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伊藤雅俊の商いのこころ 第6回

伊藤雅俊の商いのこころ 第6回

伊藤さんは、当時、米セブン-イレブンを経営していたサウスランド社との交渉は難しい、と考えていたようです。

ところが、現会長で当時、取締役だった鈴木敏文さんが交渉をまとめました。

その後は、皆さんがよくご存知のとおりです。

この話の背景には、ダイエーがセブン-イレブンを経営していたかもしれないという、エピソードがあります。

最初、セブン-イレブンの営業権譲渡の話は、ダイエーの中内功さんに持ち込まれたそうです。

ところが、中内さんは断ったそうです。それで、次にヨーカ堂に話が回ってきたということです。

日本国内でのセブン-イレブンの成功を見て、中内さんは同じコンビニのローソンを経営することになったのです。

歴史に「たら、れば」はありませんが、節目節目で後世から見ると、「あの時やっておいたら…」「あのタイミングで契約していれば…」ということはありますね!



コンピューターの普及で、商品の単品管理ができるようになったことが決め手

少数多頻度の現在の配送システムの確立には大変な苦労がありました。追い風になったのはその後の情報革命の急進展です。

コンピューターの普及で、商品の受発注がオンライン処理されるようになり、セブン-イレブン自身が最大の推進役となったバーコードの普及と重なって、商品の単品管理ができるようになったことが決め手です。

『伊藤雅俊の商いのこころ』 p. 111



「これでもう大丈夫」と安心できたのは、1974年(昭和49年)の一号店から2年後に、百店を超えた時です

不安でならなかったコンビニエンスストアの新事業が、「これでもう大丈夫」と安心できたのは、1974年(昭和49年)の一号店から2年後に、百店を超えた時です。

『伊藤雅俊の商いのこころ』 p. 112



セブン-イレブンのないヨーカ堂は考えられません

セブン-イレブンは利益でヨーカ堂を追い抜き、株式の時価総額でもヨーカ堂を凌駕します。セブン-イレブンのないヨーカ堂は考えられません

『伊藤雅俊の商いのこころ』 p. 112



⭐出典元 『伊藤雅俊の商いのこころ』



➳ 編集後記

この記事を最初にアメブロに投稿したのは、9年前(2014-04-24 21:39:22)のことです。

伊藤雅俊さんは2023年3月10日に逝去しました。享年98歳でした。
ご冥福をお祈りします。


伊藤雅俊さんが亡くなられてから、セブン&アイグループHDで大騒動が巻き起こっています。

アクティビストと言われる「物言う株主」である、バリューアクト・キャピタル(以下、バリューアクト)がセブン&アイグループHDの経営陣と対立しています。

経営陣の刷新を要求しています。

バリューアクトはセブン&アイグループHD(以下、セブン&アイ)の大株主です。そのため、強い要求を行なうことができます。

セブン&アイは要求をはねのけました。

セブン&アイ、激化するアクティビストとの対立 求められるのは「人」選ではなく「事業案」選



🔴「コンピューターの普及で、商品の受発注がオンライン処理されるようになり、セブン-イレブン自身が最大の推進役となったバーコードの普及と重なって、商品の単品管理ができるようになったことが決め手です」

以来、コンビニ業界では、セブン-イレブンが新システムを最初に導入し、数年後に他のコンビニ(ローソン、ファミリーマート、ミニストップなど)がそのシステムを採用することになっています。

つまり、常にセブン-イレブンが先頭に立っているわけです。他社がシステムを採用した時点で、セブン-イレブンはさらに先行しているのです。これでは追いつけません。

ですから、システムではなく、PB(プライベートブランド)に注力し、例えばスウィーツで独自性を出そうとしています。あるいはポイント制で差別化を図っているということもありましょう。

下のチャートをご覧ください。コンビニ業界は成長が鈍化してきていることが見て取れます。店舗数が飽和状態にあり、自社の店舗が接近し顧客の奪い合いになっているケースもあります。

コンビニ業界の現状、ランキング、動向などを分析 業界動向サーチ 2023/02/28


コンビニ業界の現状、ランキング、動向などを分析 業界動向サーチ 2023/02/28



売上高で、セブン-イレブンは2位以下を大きく引き離しています。
米国の大手コンビニを買収したことが大きな要因です。

セブンプレミアムは時にナショナルブランドの商品より高価ということがあります。ダイソーの一部の商品も扱っています。

2位のローソンは、高級スーパーマーケット「成城石井」を傘下に置いていますが、まだシナジーは十分に発揮できていないように見えます。

一時、成城石井を東京証券取引所に上場するという話が持ち上がりましたが、取りやめになりました。今後については未定です。

尚、ローソンの筆頭株主は三菱商事です。

ローソン(2651)の株主 株探から


3位のファミマ(ファミリーマート)は、「『セブンイレブンと同じことはやらない』という攻めの姿勢で臨む」(【3分で理解】ファミリーマートの経営方針に学ぶ差別化戦略 キャククル 2022年07月17日)ことが生き残るための戦略と言えそうです。

ファミマは2020年11月12日に東証1部(現・東証プライム)の上場廃止となり、伊藤忠商事の完全子会社となりました。

ファミマ、上場廃止に漂う「個人株主の哀愁」

コンビニ業界2位のファミリーマートは10月22日に臨時株主総会を開いた。親会社の伊藤忠商事などが全株式を取得し上場廃止に向けた手続きを進めることについて株主からの承認を得た。伊藤忠商事は7月から8月にかけて実施したTOB(株式公開買い付け)で、ファミマ株の保有比率を65.71%に上げていた。ファミマは11月12日に上場廃止となる見込みだ。

ファミマ、上場廃止に漂う「個人株主の哀愁」 東洋経済オンライン 2020/11/01 5:30

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藤巻 隆
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