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安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29 #17 2014-02-26 16:18:20

【『日経ビジネス』の特集記事】 #17  初出 2014-02-21 22:26:24 <バックナンバー>

⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所重要と考えた個所を抜粋しました。

⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。

⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当しますには、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。

⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」「雑誌発行年月日」を表示します。


再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


2022年6月19日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の7月以降に定期購読する予定です。



日経ビジネスの特集記事 #17


安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29 1/3 2014-02-26 16:18:20

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

ノートに記した「戒め」

安倍晋三首相が時々眺める自筆のノートがあるそうです。

第1次安倍内閣は2006年9月に高支持率を得てスタートしましたが、
体調を崩し、あえなく1年間で終わりました。

なぜ1年で終わったのか。どの判断が間違っていたのか。

そんな胸の内を2007年暮れから書き綴ってきたものだそうです。

「ノートには『情に流されてはいけない』という趣旨の戒めの言葉が記されているという」。

短命で終わった第1次安倍内閣の要因は何だったのか?

日経ビジネスは次のように指摘しています。

「必要な情報が官邸に上がりにくくなり、首相~閣僚~各省庁とつながる縦の指揮命令系統が機能不全に陥ったことも政権の早期崩壊の要因だった」。

官僚組織は、根源的な問題が長年指摘されてきながら、一向に改善されていません。

縦割りのため各省庁との連携がうまく取れません。

昔、東京大学名誉教授・中根千枝さんは、日本はタテ社会に特徴があると、
タテ社会の人間関係(講談社現代新書)


この本が出版されたのは、1967年2月16日のことです。
約半世紀前です。

半世紀経っても、縦割り行政は全く変わっていません。
「協働」や「共創」は、所属する組織内でしかできません。

優れた民間企業であれば、横断組織(クロスファンクショナルチーム)に
よって全体最適を追求しています。
官僚組織にはそれができません。

既得権益を死守することだけに血道を上げ、自分が所属する省庁のことだけを考えて働いています。

それが国民の利益に反することであってもです。

話が横道にそれたので戻します。

「その(指揮命令系統が不全に陥った)反省を踏まえ、今回の人事で重視したのは『情より実務』。

象徴が官邸の人事だ。前回は要の官房長官に『お友達』の1人で経済政策を頼る塩崎恭久氏を起用したが、今回は迷うことなく菅義偉(すが・よしひで)氏を充てた。第1次内閣の崩壊後も安倍首相の復活を後押ししてきた菅氏。

(中略)

永田町や霞ヶ関に張り巡らしたネットワークに基づく統率力や判断力を買ってのことだ」。

菅氏を「司令塔」にしたことでどのような効果があったのでしょうか?

1つは、

「官邸を菅氏を軸に回す意図を明確にしたことで菅氏が司令塔として政権運営全般に目配りする体制が機能している」

ことです。

もう1つは、

「菅氏を司令塔に情報収集と迅速な判断を下す体制を整備したことは、危機管理の面でもプラスに作用している。前回の内閣では相次ぐ閣僚のスキャンダルへの対応が後手に回り、それが内閣支持率急落の引き金となった。

その苦い経験から、今回は菅氏が汚れ役を買って出て、早期の幕引きを図る場面が続いている」

ことです。

挫折の教訓を生かしているポイントとして、日経ビジネスはこのように指摘しています。

「政策の優先順位を冷静に判断している点だ。第1次内閣では『戦後レジームからの脱却』を旗頭に憲法改正の手続きを定めた国民投票法の制定や教育基本法の改正など保守色の濃い政策を実現した。

(中略)

『自分がやりたいことと国民がまず実行してほしいこととがかみ合っていなかった』」。

どう変わったのかを一言でいえば、

「理念先からリアリストへ」

ということになります。

先の参議院選挙で大勝した自民党ですが、建設業界や農協、医師会などの組織をバックにして当選した議員が多数います。

TPP(環太平洋経済連携協定)への参加を決定した安倍内閣にとって、このような団体の利害に直結する政策は推進しづらく、族議員の反対に遭遇することは避けられないでしょう。

次回は、「敵は『自民党』にあり」と題してお伝えします。




日経ビジネスの特集記事 #17


安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29 2/3  2014-02-26 16:27:34

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>


敵は「自民党」にあり

先の参議院議員選挙で、大勝した自民党は左団扇かと思いきや、敵は外部ではなく内部にいることを思い知らされました。

どういうことでしょうか?

今回の選挙で初出馬した候補者だけでなく、再選を目指す候補や捲土重来を目指した候補者の中には、建設業界や農協あるいは医師会などの支援を受けて立候補した人たちがいます。


決して少数ではありません。


こうした当選者のバックの組織に不利になるような政策は取りにくくなった、と言えるでしょう。

安倍政権がTPP(環太平洋経済連携協定)への参加表明をしたことにより、日本は聖域なき関税撤廃に従わざるを得なくなります。

TPP(環太平洋経済連携協定)には既に基本ルールが成立していて、日本に都合の良いルール変更は認められないからです。

「日本にとって最大の焦点となるのが『聖域』扱いしているコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5分野の扱い。安倍首相は『守るべきものは守る』と強調するが、これらの分野をすべて自由化の例外扱いすれば品目ベースで見た自由化率は約94%にとどまる。

高い自由化を目指すTPPだけに一部自由化へ譲歩を迫られる公算が大きい」

アベノミクスの3本の矢、「金融政策」「財政政策」「成長戦略」のうち、「成長戦略」には規制改革が不可欠です。

多数の規制を設け、既得権益を死守しようとする官僚組織と規制に守られている既述の各種団体に大なたを振るうことができるのでしょうか?

「『改革の一番の敵は自民党だ』。安倍首相は親しい関係者にこう漏らしている。党内の抵抗に屈し、TPPや規制改革論議を前に進めることができないと、アベノミクスや政権への期待が一気に剥げ落ちかねない」。

さらに、消費税増税と社会保障制度改革は安倍政権の足かせになりかねません。

消費税増税で、過去、何度も景気が停滞してきたことを考慮すると、実施時期をどうするかは頭を悩ませることです。

年金問題や健康保険の社会保障制度改革についても、年金支給開始年齢を先送りしたり、支給額を減らすということは、国民にとって大きな痛みになります。

日本では国民皆保険制度が運用されています。

本人3割負担を継続していくことは、国にとって大きな困難になってきています。そこで、混合診療の導入をアメリカ政府は日本に強く迫っています。

混合診療は、3割負担以外に10割負担の医療を行おうとするものです。

同じ病気をして入院する場合、富裕層は10割負担でも何の問題もなく支払えるでしょうが、生活にゆとりのない人たちは治療を受けることができなく
なるかもしれないのです。医療でも格差が生じることになります。

「2014年4月に続いて2015年10月に消費税を10%に引き上げても、目標を達成することはできない。財務省内では早くも2020年にも消費税を10%からさらに引き上げるシナリオが語られている」。

「来春にも70~74歳の医療費の自己負担を1割から2割に戻すことが有力視される。

年金については、来年の通常国会以降、与党が主導権を握る形で現行の年金制度をベースに検討に入る見通しだ」。

次回は、「『短命ドミノ』に終止符」についてお伝えします。




日経ビジネスの特集記事 #17


安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29 3/3  2014-02-26 16:36:22

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>


「短命ドミノ」に終止符

近年、首相はほぼ1年おきに代わってきました。

前回、2006年9月に首相に就任した、安倍晋三氏は急病のため366日で退任しました。

1年ですね。

安倍氏の後を継いだ福田赳夫氏の在任期間は365日、麻生太郎氏は358日で自民党政権は終わり、民主党政権に移りました。

首相の在任期間の短さは、民主党が政権を獲得しても変わりませんでした。

鳩山由紀夫氏の在任期間は266日と最短で、その後菅直人氏は452日、民主党最後の首相の野田佳彦氏は482日で政権を自民党に譲りました。

そこで、焦点となるのは、安倍晋三氏の再登場で、この短命内閣の流れに終止符を打つことができるか否か、ということです。

安倍政権には難題が山積しています。大きく分けて3つあります。

1つは、原発の再稼働問題です。

「核燃料サイクルの継続や国のエネルギー基本計画に原発をどう位置づけるかなど先送りしている問題への対応は待ったなしだ」。


2つ目は、日中関係です。

頻繁に、尖閣諸島周辺への中国船舶が接近し、周辺上空を中国籍と思われる偵察機が飛来しています。

ジャーナリストの田原総一朗氏は次のように指摘しています。

「今年中に日中首脳会議が実現できなければ、さすがに経済界も黙っていない。安倍政権の大きな痛手となる」。

注目すべきなのは、今月15日終戦記念日に、安倍首相が靖国神社を参拝するかどうかでしょう。

「終戦記念日や秋季例大祭に安倍首相が靖国神社に参拝すれば、中国の態度硬化は必至。安倍首相は長年の懸案である靖国問題への対処も問われること
になる」。

3つ目は、憲法改正に絡む安全保障政策です。

「安全保障政策では、年内にも安倍首相がこだわりを持つ集団的自衛権の行使容認を巡る議論に本腰を入れる可能性がある。

ただ連立パートナーの公明党は行使容認に否定的。安倍首相は世論の反応を見極めながら日本維新の会などとの連携で議論を深める構えだ」。

これら難題に立ち向かうには不安材料があります。

1つは首相の権限が弱いことです。

「大きな不安要素の1つは日本の首相の権限が弱く、制度に守られていない現状に変わりがないことだ」。

「その一例が首相や閣僚が国会に縛りつけられていることだ」。

さらに、

「日本の政府には国会に提出した法案と予算案の審議の際にスケジュールをコントロールしたり、中身を修正したりする権限が実質的にないこと」。

もう1つの不安材料は自民党内のガバナンス(統治)への懸念です。

「自民党政治の代名詞だった派閥はほぼ有名無実化している。派閥の役割が急低下したことで派閥領袖クラスによる党内の調整機能や、統制システムが
格段に弱まったのは否めない」。

安倍政権は多くの難題を抱え、また獅子身中の虫とも言える自民党内の問題にどう取り組み、長期政権を持続することができるでしょうか?

多数の国民が選挙で選んだ自民党政権ですから、仮につまずくことがあっても、国民の責任であることを忘れてはなりません。

日経ビジネスは、このように締めくくっています。

「長きにわたる混迷を抜け、安倍首相による長期安定政権が見えてきた今だからこそ、強いリーダーを支える仕組みや国民の意識の変革が不可欠だ」。




🔷編集後記

ご存じのように、その後、安倍政権は長期政権を堅持しました。

3本の矢(金融政策・財政政策・成長戦略)を掲げました。
キーワードは素晴らしかったのですが、3つ目の成長戦略は不十分のまま菅義偉(すが・よしひで)前官房長官に首相の座を譲りました。

菅政権は短命に終わり、あまり期待されていなかった岸田文雄氏が首相の座を獲得しました。

私たち国民は、自民・公明の連合政権であろうと、現在野党の各党が単独で政権を取り戻すことができないのであれば、合従連衡でも構わないのです。

国民のための政策を立て続けに実行してもらいたいものです。
その意味でも、有権者は7月の参議院議員選挙に「清き一票」を投じてほしいですね。

1票の格差はなかなか縮まらないですが、公平性の観点からも改善を続ける努力を止めてはいけません。

国民にとって大きな問題が山積しています。自民党・公明党の連合政権にとっては自分事とは捉えていない雰囲気があります。

1 国民の平均賃金が上昇しないこと。
2 ドル高円安による物価高(多くを輸入する日本はドル高円安はマイナス
 要因)
3 原油価格の上昇は、ガソリン価格の上昇にとどまらず、電気料金の価格
 にも跳ね返っている。
4 原発の再稼働問題
5 ロシアと中国の動向
6 防衛費の増大
7 憲法改正(改悪?)
8 公共料金の値上げラッシュ


大前研一氏は日本の三大問題として、少子化問題、教育問題、地方問題を取り上げています。

大前研一アワー 458

~日本の三大問題①~


「日本では、①少子化問題、②教育問題、③地方問題、この三大問題が足かせとなり、世界に類を見ない低欲望社会が加速し、経済の衰退が止まらない」

「少子化と高齢化が同時に加速しており、日本の人口減少には歯止めがかからなくなっている。少子化が日本にもたらす影響には、『経済的影響』と『社会的影響』があり、国家存続が危うくなる極めて深刻な問題である」

「ドイツの出生数は、11年に66万人にまで落ち込んでいたが、移民の受け入れなどにより、2016年には出生率が1.59に上昇、1970年代以前の水準に復活した。ドイツの少子化対策は、日本にとっても参考となり得る。

日本では、経済の低成長が続き、賃金が上昇せず雇用形態が安定しない中、中流から転落して子どもにつらい思いをさせたくないという不安から、交際や結婚をしない若者が増加している。これが少子化の直接的な要因である。日本の若者に特有の『子どもを持つ経路におけるボトルネック』を解消していくように対策を実施する必要がある」

⭐ 出典元: ビジネス・ブレークスルー 初回 2021年4月17日(土) 20:00

少子化問題は予想以上に深刻な問題ですね。短期間で解決することではありません。


大前研一が語る「日本人はどれだけ働いても給料は上がらない」理由 2022.6.6


大前氏は、非常に耳に痛い意見を敢えて発しています。

「『給料が増えなくても、日本はデフレだから実質的にプラスだ』という見方もあるが、これは誤りだ。2002年から平均給与は0.4%しか増えていないのに対し、物価(消費者物価指数)は2.7%増えている。実質的にマイナスなのだ」

30年間のデフレからインフレに転換しています。所得は増えず、物価高では庶民の生活は苦しくなるばかりです。

「日本では、どれだけ真面目に働いても給料が上がらない。その理由は単純で、企業の労働生産性が低いからだ。
(中略)
ただし、製造業だけで比較すると、日本の生産性は低くない。では、どこが足を引っ張っているかといえば、ホワイトカラーの間接業務だ。

総務・人事・経理・法務などの間接業務は、21世紀になってもデジタル化による生産性向上が進んでいない。情報システムを整備して誰もがパソコンで業務を進めるようになっても、生産性は上がっていないのだ。その理由は、間接部門の組織が相変わらず20世紀型だからだ」

「働く人と働かない人を同じ職場に置いておくのは100%誤った発想だ。この誤った発想のせいで企業の生産性は低いままなので、社員の給料も上がらない。このような悪循環に陥っているのだ」

「日本人の給料を上げるためにやるべきことは決まっている。それは間接業務のデジタル化を進めて生産性を高めることだ。仕事がなくなった人は再教育によって21世紀に必要なスキルを身につけさせる。」

「日本政府には、企業が雇用を維持するために補助金を出すことはするが、『要らない人を外に出し、公的責任で21世紀のスキルを身につけさせる』という仕掛けさえない」

大前氏は批判するだけでなく、具体的な代案を提示しています。これが重要です。批判だけで代案を提示できない評論家は|数多《》あまたいます。

⭐ 出典元: 幻冬舎 GOLD ONLINE  2022.6.19




 




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