着や衣服による圧迫で縫い目がお腹に食い込んだ時なども痒くなります。
保湿剤妊婦でも塗れる痒み止めを定期的に塗り塗りしてはいましたが、対処両方にしかならず、結局臨月中はずっと悩まされ続けていました。

頭髪のパサつき

特に体調不良とかではないですが、ものすごくパサパサになります。
特に、初期から中期にかけて、想像を絶するパサつき具合です。
出産終わったら、「一番いいトリートメントしてやる!」と夫に宣言することで耐えました。
初期から中期にかけては、つわりの一番酷い時期に重なるため(つわりの一環?)、自宅でのメンテナンスもままならないです。リバーストリートメントとか出来たら違ったのかもしれませんが、そんな余裕は一切ありませんでした。
さらに、食事もままならなかったため、栄養が極端に足りていなかったこともあると思います。
後期に入ってからは、ストレスになるほどのパサつきは無くなったように思います。

イボの増加

30代後半から出来始めた老人性イボですが、妊娠を機に爆増しました。
首元に多くあったんですが、胸の下やお腹にも出来始めました。
もちろん、首やデコルテにも増え、かなり凹みました。
産後、自費治療にはなるのでそれなりの金額が必要にはなりますが、まとめて除去したいと考えています。
これは高齢出産の弊害でもあるかもしれないです…

おりものの増加

これは致し方ないようです。
妊娠することによって、おりものが増えることはあることで、さらに後期になるとより増えるそうです。
ある日、お風呂上がりに体を拭き終わった後、お股から白いさらっとした液体がたぱーっと流れ落ちたことがありました。
臨月に入った時期でもあったため、『高位破水では!?』と夫婦で慌てふためき、いつもの電話 → 病院の流れで診察を受けました。
結果、破水ではなくおりものだった訳ですが、『高位破水』『おりもの』『尿漏れ』の区別は素人には判断つかないため、適宜医師に相談が必要だそうです。

デリケードゾーンのニオイ

これは恥ずかしい上に地味にメンタルにくる話ですが、デリケートゾーンのニオイが気になるようになります。
臨月に入って、おりものと破水に備えて、常にナプキンをつけているせいか、トイレで下着を降ろした時にツンっとするニオイが鼻に入ってくるようになりました。
別に誰に嗅がれるものでもないですし、出産が終われば元に戻る(と信じている)ので、とにかく清潔に保つことを意識しつつ、我慢の日々です。

乳頭の詰まり

これも後期に入ってからの話です。
乳首から透明または黄色い液体が出るようになって以降、放置してしまうと黒い老廃物?となって腺に詰まっていることがしばしばあります。
毛穴に黒い塊が詰まって、押し出すとにるっと出てくるアレみたいな感じです。
乳首にそんなの出来たことなかったので、粉瘤みたいになったらと最初は震えました。
助産師さんに相談したところ、「乳腺炎とかになっているわけでもないので、除去してその後問題なければ大丈夫」と回答をもらっていこうはお風呂に入るたびに、白いカスを除去し、出来てしまった黒い線はにるっと押し出して除去し、なるべく乳首にゴミがない状態を心がけています。

爪の変形

これはまぁ一番どうでもいい話です。最後に最も影響のない話を持ってくるあたり、センスがないかも知れません。
おそらくこれも栄養が足りてない話なのだとは思いますが、爪が伸びる時に均一に伸びず、歪な形で伸びるようになりました。
これは定期的に切れば目立つこともないので、わざわざ騒ぐことでもないです。ただ、これまで見たことのない伸び方をする爪に妊娠による母体への影響の範囲の広さを見せつけられた気がしました。

さいごに

妊娠による体調の変化は多岐に渡ります。
他の人は違うとか、みんなはもっと辛いとか、そんなに騒ぐことじゃないとか、何かと周りと比較しがちなところもあります。
ですが、今回妊娠を経験して、これほど個人差が大きいものもなかなか少ないと私は思いました。
つわりや妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿棒だけでなく、その他の個人的な疾患、マイナートラブルなど、個人個人で現れる症状やそれらの程度は全く異なってきます。

いくら調べても、それが自分と同じものなのか、症状は同じでも原因が違う場合もあり、対応も異なることもあります。
そういったことと日々向き合い、不安を抱えながら 10 ヶ月という長い時間を過ごすことがどれだけ精神的な負担になるかをパートナーや周りに人には知って欲しいなという気持ちです。
理解は出来なくとも、否定しない寄り添う労わるだけで、全然違います。

あと、大事なことですが、自己判断は禁物だと思います。
不安なこと、違和感、気になることは、かかりつけの産婦人科に電話して相談することが最善だと思います。
こんなことで電話して申し訳ない」「なんでもなかったのに夜間に診察してもらって心苦しい」「また掛けてきたと思われてるの辛い
不調で電話する前は、毎回これらの葛藤があります。
ですが、その一時の気まずさのせいで取り返しのつかないことになることの方が、一生の心の傷になると思います。さらに、一時気まずい思いをするだけで、その後安心した気持ちで過ごすことが出来ることもとても大切なことだと思います。

たくさんの不調と不安を抱え、ほわほわマタニティライフとは縁遠い 10 ヶ月でしたが、知らない世界を知り、視野がまた一つ広がったと思うと、私たち夫婦にとって良い経験になったのだと思っています。


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