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秩序の破壊者 イーロン・マスク テスラの先に抱く野望 2014.09.29 2/2 2014-10-05 15:41:56





<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



秩序の破壊者 イーロン・マスク テスラの先に抱く野望 2014.09.29 1/2 2014-10-03 15:34:54



CONTENTS

PART 1 巨人たちを脅かす危険な革命児

PART 2 大風呂敷に隠されたしたたかさ

PART 3 宇宙を100倍身近にする

人類の危機を救う英雄の条件

イーロン・マスク氏 インタビュー 企業を成長させるより 世界に役立ちたい(アメブロに未掲載)



第2回は、

PART 3 宇宙を100倍身近にする

人類の危機を救う英雄の条件

イーロン・マスク氏 インタビュー 企業を成長させるより 世界に役立ちたい


を取り上げます。


今週の特集記事のテーマは

ゼロから始めた挑戦が世界の巨大産業を
揺るがしている。
航続距離が500kmを超える電気自動車をヒットさせ、
自動車業界の常識を覆した。
宇宙ロケットの打ち上げを成功し、
NASAから有人宇宙船も受注した。
目標はもっと先にある。
すべてのクルマを電気自動車にし、
激安で宇宙へ行けるロケットを開発すること。
実現すれば21世紀の産業革命と言えるほどのインパクトがある

です。


次の画像は当時の表紙を飾るイーロン・マスク氏でした。

9年経ってもあまり変わっていませんね。


イーロン・マスクという人物をご存じですか?

初耳という人がいるかもしれません。

では、テスラ・モーターズはどうでしょう?

テスラ・モーターズについては、以前、特集記事で取り上げたことがあります。


トヨタ 迫る崖っぷち 豊田章男を襲う危機の正体 2014.06.30」から、その一部を見てみましょう!

EVの圧勝だった。リーフ(日産自動車)が64台、モデルS(米テスラ・モーターズ)が28台、プリウスは37台だった。プリウスはコンセントから充電できるPHV(プラグインハイブリッド車)とHVを合わせた台数だ。

(6月上旬の午後5時半から午後6時半の帰宅ラッシュ時に、歩道橋の上からカープールレーンでのエコカーの走行台数の調査結果)

トヨタ 迫る崖っぷち 
豊田章男を襲う危機の正体 
2014.06.30 p. 034 


トヨタ 迫る崖っぷち 豊田章男を襲う危機の正体 
2014.06.30


カリフォルニア州では、EV以外はエコカーではないので、今後大幅な制限が加えられます。HVもエコカーではないので、制限されます。

今回の特集記事は、

テスラ・モーターズCEO(最高経営責任者)イーロン・マスク氏とテスラ・モーターズの「現在と未来」に迫っています。

私は、このような話にワクワクします。

イーロン・マスク氏のプロフィールをご紹介しておきましょう。

1971年8月、南アフリカ共和国生まれ。95年米ペンシルベニア大学で経済学と物理学の学位を取得後、米スタンフォード大学大学院に進学するも中退。

99年、インターネット決済のペイパルの前身企業を創業。2002年、宇宙ベンチャーのスペースXを起業し、同社CEO(最高経営責任者)。

2004年に、創業期のテスラ・モーターズに出資し、2008年から同社CEO(最高経営責任者)を兼任。

映画「アイアンマン」の主人公のモデルとしても知られる。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 p. 029 


ここまでは、前回とほぼ同様です。


PART 3 宇宙を100倍身近にする

前回は、テスラ・モーターズと日本企業との意外な関わりについてお伝えしました。

ライバルが手を組まざるをえない状況や、将来を見据えて、深慮遠謀のテスラ・モーターズの姿が浮き彫りになりました。

今回は、テスラ・モーターズのEVと並んで、主力事業であるスペースXの宇宙ロケットの開発に関する現状と、イーロン・マスク氏(以下、マスクさん)の荒唐無稽な話と一笑に付せられがちな、壮大なスケールの構想(人類を火星に移住させる)の実現のために、どうしようとしているのか、についてもお伝えしていきます。

実にワクワクする話の連続です。

今までSFの世界でしか、語られなかった出来事が、少しずつ実現に向けて進捗している様子を見ることができるのであれば、こんなに楽しいことはありません。

最初の話は、スペースX(テスラ・モーターズ、ソーラーシティと並ぶ、マスクが経営する企業の一つ)の宇宙ロケット「ファルコン9」と宇宙船「ドラゴン」などについてです。

宇宙ロケットの開発は、米国、欧州、ロシア、日本、中国の企業が、しのぎを削っています。

そんな市場に彗星のごとく現れたのが、スペースXでした。

今まさに世界各国で商業用の人工衛星を受注しようと営業活動に力を注いでいる。

そこに彗星のように現れた新興勢力が立ちはだかった。イーロン・マスクが率いるスペースXだ。2002年の創業からわずか10年余りで、ロケット打ち上げを連続して成功させ、米航空宇宙局(NASA)から、国際宇宙ステーション(ISS)に物資や人員を輸送する数千億円規模の契約にこぎ着けた。

さらに大手を押しのけて、商業用の人工衛星の打ち上げも相次ぎ受注している。

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2014.09.29 p. 041
 


ここで疑問が湧きますね?

なぜ、新興勢力のスペースXがNASAと次々に契約出来たのかということに。

その答えは2つに集約されます。

1つ目は、打ち上げコストの安さが群を抜いていることです。

それはスペースXの打ち上げコストが、群を抜いて安いことにある。

文部科学省の資料によると三菱重工のH2Aの打ち上げコストは約100億円。

これに対してスペースXのファルコン9は、約6100万ドル(約65億円)と3~4割も安い。

安さが重要なのは、宇宙開発の最大のネックはコストとされてきたからだ。

例えば、スペースシャトルは1回当たりの打ち上げ費用が1000億円に達することが批判されてきた。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 p. 041 


スペースXの技術者たちが素晴らしいと思うのは、「コスト削減を実現するために、既存の宇宙ロケットのコスト構造を徹底的に分析し、多くのロケットの基本技術が30~50年前に設計された旧時代の遺物だった」
(p. 041)ことをつきとめたことです。

その結果、斬新な発想でロケットを開発しました。

例えば、ロケットの先端に取付けられ、人工衛星を保護する“殻”の役割を果たす「フェアリング」。ライバルのロケットは火薬を仕込んだ多数の爆発ボルトを使うが、スペースXのロケットは空気圧技術を使って分離する。

コストを安くできるだけでなく、フェアリングを分離する際に火薬爆発の衝撃がないため、人工衛星を軌道に投入しやすいという。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 p. 041 


スペースXの宇宙船「ドラゴン」は民間として
初めて国際宇宙ステーションとのドッキングに成功
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テスラの先に抱く野望 2014.09.29


さらに、コストを下げるためのしっかりした施策を打っています。
「中核部品の内製化」と「エンジニアの平均年齢が30代前半と若いこと」です。


ファルコン9の性能はライバルと互角だが費用は格安 ●世界の主な宇宙ロケット
秩序の破壊者 イーロン・マスク 
テスラの先に抱く野望 2014.09.29


しかし、ここまでに至るまでには3度のロケット打ち上げに失敗し、4度目の失敗をしたらマスクさんは破産していたそうです。

マスクさんは強運の持ち主でした。

4度目にして初めて、打ち上げに成功したのです。

Heaven helps those who help themselves.
(天は自ら助くる者を助く)

という言葉がありますが、必死でチャレンジする人に、天は味方したのでしょう。

マスクさんは、背水の陣で臨んでも、米国企業によくあるリストラはしませんでした。

社員の給料を、マスクさんは個人の小切手で支払ったそうです。

「私はこれまでもこれからも決してギブアップしない。息をしている限り、生きている限り、事業を続ける」(p. 048 「編集長インタビュー」から)
と幹部や社員たちに言ったそうです。

こんな経営者はなかなかいません。「『起業家は毎週100時間、地獄の
ように働くべき』が持論」(p. 031)ということで、率先垂範する人です。

となれば、社員も必死で働かないわけにはいきません。


NASAと契約出来た2つ目の理由は、NASAがロケットの信頼性を高める工夫を評価したためです。

ファルコン9は、その名が象徴するように1段目のロケットに9基のエンジンを搭載する。仮に1基のエンジンが故障しても任務を遂行できる構造だ。

ライバルの宇宙ロケットは、1段目に主力エンジンと複数の補助エンジンを搭載する構造が多く、主力エンジンが故障すると任務遂行は難しくなる。

秩序の破壊者 イーロン・マスク 
テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 p. 042-043
 


他社との差別化は明らかです。

NASAの選択は納得できるものです。

マスクさんにとっては、これらの事業の成功は通過点に過ぎません。

最終目的は、「火星に到達できるロケット」の開発です。遠大で実現不可能とも考えられそうな目的ですが、明確な方針を打ち出しています。

次世代ロケット「ファルコンヘビー」だ。

ファルコン9に搭載する9基のロケットエンジンを3倍に増やすことで強力な推進力を生み出す。ファルコン9の3倍以上の約53トンの重量物を宇宙空間に運ぶことができる。

ファルコン9で実証済みの技術を活用するため、開発期間も短縮することが可能になる。ファルコンヘビーの最初の打ち上げは、来年にも実現する予定だ。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 p. 043 


「火星に到達できるロケット」の開発に向け、着実かつ高速な歩みを続けています。


人類の危機を救う英雄の条件

『日経ビジネス』によれば、マスクさんはこう表現できるそうです。

「人類」という言葉を使う経営者は珍しい。実際、これだけのスケールで環境破壊や資源枯渇など人類の危機を救うというビジョンを掲げた経営者、いや人物はいないだろう。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 p. 044 


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テスラの先に抱く野望 2014.09.29


人類の危機を救うための条件を『日経ビジネス』は2つ挙げています。

一つはより多くの同志を作ること。1人や1社で世界を変えるのは限界がある。もう一つは自社の事業や利益にこだわり過ぎないことだ。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 p. 044 


その指摘に対して、マスクさんの信奉者には著名人が名を連ねます。

トヨタ自動車社長の豊田章男氏や米グーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏、米大統領バラク・オバマ氏などです。

マスクにほれ込んだ経営者は、山田(喜彦・パナソニック副社長 註:藤巻隆)だけではない。

トヨタ自動車社長の豊田章男もその一人だ。

2010年にはマスクとともにEVのロードスターに乗り、意気投合。カリフォルニア州知事のシュワルツネッガーとともに会見に臨み、EVを共同で開発・生産するために資本・業務提携すると発表した。

米グーグル共同創業者のラリー・ペイジには「財産を残すなら、慈善団体ではなくマスクに譲る。未来を変えられるからだ」とまで言わしめている。ペイジは創業から間もないテスラに出資したほか、会社としてソーラーシティに出資している。

米大統領のバラク・オバマや日本の首相の安倍晋三も、マスクに会うためにわざわざ時間を割いた。

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2014.09.29 p. 044
 


テスラの将来に懸念材料はないのでしょうか?

『日経ビジネス』はかなり厳しい目で評価しています。

高く評価しているからこそ、懸念しているのです。

現状は素晴らしくても、将来にわたって盤石であるとは断定できないからです。人類の歴史を振り返ってみると、成功者が後に敗者になるケースは枚挙にいとまがないからです。

高級車であるモデルSやモデルXについては、テスラの競争優位は続くだろう。環境負荷の低いEVの普及と、自社の収益拡大を両立することができる。問題はその次だ。

テスラは2017年頃に投入を予定するモデル3で大衆車市場に足を踏み入れる。500kmの航続距離やデザインなどで当面は競争優位を確保できるかもしれないが、巨額の研究開発費を持ち、量産ノウハウに優れる自動車大手にいずれ追いつかれるだろう。

その時にテスラは何を競争力にするのか。

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2014.09.29 p. 045
 


私の考えは、モデル3が一般消費者にどれだけ受け入れられるかで、テスラの命運が決まる、と見ています。

どんなに性能面でモデル3と同等であっても、製品のブランド力がモノを言うと思うからです。

それは、必ずしも老舗のコーポレート・ブランドだけで決まるわけではない、と思います。プラスアルファのアルファの部分です。

最後に、テスラの由来をご紹介しましょう。

マスクさんが一人の発明家をどれほど尊敬しているかが分かります。

マスクが尊敬し、社名の由来でもあるニコラ・テスラは19世紀後半に活躍した発明家だ。交流電流を発明し、直流電流を推すトーマス・エジソンと対立。

エジソンの功績が称えられるのに対し、異説を唱える狂人扱いされることもあったとされる。

その後、変圧が容易な交流電流は、電力網に象徴される社会の基幹システムとなり、偉大な発明家だったことを歴史が証明した。

マスクは、狂人扱いされても信念を貫き、社会に役立つ発明に挑戦し続けたニコラ・テスラに、自らを重ね合わせているように見える。

「人類の未来に役立つなら、会社が滅びても構わない」という覚悟を持ち続けることがマスクの求心力となり、21世紀の産業革命を起こす原動力となる。

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2014.09.29 p. 045
 


私は、マスクさんの現在と将来に対し、盛大な拍手をおくりたい、と思います。


イーロン・マスク氏 インタビュー 企業を成長させるより 世界に役立ちたい(アメブロに未掲載)

最後に、アメブロに未掲載のインタビュー記事の一部を掲載します。

経営危機を私財をなげうって乗り越え、EVや宇宙ロケットを軌道に乗せてきた。逆境こそが、イノベーションを実現する強い動機になると説く。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 


(写真=的野 弘路)
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テスラの先に抱く野望 2014.09.29
 


私たちは人々のEVに対する認識を抜本的に変えたい。EVには、スピードが遅く、見栄えは良くなくて、航続距離は短く、性能も低いというイメージがありました。こうした常識をことごとく破壊して、EVは世界最高のクルマであることを見せつけたい。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 


世界で1年間におよそ1億台のクルマが生産されています。EVが市場シェアの5割を占める時代が来るのは、はるか先でしょう。それでも私は今後15年以内に、EVが5000万台に達する日が来ると信じています。

テスラ・モーターズの今年の生産台数は3万5000台で、来年は6万~7万台になる見込みです。世界の新車市場に占める比率はとても小さい。
それでもテスラは自動車産業に巨大なインパクトを与えようとしています。

「消費者はEVを好む」という現実を自動車大手に見せつけたい。私たちは自動車各社がもっとEVへ投資するように背中を押そうとしているのです。

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最終的に自動車大手がテスラよりも優れたEVを生産できるようになれば、テスラは存在する必要はありません。優れたEVを作っている限り、テスラの存在意義があるのです。

しかし私は自動車大手とEVで激しく競争することを心から望んでいます。なぜなら、それはEVの販売台数が増え、技術がより進化することを意味するからです。

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モデル3は発売まで2年半~3年かかります。小型でマスマーケットを狙ったEVを商品化するには、巨大な電池工場「ギガファクトリー」が必要になります。それまではモデルSと来年発売するSUV(多目的スポーツ車)の「モデルX」に注力します。

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ギガファクトリーで電池を集中生産することにより、規模のメリットが生じ、電池パックの技術革新も進みます。こうした取り組みで、電池関連のコストも30%削減できます。

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テスラは完全に製造を外部に委託する計画は持っていません。テスラは、商品の企画・設計に特化し、製造を完全に外部に委託するアップルモデルに踏み込むことを考えていません。

テスラは、メーカーであることに非常にこだわっており、製造技術の革新も続けていきます。私は個人的に製造業が好きで、それは素晴らしいと思っています。製造業では数多くのイノベーションが実現可能です。

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テスラの先に抱く野望 
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テスラの先に抱く野望 2014.09.29


FCV(燃料電池車)は自動車産業が進むべき正しい道だと思っていません。なぜなら燃料電池は水素を使うからです。水素を生産するには、水や炭化水素から水素を分離しなくてはなりません。そのためにはたくさんのエネルギーが必要です。また水素は分子が小さくて扱うのが難しい。安全面や水素の生産コストなどにハードルがあります。

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私は自動運転技術の熱心な信奉者です。以前は市販車における完全な自動運転の実現には10年はかかると思っていましたが、たぶん5~6年で実現できそうです。開発には時間がかかりますが、テスラは5年程度の時間軸で、自社のEVに完全な自動運転技術を搭載することを考えています。すべてのクルマに、自動運転技術が搭載される日が来るでしょう。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29
 


スペースXでは、当初、宇宙ロケットを開発するのに本当に苦労しました。3回失敗しても大丈夫なだけの資金はあったのですが、本当に3回も失敗してしまいました。資金的にぎりぎりの状態で4回目の打ち上げに挑んで、何とか成功させました。もし4回目の打ち上げが失敗していたら、スペースXは破綻して、今は存在していなかったでしょう。

息をしている限り、あきらめない。
絶望は強烈なモチベーションになる。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29 


ジョブズ氏は本当に偉大です。亡くなったのは本当に悲しい。彼は信じられないくらい素晴らしいアップルという会社と、人々が愛してやまない独創的な製品を創造しました。尊敬すべき点が実に多い。

でも私とジョブズ氏は違います。私は、彼よりも、エンジニアや科学者としての側面が強いと思います。彼は商品の美しさやユーザーインターフェースの面で優れていましたが、私は筋金入りのエンジニアです。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29
 


テスラとソーラーシティは両方とも「持続可能なエネルギー」に関連する会社です。エネルギーの持続可能な製造と消費を実現する。両社は同じコインの裏表なのです。

スペースXでは、人類が複数の惑星で生存できる道があるかどうかを確かめたいと思っています。人類の文明と技術が高いレベルにあるうちに、宇宙を探検し、火星に恒久的な基地を建設したいのです。

私は悲観主義者ではなく、未来に関して楽観的です。終末論が好きなわけでもありません。しかし歴史は、技術が波のように進歩したり、後退したりすることを示唆している。歴史上の多くの文明はそのような経験を繰り返してきました。そうならないことを願いますが、技術の後退が起きる前に火星に基地を作ることは重要だと思います。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29
 


私は単純な成長だけを目的に企業を成長させようとは思っていません。会社の成長よりもEVをもっと普及させることの方がはるかに重要です。それが世界にとって良いことだからです。株価うんぬんは関係ありません。「私たちは世界に役立つことをしている」。それが一番大事で、それこそが私のモットーです。

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テスラの先に抱く野望 
2014.09.29
 


9年前のインタビューですが、今日のテスラモーターズの躍進を予見していた、いや正確に将来を見据えていたことが分かります。

驚くことばかりですが、当時トヨタ自動車とEVで資本・業務提携していたことは、この記事を読み直してみて、改めて驚きました。

自動車生産台数では、トヨタ自動車はテスラモーターズを圧倒していますが、テスラの時価総額はトヨタの時価総額の3.53倍です。

トヨタは今日のテスラを予想できたでしょうか?



🔷編集後記

この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-10-05 15:41:56)のことでした。

大幅に加筆修正しました。

9年ぶりにこの記事を読み返してみて、驚くと同時に唸らされました。
私を含め、9年前にテスラやイーロン・マスク氏のことを詳細に知っている人はあまりいなかったのではないかと思います。

自動車業界においても、イーロン・マスク氏は「大ぼら吹き」「あだ花」などと揶揄していたのではと推測します。

ところが、現在はどうでしょう。自動車業界で時価総額は世界一で、しかもマスクさんは世界一の資産家です。

当時、このようになると想像できた人はどれだけいたでしょうか?
ほとんどいなかったに違いありません。マスクさんを除いて。

有言実行の人であることはわかりましたし、実績を残してきました。

私は、人間が考えた時から行動に移すまでには3段階があると考えています。

つまり、「判断」→「決断」→「断行」です。
詳しくは、次の記事をご覧ください。

とにかく、マスクさんは発想から行動までが素早いのです。アジャイル(機敏、俊敏)と言う言葉がありますが、まさにそのものです。


マスクさんの生い立ちを知りたくて読んでいる本があります。
少々古い本ですが、イーロン・マスクとはどんな人物なのかを知る手掛かりになります。

『イーロン・マスク 破壊者か創造神か』 竹内一正 2016年11月30日 第1刷発行 朝日新聞出版

裕福な家に生まれたそうですが、マスクさんが8歳の時に両親が離婚し、弟と妹とともに母親に育てられたそうです。

母親の性格はバイタリティ溢れる人だったそうです。マスクさんは母親の影響を大きく受けたことでしょう。

マスクさんは幼いころから本が好きだったそうです。空想力も豊かだったと思われます。

1971年、南アフリカ共和国も首都プレトリアの裕福な白人家庭で生まれたイーロン・マスクは、幼い時から本が大好きだった。(中略)『ロード・オブ・ザ・リング』や『銀河帝国の興亡』に熱中し、8歳でブリタニカ百科事典を全巻読破した。小学校の高学年になると10時間も本を読みふけることさえあった。

『イーロン・マスク 破壊者か創造神か』 
竹内一正 p. 21 
 


イーロンが8歳の時に両親は離婚し、イーロンは弟、妹とともに母親と暮らすことになった。だが、母のメイは内向きな専業主婦タイプではなく、外に出てバイタリティ溢れる栄養士として働き、3人の子供を見事に育てていった。

『イーロン・マスク 破壊者か創造神か』 
竹内一正 p. 23 


17歳になるとイーロンは母親の親戚が住むカナダにひとりで渡った。親戚の家々で世話になったり、時に1日1ドル以下の貧しい暮らしも体験した。

『イーロン・マスク 破壊者か創造神か』 
竹内一正 p. 24
 


応用物理学と材料工学を学ぶためにせっかく入ったスタンフォード大学院をたった2日で辞めると、イーロンの後を追いかけて南アフリカからカナダに渡った1歳違いの弟のキンバル・マスクとオンライン・コンテンツの出版ソフト制作会社「Zip2」を創業。
(中略)
イーロンは24歳で作ったソフト制作会社Zip2社を、PC界で急成長し業界の旗手となっていたコンパック社に3億ドルで売却し、これにより約2200万ドル(約22億円)を手に入れ億万長者の仲間入りをした。次にインターネットの決済サービスを提供する「Xドットコム」という会社を創業した。

『イーロン・マスク 破壊者か創造神か』 
竹内一正 pp. 27-28
 


大学で学んでいたイーロンはたびたび「人類の将来にとってもっとも大きな影響を与える問題は、一体何か」と考える変な学生だった。そして、たどりついた結論は「インターネット、持続可能なエネルギー、宇宙開発」の3つだった。

『イーロン・マスク 破壊者か創造神か』 
竹内一正 p. 33
 


⭐マスクさんは今年で52歳になるので、実に30年ほど前に現在の事業の基となる考え方を確立し、その後もずっと事業を具体化するために試行錯誤を重ね、実現したことになります。

性格に問題があるという批判を受けることが多いマスクさんですが、信念を持って行動し、実現させるというバイタリティは驚異的です。


参考文献


今思い出しましたが、スティーブ・ジョブズの伝記を著したウォルター・アイザックソンが最近、イーロン・マスクの伝記を発表しました。


(10730文字)


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