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インドネシア 覚醒する「未完の大国」 2013.4.8 #2 2013-12-27 17:01:29

【『日経ビジネス』の特集記事】 #2  初出 2013-12-27 17:01:29 <バックナンバー>

⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所重要と考えた個所を抜粋しました。

⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。

⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当しますには、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。

⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」「雑誌発行年月日」を表示します。

再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


2022年5月25日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の6月以降に定期購読する予定です。



日経ビジネスの特集記事 #2

インドネシア 覚醒する「未完の大国」 2013.4.8 1/3 2013-12-27 17:01:29

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

インドネシアと聞いてイメージするのは、バリ島やジャワ島、パプアニューギニアなどではないでしょうか。

あるいは開発途上国といったところでしょうか。

今号の日経ビジネスはそんなイメージを払拭する内容です。
今週の特集記事を読んで2つのキーワードに着目しました。

多様性(ダイバーシティ)」と「変質」です。

まず、多様性についてお話しましょう。
1人当りGRDP(域内総生産)の比較を見てみましょう。

首都ジャカルタは1万46ドルですが、北マルクという地域はわずか570ドルです。1人当りの格差は、実に17.6倍にもなっています。

バリは1850ドル、域内で最も人口の多い(4305万人)西ジャワは1880ドルです。

ジャカルタ近郊に住む、貸し切り自動車の運転手をしているジュンピさん(60歳)の生活実態が紹介されていました。

ジュンピさんの月収は500万ルピア(5万円)で残業代がついて600万ルピア~700万ルピア(6万~7万円)になるそうです。

私が驚いたのは、主食のコメの消費量です。
ジュンピさんは妻と末っ子の3人(長女と次女は嫁いでいます)で暮らしています。

3人は3食ともコメで1カ月に50㎏食べるそうです。
量が多いと思いませんか?
1人当り1カ月で17㎏ですよ。

私たち日本人は、こんなにコメを食べていませんよね?

ちなみに、コメの値段は1㎏当たり8000ルピア(80円)前後ということですから、月40万ルピア(4000円)です。

ジュンピさんの家には、薄型テレビも冷蔵庫もインターネットに接続できるパソコンもあります。

冷蔵庫には「ポカリスエット」や「ヤクルト」が冷やしてあります。

これで、インドネシアでは「中の下」くらいの生活水準だそうです。


次回では、インドネシアへの先入観についてご説明します。




日経ビジネスの特集記事 #2

インドネシア 覚醒する「未完の大国」 2013.4.8 2/3 2013-12-27 17:12:07

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

5つの先入観とは?


1 インドネシアはBOP(Bottom Of the Pyramid、ピラミッドの底辺)市場である

2 インドネシアは人件費は安い

3 インドネシアは親日国である

4 インドネシアはイスラム国家である

5 インドネシアは資源国である




以上の事柄は、インドネシアに詳しい人でもそう思い込んでいることばかりです。

ところが、実態は全く異なることを日経ビジネスは示しています。


1について
コンビニエンスストアが増えるに従って、消費経済がそれぞれの階層で凄まじい速度で浸透している、ということです。

まだ、上位中間層を狙って、JCBはプラチナカードのみを発行している。上級会員の比率を高め、他のカードとの差別化を図るための戦略です。

2について
最低賃金は44%も上昇している。


3について
自動車や2輪、日用品、飲料などの多くの日本製品が愛されている。
しかし、「親日」とは限らないし、「親中国ではない」という意味でもないのです。外交において多様性が重視されています。


4について
インドネシアの宗教分布を見ると、確かに88.1%がイスラム教だそうですが、キリスト教9.3%、ヒンズー教1.8%などもあります。

イスラム教では豚肉は禁忌(タブー)ですが、豚骨ラーメン店が増えていることから、華僑などイスラム教徒以外をターゲットにしていることが分かります。


5について
かつて石油産油国であったインドネシアは、今は輸入国となっています。
一方、石炭の生産量は伸び続け、輸出も伸びています。

しかし、経済成長に伴い電力需要が急増することが予想され、受給が逼迫することは避けられない情勢になっているそうです。

これらの事実は、3現主義(現場、現物、現実)で見なければ、
見えてこないことばかりです。



大前研一氏は、『「リーダーの条件」が変わった』(小学館101新書)
の中で、次のように書いています。


いま世界ではBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に続く新興国としてVITAMIN(ベトナム、インドネシア、タイ、トルコ、アルゼンチン、南アフリカ、メキシコ、イラン、イラク、ナイジェリア)などが注目を集めている。

このうちブラジル、インド、インドネシアは、いずれも2025年までに日本を抜いて世界3位の経済大国になることを目標にしている。

もしそうなったら、15年後くらいに日本は世界で6位か7位に転落する
わけだ。

『「リーダーの条件」が変わった』 大前研一 (小学館101新書)             

次回は、「多様性(ダイバーシティ)」と並ぶキーワード
「変質」についてお話します。




日経ビジネスの特集記事 #2

インドネシア 覚醒する「未完の大国」 2013.4.8 3/3 2013-12-27 17:28:43 

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

変質について

前回、少し触れましたがインドネシアは「親日」ばかりではなく、「親中国」も少なからずいます。

インドネシアと日本との外交関係において、明らかな質の変化が見られるという意味で、「変質」というキーワードを使いました。

日経ビジネスでは「変質」という言葉は使われていません。

インドネシアでも大統領選挙が2014年に実施されます。
ユドヨノ大統領の任期が2014年で終わります。
インドネシアの憲法の規定により、2期10年務めた同大統領の再選はありません。

アメリカ大統領の任期は2期8年です。
任期に制限を加えているのは、独裁を許さないためです。
独裁に伴う汚職を防ぐためでもあります。

「権力必腐」という言葉があります。
権力を持つと必ず腐敗する、という意味です。

歴史を紐解くと、ルーマニアのチャウセスク大統領、イラクのフセイン大統領、エジプトのムバラク大統領、さらに北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と息子金正恩(キム・ジョンウン)第1書記などなど。

数え上げればきりがありません。


さて、インドネシアで次期大統領選候補として注目を集めているのは、ジャカルタ特別州の知事選挙で当選したジョコ・ウィドド氏(通称ジョコウィ)だそうです。

「誰がインドネシア大統領にふさわしいかと尋ねるアンケートが実施されると、必ず同氏の名が挙がる」ということです。

そのウィドド氏はインドネシア政治の現状を次のように話しています。

「能力があり、人々のことをいつも思っている指導者を欲している。政治家や大物実業家の声だけでなく、人々の願望を誠実に聞いてくれる人物だ。そのような姿は、人々を鼓舞し、やる気を抱かせるだろう」

「変質」に話を戻しますと、インドネシア商工会議所(KADIN)・インドネシア委員会のソニー・ハルソノ委員長が述べた言葉が象徴的です。

「昔のインドネシア人は、日本人に会えばニコニコして頭を下げて話を聞いた。だが、そんな時代はもう変わった。私たちも言うべきことを言う」

丸紅からインドネシア財閥・シナルマスグループに転じた小林一則専務はこう語っています。


かつて日本は、インドネシアにとっていい『親』だった。日本は、様々な技術をインドネシアに教えた。でももうインドネシアは成長して一人前になった。
これからは教えるのではなく、彼らがどうなりたいのかをよく『聞く』姿勢が大切だ。

インドネシア財閥・シナルマスグループ 小林一則専務                  
      


1万8000を超える島々に住み、300を超える民族2億4000万人は
どこへ進んでいくのでしょうか?

インドネシアの現況については下記の概況・基本統計をご覧ください。

インドネシアの概況・基本統計

⭐ 出典元: JETRO



🔷 編集後記

インドネシアについて詳しい人は、商社勤務の方々や学者、専門家など一部の人たちだけでしょう。

ですから、当時の『日経ビジネス』の取材班が3現主義(現場・現物・現実)に則り、現地に飛んで取材し、肌で感じたことをつぶさにリポートしたことは意義がありました。現地記者の協力もあったことでしょう。

もちろん、取材班が実体験したこと、感じたことがインドネシアのすべての実態を示しているとは限りません。

しかし、少なくとも私には新聞記者たちとは一線を画したと考えています。

なぜ新聞からスクープが出なくなったのかを考えると推測できます。
新聞記者が記者クラブのメンバーとなり、同じソース(官邸の発表など)を元にして記事を書くのですから、内容は似たりよったりになるのは当然です。

本来、スクープを取るには記者は自分の足で稼ぐことだ(外回りの営業と同じですね!)、と言われてきましたが、記者クラブがあるおかげで(?)その必要性が失われました。独自取材を行わないのです。行う必要がないのです。

官邸内などでノートPCを使って記事を作成し、インターネット経由で編集部へデータを送信することが仕事になっていると思ってしまいます。

一方で、記者クラブのメンバーではない週刊誌(週刊文春や週刊新潮など)の記者たちが、なぜスクープ記事を書けるのかを知ると納得できます。

日本で最も恐れられる雑誌、なぜ『週刊文春』ばかりがスクープを取れるのか?

この記事によれば、

「腕っこきの記者たちはどこに活動の場を求めるか? 『週刊文春』か『週刊新潮』しかない。どちらを選ぶかといえば、勢いがあって雰囲気も明るい『週刊文春』にみんな行きたがるんです」

「媒体としての信頼度が高いこともポイントだと柳澤氏は強調する。『スクープの9割は内部リークというのが業界の常識』(柳澤氏)であり、政治家や大企業の社長など、権力者のスキャンダル記事には、もみ消そうという強い圧力がかかる。告発者が圧力にすぐに屈してしまうメディアにネタを持っていくことはない」

「文藝春秋では編集部の独立性が保たれている。『週刊文春』編集長がやると決めたことには、誰も口出しできない」

週刊文春』はあらゆる圧力や忖度を撥ねのけてくれる、という信頼があるからこそ、告発する側も安心できる。リークする人っていうのは、第一に自分や家族の安全を確保したい」

「告発する人は『自分の身が危うくなるかもしれない』というリスクを負って週刊誌に情報を流している。そこにあるのは正義感です」

🔶 問題は告発者からのネタを金を出して手にするのかという問題があります。この点について、つぎのように書かれています。

「一般には誤解されがちだが、『週刊文春』はネタをお金で買ってきているわけではない。交渉にもそもそも応じていない。告発者側もお金欲しさに情報を流しているわけではないのだ」

スクープの実例を挙げて説明しています。

「森友文書の改竄をやらされて、自殺に追い込まれた近畿財務局の赤木俊夫さんの遺書にしたって、あれを『文春』が載せなかったら世の中に出なかったかもしれない。果たしてそれでいいのか? っていう話ですよ。文春の記者たちは『俺たちがスクープから下りてしまったらほかに誰がいるんだ?』というプライドを持って事件を追っている。記者クラブというなかよしクラブの中で権力者に従順に飼いならされている連中とは一緒にしてもらいたくない、と」

記者クラブのことが語られていますね。


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