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大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(9)

『ロウアーミドルの衝撃』(9)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

35年の長期ローンなら、70歳を過ぎてもローンを払い続けなければならない


日本人の「持ち家信仰」は、誰もが総中流であるという前提にもとづいて生まれてきたものだ。

若い間は給料が安くても、年功序列で昇給・昇進があるから、多少無理をしても30代後半から40代半ばくらいまでには住宅ローンを組み、マイホームを購入する。

35年の長期ローンなら、70歳を過ぎてもローンを払い続けなければならない

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈271〉                     



「そもそも、自分は車を持つ必要があるのか?」という問い掛けをしてみたほうがいいのではないか


日本ではまだまだ持ち家同様「マイカー信仰」が根強く、レンタカーの市場規模は小さい。

たしかに昇進・昇給とともにグレードの高い車に買い換えていくという「自動車=ステータスシンボル」意識が薄れ、低価格でもセンスの良いコンパクトカーが人気になってきている。

しかしその前に、「そもそも、自分は車を持つ必要があるのか?」という問い掛けをしてみたほうがいいのではないか

自動車以外に交通手段のない地域は別にして、これだけ公共交通が発達している都市部では、本当に車を必要とするような機会はほとんどない。

自動車の購入費以外にも、駐車代が毎月3万円以上、車検の費用や自動車税なども含めれば、維持費だけでも月6万円~7万円はかかる。週に1~2回乗る程度なら、レンタカーを利用するほうがはるかに安くて効率的である。

こうした人たちがこぞってレンタカーを利用するようになれば、レンタカー
産業が成長し、より安価でより良いサービスを競い合うようになるはずだ。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈272〉                             
                                  
         







ベンツやBMWのような高級車を買う人でさえGPSは通常つけないから、ドイツにはGPSを作るメーカーがないのである


ドイツ車のGPSは、どれも日本メーカーのものだ。

ベンツやBMWのような高級車を買う人でさえGPSは通常つけないから、ドイツにはGPSを作るメーカーがないのである

自動車に乗る頻度も使い方も、人によってまったく異なる。だからこそ「今どき、みんなつけているから」という理由でなんとなくGPSをつけるのではなく、自分にとってGPSが支出に見合うだけの価値があるかどうかを判断すべきなのである。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 3 〈273〉                                                                     



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。

🔷 持ち家とクルマをキャッシュで購入出来る人は多くはありません。

特に、持ち家は住宅ローンで購入することになります。

通常35年ローンを組みますが、35年は実に長いと思います。
まず、35年間働き続けられるか、という問題があります。

35年ローンを組む場合、生命保険に加入することが義務付けられます。
契約者に万が一のことがあった場合、加入した生命保険で残金が金融機関へ一括返済されます。

以降、返済義務はなくなり、なおかつ持ち家は完全に残された家族の所有物件となります。

35年という長期ローンは、異常だと思います。

仮に、35年が過ぎ完済したとしても、木造建築でもマンションでも、補修が必要になってくる可能性が高いでしょう。

そうすると、新たなローンを組まなければならない可能性も捨てきれません。

そうした諸々のことを考慮すると、持ち家を長期ローンで購入することは危険性が高いと言わざるをえないでしょう。

私は、幸いなことに(?)、実家に戻ってきているので、住宅ローンを組むことはなく、その点では苦労はありません。

他の苦労は山積していますが……。


⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。

住宅ローンシミュレーション(住宅保証機構の例)



オーバーローンとは?最低限おさえておきたいリスクと売却方法を解説




大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-05-31 21:56:37)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。



✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。









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