大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(19)
『ロウアーミドルの衝撃』(19)
「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。
しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。
派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。
そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』(発売日 : 2006/1/26)です。
現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
公務員をクビにする法律そのものがないため完全に身分が保障され、リストラされる心配がない
教師は公務員の最大多数を占めるが、教員免許を取得していったん自治体に採用されれば、一生「教職員」という身分が保障される
公務員以外で身分が保障されているのは、第一次産業従事者である
➳ 編集後記
ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。
🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。
Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。
大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。
➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。
🔷 日本では、既得権益にあぐらをかいて、自分たちが優遇されるのが当然といった風土があります。
本人たちにとっては、それは「普通のコト」なので、何ら疑問に感じません。
既得権益に守られたり、保護されている産業は成長が乏しく、その人たちが属する組織よりはるかに多くの人たちに、多大な犠牲や損失をもたらしていることに気づいていません。
恐らく、政権が変わろうとも、公務員(役人)の世界はほとんど影響を受けないため、100年たっても現状は変わらないだろう、と考えてしまいます。
「タコツボ型社会」で長年生きていくうちに、世界の大変化にも関心をもつことがなくなり、目先の作業に専念します。
「効率」や「効果」、「生産性」あるいは「顧客(この文脈では公共サービスの利用者)第一主義」といった企業では当然と考えられる重要なポイントが欠落していきます。
🔶 天下りするまで既得権益を手放さず、後輩に引き継いでいきます。そのサイクルが続きます。一度甘い汁を吸うと辞められないのですね。
⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。
公務員の身分保障
この記事を読んでみましょう。ポイントとなる個所を抜粋します。
「公務員の労働三権(団結権、団体交渉権、争議権(スト権))は何らかの制限を受けています。たとえば、警察、消防、監獄、海上保安庁、防衛庁、自衛隊などの各職員は、労働三権が全面的に否定されています。その他の公務員の場合は現業・非現業とも団結権は認められていますが、争議権が認められていません」
「その代わりに、公務員の身分は法律で厳格に保障されています。(中略)民間の企業の従業員のように業績によって給与が大きく変動することはなく、解雇されることもほとんどありません」
⭐ 出典元: 日本の人事部 掲載日:2005/06/06
既得権益(きとくけんえき)
国や地域・組織などの社会的集団や特定の個人が、過去の経緯や慣習、法的根拠に基づいて、取得・維持している利益を伴う権利。(情報提供:株式会社時事通信社)
⭐ 出典元: 三井住友DSアセットマネジメント
大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。
🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。
『企業参謀』(1985/10/8 講談社)という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。
それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。
『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』( 1986/2/7 講談社)が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。
🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。
大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。
この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-06-26 22:18:27)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。
✑ 大前研一氏の略歴
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]、高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。 (Wikipedia から)
大前研一氏の略歴補足
大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。
都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。
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