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【大人の流儀 伊集院 静 心に響く言葉】 Vol.61

大人の流儀

 伊集院 静さんの『大人の流儀』から心に響く言葉をご紹介します。私は現在『大人の流儀』1~10巻を持っています。このうちの第1巻から心に響く言葉を毎回3件ずつご紹介していこうと考えています。全巻を同様に扱います。

 時には、厳しい言葉で私たちを叱咤激励することがあります。反発する気持ちをぐっと堪え、なぜ伊集院さんはこのように言ったのだろうか、と考えてみてください。しばらく考えたあとで、腑に落ちることが多いと感じるはずです。

 帯には「あなたのこころの奥にある勇気と覚悟に出会える。『本物の大人』になりたいあなたへ、」(『続・大人の流儀』)と書かれています。

 ご存知のように、伊集院さんは小説家ですが、『大人の流儀』のような辛口エッセーも書いています。



「星~被災地から見たこの国」から

伊集院 静の言葉 1 (181)

 マグニチュードで七くらいはありそうな揺れである。そうか余震で大半の家は崩壊するとはこのことか。自宅は十数年前に半年間かけて大補強をした。その効果があったのか集中的に補強した東半分の建物は壁も亀裂がなかった。仕事場に行く。ヒドイ。コピーとファックスを兼ねる機器が一メートル近く飛び出している。机の上に本やら書類が山が崩れたように落ちている。椅子も横転している。このままいたらどうなっていたか。    

大人の流儀 2 伊集院 静                               



「星~被災地から見たこの国」から

伊集院 静の言葉 2 (182)

 被害状況が少しずつわかる。取材ヘリで現場に行った記者がラジオから伝える。
「南三陸町上空ですが、水だけがひろがって町が消えています」
-----何、町が消えている?
「津波によって襲って来た水が覆っているのでしょうか。一部の高いビルの建物の影が見えるだけで町が消えています」
-----どうして水が引かないんだ?    

大人の流儀 2 伊集院 静                               


「星~被災地から見たこの国」から

伊集院 静の言葉 3 (183)

 各市町村の津波が襲った状況が伝えられる。仙台空港も津波に襲われて滑走路も使用不可能になっている。この頃になると各被災地との連絡がまったく取れないことがわかる。携帯電話も本電話もまったく機能せず。
 ラジオを聞きながら消えた町を想像するが光景が浮かばない。  

大人の流儀 2 伊集院 静                               


⭐ 出典元

『大人の流儀 2』(書籍の表紙は「続・大人の流儀」)
2011年12月12日第1刷発行
講談社



✒ 編集後記

『大人の流儀』は手元に1~10巻あります。今後も出版されることでしょう。出版されればまた入手します。

伊集院静氏は2020年1月にくも膜下出血で入院され大変心配されましたが、リハビリがうまくいき、その後退院し、執筆を再開しています。

伊集院氏は作家にして随筆家でもあるので、我々一般人とは異なり、物事を少し遠くから眺め、「物事の本質はここにあり」と見抜き、それに相応しい言葉を紡いでいます

🔷 「ラジオを聞きながら消えた町を想像するが光景が浮かばない」

このような被災状況では、自分が住む町や近隣地区さえどうなっているか正確な情報はなかなか掴めません。

伊集院氏は携帯電話や本電話が使えなくなりました。
情報収集のための唯一のツールはラジオでした。
携帯ラジオは、電灯線(AC電源)だけでなく、乾電池が使えるので、常備しておいたほうが良いでしょう。手回し充電や太陽光充電機能が付属していたら尚いいですね。

ラジオから流れてくる情報は断片的かもしれませんが、まったくないよりは安心感があります。



🔶 東日本大震災から11年:被災地と復興の現状


⭐ 出典元: 公営財団法人ニッポンドットコム 東日本大震災から11年:被災地と復興の現状 2022.03.09



🔶 伊集院静氏の言葉は、軽妙にして本質を見抜いたものです。随筆家としても小説家としても一流であることを示していると私は考えています。


<著者略歴 『大人の流儀』から>

1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。

91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。

作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』などを手がけている。



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⭐ 私のマガジン (2022.09.05現在)





















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