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イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」 2013.9.23 #24 2014-03-12 20:29:12


【『日経ビジネス』の特集記事 】
#24  初出 2014-03-12 20:29:12 <バックナンバー>

⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所重要と考えた個所を抜粋しました。

⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。

⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当しますには、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。

⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」「雑誌発行年月日」を表示します。


再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


2022年7月14日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の7月以降に定期購読する予定です。



日経ビジネスの特集記事 #24


イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」 2013.9.23 1/3 2014-03-12 20:29:12 

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>


なぜ今 イスラムなのか

イスラムの世界については、ほとんど全くと言っていいほど、知識はありませんでした。

ですから、本特集を読んでも十分に理解することができなかった、というのが率直な感想です。

サウジアラビアやクウェートなどの産油国から石油を輸入してしていることくらいしか知りませんでした。

まして、シーア派とスンニ派の抗争がニュース番組で報道されても、ピンときませんでした。イスラム教の宗派の争いと思っていました。

でも、本特集を読んで違うことがおぼろげながら理解出来ました。

このような状況で、今回の特集記事の内容を十分にお伝えすることはできないかもしれません。

ご了承ください。


イスラム教とはどんな宗教なのか?

世界最多の信者を擁する宗教はキリスト教です。
しかし、向こう数十年、最も大きく人口が伸びる宗教はイスラム教だということです。

ムスリム(イスラム教徒)人口の伸びはすさまじい。

1990年には約10億人強だったのが、2010年には約16億人に増えた。この伸びは衰えることを知らず、2030年には21億人に達する見込みだ。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」                    
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今、大相撲が行われていますが、イスラムの世界から相撲の世界に飛び込み、入幕した力士がいましたね。

スポーツニュースで取り上げられた時、「ラマダン」という言葉が出てきました。

「ラマダン」とはどういうものなのか?

ヒジュラ暦(イスラム暦)の「9月」を表す。同暦では9月は29日~30日間あり、この時期にムスリムは断食する。この言葉自体に「断食」の意味はない。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」                 
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ラマダンの期間は一切、水を飲むことも、食事をとることもできないかというと、決してそうではないそうです。

日の出から日の入りまでの時間は、断食しなくてはなりませんが、日の入り後の夜間は食事することができるそうです。

もちろん、アルコール類はラマダンの期間に限らず、禁じられています。

「イスラム」と「欧州」を結ぶ懸け橋として注目されるのは、2020年オリンピック開催の候補地、イスタンブールを首都に持つ、トルコです。

トルコが要衝となる理由について、ザフェル・チャーラヤン経済大臣は次のように語っています。

多くの日本人はトルコの「位置」の利点に気づいていないようで残念だ。トルコから航空機で4時間以内に到着できるのは56カ国。

ここに人口15億人が住み、世界の所得の3分の1、24兆ドル(約2400兆円)が集中する。北アフリカや中東とはイスラム教の価値観を共有。

欧州連合(EU)とは関税協定などによって経済的な結びつきを強めている。中央アジア諸国とは民族的なつながりもある。その結節点にあるのがトルコだ。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」                    
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トルコが西のゲートウェイとすると、東のゲートウェイはマレーシアです。

その理由は2つあります。

1つは、人口はおよそ2900万人と決して多くはありませんが、国民のおよそ7割がムスリムであるからです。

もう1つは、ハラール(アラビア語で「許された」を意味する。例えば神が「食べてよい」とした食べ物はハラール。逆に許されないものは「ハラーム」と呼ばれる)食品を製造する企業の誘致に力を入れているからです。

ハラールの食品産業の市場規模は莫大です。

マレーシア第3次産業マスタープランは、世界のハラール食品産業の市場規模を5470億ドル(約54兆7000億円)、医療用品や化粧品などの非食品分野は1兆5530億ドル(約155兆円)と推計する。

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次回は、イスラム圏の市場に切り込んでいる日本企業の奮闘ぶりと、イスラム金融独特の考え方などについてお伝えします。



日経ビジネスの特集記事 #24


イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」 2013.9.23 2/3 2014-03-12 20:45:10

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

「入場券」さえあれば

イスラム版トレーサビリティー

ハラーム(許されていないもの)の成分が、食品に含有されている場合、どのようにして排除するのか疑問に感じました。

ハラールマークというものが、管理体制について専門機関が審査して付与するそうです。

この審査について、マレーシア大正製薬の井田聡氏は、
「審査は非常に厳格だ」と言っています。

審査の流れを見てみましょう。

審査は、書類検証から始まり、査察官が製造ラインを実際に検分。原材料がハラール認証を取得しているかどうか、取得していなければその原料がハラールかどうかまで調査する。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」                    
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イオンは、ハラール認証の「相互承認」の仕組みを活用しているそうです。

「相互認証」とは、いかなるものでしょうか?

生産地と販売地が異なる場合、あるいは複数国に輸出する場合、それらの国々すべてで認証を取得するのは煩雑だしコストがかかる。

こうした弊害を防ぐために、認証団体はお互いに提携している。提携している団体同士であれば、互いの認証をもって、自分たちのハラール認証と同等と見なす。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」       
      p.42       


イオンは、この仕組みを活用して、世界中のイスラム国、非イスラム国からハラールな原料を調達して、マレーシアでPB(プライベートブランド)商品を販売しているそうです。

「ハラールへの取り組みは、トレーサビリティー(生産履歴の管理)の確保。やっていることは日本と同じだ」、とイオンの宮瀬浩至社長は述べています。(P.42)

イオントップバリュ―が担う戦略は、

ハラール認証という「入場券」付きの食品を世界から集め、PB商品として開発し、イスラム圏市場で売る――。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」        
p.43        


「利子」なき世界で稼ぐ

イスラム金融でわかりにくいのは、利子を取ってはならないという教えです。

コーランに「利子」の取得を明確に禁じる一節があるそうです。

日経ビジネスは、イスラム金融について、クルマの売買を例にとって解説しています。

100万円のクルマを買いたい人がいたとする。

利用者は100万円を借りてクルマを買い、例えば月々10万円ずつ11回で返済する。

返済総額110万円のうち、元本を超える10万円が「利子」だ。

一方、イスラム金融の場合、利用者の代わりに金融機関がまずクルマを100万円で買う。

これを110万円で利用者に転売する。

利用者は月々10万円を11カ月かけて支払う。

金融機関の利益は同じく10万円。

ただし、この10万円は「利子」ではなく、転売時の「売買差益」となる。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」        
p.44        


こうしたイスラム金融の規模は拡大し続けているということです。

次回は、日本に対し憧れを抱くムスリムの人たちをどのような「おもてなし」で迎えるのか。そして、イスラムを知る9つの「常識」についてお伝えします。



日経ビジネスの特集記事 #24


イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」 2013.9.23 3/3  2014-03-12 21:01:31

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>


16億人を「おもてなし」

五輪招致のプレゼンで、元フジテレビのアナウンサー、滝川クリステルさんが「お・も・て・な・し」をフランス語のなかに混ぜて話し、一躍有名になりました。

今特集記事を読んで、驚いたことがあります(私が知らなかっただけかもしれません)。

日本の文化や歴史に好感や愛着を持っている人たちが多い、ということです。

ホテルに聖書が置いてあるのは、ごく普通のことですね。
では、コーランが置いてあったり、祈祷する場所を確保している、ホテルはあるでしょうか?

高級ホテルはムスリム(イスラム教徒)向けサービスを強化しているそうです。

訪日する外国人旅行者に占めるムスリムの割合は、1割にも満たないそうです。伸びは著しいということです。

ムスリムが和食を好む理由があります。

魚介類や野菜を多く使っているからです。

ただし、工夫が必要です。


ハラール(食べることを許されている)食品であるかどうか、という点です。

意外に思ったのは、醤油です。

アルコールが添加された醤油は、そうでない醤油に変える必要があります。

ハラール認証という障壁があり、飲食店は困惑しているかと言えば、必ずしもそうではないようです。

関西国際空港は、認証を求めるほどシャリア(イスラム法)に忠実ではないものの、ムスリムが比較的安心して利用できる「ポークフリー(豚肉を含まない)、アルコールフリー(アルコールを含まない)メニュー」を準備するよう呼びかけた。

こうしたメニューは、厳密に言えばハラールとは言えない。

だが、それぞれの店舗が「現実的に、できる範囲」でムスリムに安心して食事してもらえる環境を作ろうと努めた。

不完全でも「ムスリムをもてなしたい」という気持ちが伝われば、利用の間口を広めることはできるだろう。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」        
p.51        


イスラムを知る9つの「常識」

この中から4つ選びました。

1 断食月に外食産業の売り上げが上がる?

ラマダンの期間はむしろ、外食産業の売り上げが他の月に比べ拡大する傾向がある。

日中、飲食を慎む分、夜には友人たちとごちそうを囲む習慣があるからだそうです。


2 宗派争いの姿を借りた政治・経済対立

スンニ派とシーア派の対立は、日本国内では宗派争いという捉え方が一般的でしょう。

ムスリム人口のおよそ85%はスンニ派で、残りはシーア派と言われているそうです。ただし、イランやイラクなどではシーア派が多数を占めているそうです。

「両派の対立は、宗教的な問題ではなく、経済的もしくは政治的な問題に起因する」(P.52)ということです。

3 7世紀に生まれた“新興宗教”

「最後発のイスラム教は、ユダヤ教、キリスト教の啓典(新旧約聖書)もイスラム教の啓典として取り込んだ」(P.52)

1つ注意すべき点があります。

「アラビア語で書かれたコーランだけがコーランであり、他言語に訳されてもコーランとはならない。翻訳書は『注釈書』という体裁を取る」(P.53)ということです。


4 改宗者は死刑、姦通者は石打ち?

シャリアをどこまで順守すべきか、その基準には地域差がある。

コーランは、罪とそれに応じた罰を次のように記述している。

棄教者には死刑、婚外性行為を行った者には石打ち、飲酒した者には鞭打ち、窃盗を働いた者には手首の切断。

(中略)

国や地域によってその意義に大きな違いがある。

日経ビジネス イスラム・パワー 16億人の知られざる「世界」        
p.55       
 


日本人から見ると、残酷な罰のように感じますが、いかがでしょうか?

今特集記事を読んで、感じたことは、私たちは「相違点」に過度に注目する傾向があることです。「相違点」は認め合い、「共通点」にもっと注目すべきだということです。

あなたは、今回の特集記事を通じてどうような感想を持たれましたか?




🔷 編集後記


さて、この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことです。
私のブログは8年前のものです。

この間に変化があったかもしれません。

「イスラム金融」の考え方は面白いですね。元本を除く金額は、利息ではなく、売買益とすることです。支払う側からすれば、どちらであっても支払総額は同じです。

ハラール(許されたもの)とハラーム(許されないもの)という概念も興味深いです。

ラマダンについては、日本でも徐々に浸透してきていると感じています。

「日本の文化や歴史に好感や愛着を持っている人たちが多い」という事実は意外に感じました。

日本は古いものと新しいものが渾然一体となっています。いや、むしろゴチャゴチャになっていると言ったほうが実状を伝えているでしょう。


⭐ 参考データ

「イスラム世界と西欧の20年」(視点・論点)

このウェブサイトはNHKの「解説委員室」というページの1つです。

ポイントとなる個所を抜粋します。イスラム世界と西欧の対立が激化していった経緯がよく分かります。

「20年前、2001年の9月11日、アメリカで世界貿易センタービルや国防総省などに民間の旅客機が突入するという同時多発テロ事件が起きました。事件は、オサマ・ビン・ラディンが率いるアルカイダという、イスラム過激派組織による犯行と断定されました。
貿易センターの二つのビルが、炎と共に崩れ落ちる映像は、今も生々しく記憶に残っています」

🔶 当時、このシーンをテレビで観て大きな衝撃を受けました。
映画のワンシーンかと見紛うほどのとても信じがたいものでした。

9月11日、すなわち911は日本の119番に相当するもので、救急車を呼ぶことになるぞという警告の意味だったと言われたことがありました。
真偽の程は結局分かりませんでした。

「テロ事件の後、アメリカと同盟国は、アフガニスタンに侵攻し、イスラム組織タリバンの政権を倒しました。彼らがビン・ラディンとアルカイダを匿っていたからです」

「アメリカはイラク戦争を起こし、フセイン大統領の独裁体制を倒しました。
しかし戦争の結果、イラクは分裂し、後に『イスラム国』という恐ろしく過激な集団を生み出す原因の一つとなりました」

「イスラムは、信徒が犠牲になると、民族も国も超えて「一つになる」という意識が急激に強まる宗教です。欧米は、この点を軽く見ていました」

「イスラムを掲げる政治運動をテロ組織と決めつける風潮は、9.11以降に広がったものです」

「2015年の難民危機で、ヨーロッパの苛立ちは一気に高まります。難民に対する人道的な保護は、ヨーロッパ共通の原則ですから、彼らを排除することはできません。
そこで、自分たちの価値観に従わないのなら「ヨーロッパにはイスラム教徒の居場所はない」と主張するようになります」

「ヨーロッパ社会は、難民や移民がテロを起こしたことに激しく反発し、反イスラム感情はさらに強まっていきます。
しかし、イスラム教徒は、欧米が起こした戦争が、アフガニスタンやイラクの市民を巻き添えにしたことを忘れていません。西欧社会が、イスラムという彼らの信仰を見下してきたことも忘れていません」

「西欧とイスラムという二つの巨大な文明のあいだには根本的な違いがあり、相手を力でねじ伏せることはできないという前提に立つことです」

🔶 今後もイスラム世界と西欧の対立は続くのでしょうか?
考え方の違いを相互に認め合うということがない限り、解決することはないでしょう。妥協と言いますか、歩み寄りができるかどうかです。一筋縄ではいかないでしょうね。

⭐ 出典元: NHK  解説委員室 「イスラム世界と西欧の20年」(視点・論点)2021年09月07日 (火)


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