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世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 2014.09.15 2/2 2014-09-20 20:01:39




<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 2014.09.15 2/2 2014-09-20 20:01:39



CONTENTS

PART 1 「スマロボ」生態系、米で産声

PART 2 侮れない中国“机器人(ロボット)”

PART 3 世界は「アトムを求めない」日本復活への道しるべ



第2回は、

PART 2 侮れない中国“机器人(ロボット)”

PART 3 世界は「アトムを求めない」日本復活への道しるべ


を取り上げます。


今週の特集記事のテーマは

新たな潮流が加わろうとしている。
「スマートロボット(スマロボ)」である。
これまで日本が目指してきた、1体ずつ独立して
動く人型ロボットではない。
飛んだり会話したりといった個別機能に特化した
ロボットが、ネットやクラウドでつながり、協調する。
その目的は、社会をより便利にし、人と人との距離を
もっと縮めることにある

です。


PART 2 侮れない中国“机器人(ロボット)”

次の画像をご覧ください。
どうやらレストランの一風景を撮影したもののようです。

8月、中国・昆山にオープンした「ロボットレストラン」。
オーナーの宋育剛氏はロボット同士がつながる
未来を見据える(写真=町川 秀人)
世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本  2014.09.15


ディズニーランドのキャラクターを真似ただけの、偽物かと直感的に思ってしまいました。

ところが、日経ビジネスの記事を読んでいくと、私の先入観は間違っていたことに気づきました。

向かって右の画像(にこやかな表情を見せる男性がロボットの肩に手を置いている)は来客時に挨拶するロボットだそうです。
「約40種類の挨拶をする」とか。

画像中央のロボットは、配膳専用ロボットだそうです。ただし、調理や接客は人間が行なうということです。

問題はここからです。

このレストランは、「中国のロボットメーカーによる直営店だった」
(p. 037)のです。

どうせ、経営者の道楽だろうと思われたかもしれませんが、実はそうではありません。

このレストランのオーナーで、調理・接客ロボットを作った昆山穿山甲机器人有限公司の社長(先の画像でロボットの肩に手を置いている男性)はこう話しています。

先のこと考えているのです。

「今はプログラム通り動くだけだが、将来はロボット同士が連携し、注文から調理、配膳までを人間抜きで自律的に行えるようにする。
配膳は黒いライン抜きでロボットがテーブルに置けるようになるまで進化させる。5~6年後に実現させて、世界中に売り込みたい」

世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15 p. 037 


中国はロボット技術で日本に後れを取っていました。

ホンダが2000年に発表した人型2足歩行ロボット「ASIMO」は中国の2足歩行ロボットより圧倒的に優れていました。


ロボット大国の代名詞だったホンダの2足歩行ロボット「ASIMO」。
お茶くみロボットのイメージを払しょくできずにいる
世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15


しかし、それから14年経ち、中国の技術は大きく進化していました。

今年7月にブラジルで開催された(サッカーW杯開催時)「第18回ロボカップ」の接客などのサービスロボット分野で中国科学技術大学が開発した「可佳」というロボットが優勝したのです。

それだけではありません。

「レストランサービス」の競技で微細かつ正確な動きが評価されて過去最高得点を叩き出し、各国チームを驚かせた。 

世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15 p. 037 


ということです。中国を侮るなかれ、ということです。


中国の技術力は着実に進化している ●中国国産ロボットの今昔
世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15


前回、警備ロボットとの連携で、ドローン(ラジコンヘリのようなもの)のご紹介をしました。

このドローンの開発で、中国の企業が先頭を走っているという記事を読んで、中国の技術を侮ってはいけない、と強く思いました。

DJIは、香港科学技術大学出身の汪滔(フランク・ワン)氏が2006年に創業したベンチャー。

従業員は世界で2000人規模に達し、「PHANTOM2」という製品が人気を博している。

重さ1.2kgの機体は秒速15mで移動。最大25分、見通しが良ければ1km先まで飛行できる。

空撮に特化した最新機種はHD画質の動画を撮影可能。映像は手元のスマホにリアルタイムで転送されカメラの角度も変えられる。価格はセットで15万円弱と、同等の競合製品に比べ安い。

世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15 p. 038
 


この製品の評価はどうなのでしょう?

「DJIは、自律飛行のための制御ソフトウェアが優秀。1カ月に1回ほどアップデートしており、世界が追いつけないレベルにある」。国内でドローン開発を手掛けるベンチャーの社長はこう評価するように、世界中のテレビ局や空撮愛好家がDJIを採用している。

世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15 p. 038
 


DJIの「PHANTOM2」がこれです。

中国・深センにあるDJIイノベーション本社前で飛行するPHANTOM 2。
独自の飛行制御装置とカメラを水平に保つ機体下部の
「3軸ジンバル」が安定した映像撮影を可能にした
(写真=町川 秀人)
世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15


上の「PHANTOM 2」が実際に上空から撮影した静止画。
映像は手元のスマホに転送され、好きなタイミングで
シャッターを押せる
世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15


中国の技術力は、日本にとって脅威となってきましたね。


PART 3 世界は「アトムを求めない」 日本復活への道しるべ

これまで、米中のロボット開発の現状をお伝えしてきました。もちろん、これが全てというわけではないでしょうが、少なくとも日本にとっては米中に水を開けられた感は否めません。

ここからは、日経ビジネスが考える日本が進むべき針路を中心にお伝えしていきます。

明るい兆しも見えます。その一方で、危惧すべき現実にも直面しています。

パナソニックのロボット事業推進センター所長を辞め、ロボットベンチャーを立ち上げた本田幸夫・大阪工業大学教授。「日本は技術に固執し、顧客へのアプローチを軽視する傾向にある。新しいライフスタイルとしてロボットを顧客に認知させる作業が必要だ」と指摘する。

世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15 pp. 040-041 


日本が強かった産業用ロボット分野も縮小・・・ ●主要地域・国の産業用ロボット稼働台数の推移
世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15


日本のロボットで、これはスゴイと思ったロボットは、日立製作所が作ったコミュニケーションロボット「エミュー2」です。

どこがスゴイかと言いますと、なんと13人に同時に話しかけられても聞き分けられるというのです。

「聖徳太子を超えた」ことになりますね。

聖徳太子は複数の人に同時に話しかけられても、聞き分けられたという史実の真偽は別として、「エミュー2」の同時に13人を聞き分けられたとは、スゴイことです。

仕組みはこうだ。頭部に合計14個のマイクを付けている。それぞれのマイクがキャッチした声の大きさの差などを基に、どこからどんな音声が発せられているかを正確に把握。

その上で、蓄積された雑音データベースと照らし合わせながら、雑音を取り除き、きれいな音声だけを聞き取る。

世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15 p. 044
 


日立製作所のコミュニケーションロボット「エミュー2」。
聖徳太子を超える、最大13人の声を聞き分けることができる
(写真=丸毛 透)
世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15


まだまだある、日本のロボット技術 ●ロボットの特性を高める要素技術の一覧
世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15



いかがでしたか?
まだまだ日本のロボット技術は捨てたものではない、と胸を撫で下ろしました。

日経ビジネス取材班は、取材を終えて次のように指摘しています。

スマロボは刻々と進化している。人とロボット、そしてロボットを介した人と人のつながりも広がるだろう。その胎動はまだ始まったばかりだ。今動き出さなければ、日本がスマロボ生態系の主役になるチャンスは、スマホでそうだったように、永久に失われてしまう。

世界を変えるスマロボ 先行く米中 出遅れる日本 
2014.09.15 p. 045
 

そうならないことを祈るばかりです。

それにしても、ソニーの凋落は心配です。AIBO(ロボット)はなくなりました。携帯電話事業も奮いません。

2015年3月期の業績予想を大幅に下方修正し、2300億円の赤字決算となる見込みです。

上場以来初の無配(配当金を支払わないこと)が決定しました。



🔷編集後記

この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-09-20 20:01:39)のことでした。

今回、大幅に加筆修正しました。

ロボットに関する9年前の記事の状況と現在を比較してみますと、産業用ロボットで日本には世界的な企業が複数あります。

世界BIG4のロボットメーカー

世界でBIG4と呼ばれるロボットメーカーは、ABB(スイス)、ファナック、安川電機、KUKA(ドイツ)です。

ファナックは日本を代表する産業用ロボットメーカーで、以前は富士通ファナックという社名でしたが、富士通から独立し、ファナックとなりました。
本社は富士山の麓にあります。

安川電機も日本を代表する産業用ロボットメーカーです。
上記2社は中国への依存度が高く、業績は中国の景気に左右されやすいという特徴があります。

BIG4の製品を見てみましょう。

1 ABB(アセア・ブラウン・ボベリ)

ABB Robotics - Introducing a new era of robotics


2 ファナック

ファナックロボット商品紹介2021

3 安川電機

【安川電機】2015 国際ロボット展:ロボットとアプリケーションの融合 - スポット溶接機能 -


4 KUKA

Dürr & KUKA Launch ready2_spray Paint Robot for General Industry


実に面白いですね。産業用ロボットは使用する企業ごとにカスタマイズが不可欠です。操作性に優れ、細部に至るまでの機能性が重視されます。さらに欠かせないのはスピードです。俊敏さと巧みさが追求されます。
拙速巧遅という言葉がありますが、「速巧」が求められています。

人間による作業で大きな負担となる重量や大きさ、安全性への配慮は言うまでもないでしょう。



⭐日本人気質の手先の器用さをロボットに置き換えると考えると、産業用ロボットの更なる発展が期待できます。



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