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大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(27)

『ロウアーミドルの衝撃』(27)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』(発売日 ‏ : ‎ 2006/1/26です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

国民負担を強いないで繁栄を世界から呼び込む能力こそ、21世紀の政治家に要求されるもっとも大切な資質なのである


中国が突然走り出したのも偶然ではない。

北京の中央集権が1998年に終焉(しゅうえん)を迎え、「中国連邦」として生まれ変わったからである。

そして、インドもまた州別に走り始めて、世界から大注目されるに至っている。

繰り返すが、カネは世界中にありあまっているのだ。

国民負担を強いないで繁栄を世界から呼び込む能力こそ、21世紀の政治家に要求されるもっとも大切な資質なのである

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈325〉                              



ボーダーレス経済における「繁栄の最適単位」は、最小で人口300万人から最大2000万人程度である


日本にとってもっとも適した道州制のあり方はどういったものか。

今世界で繁栄している北欧やアイルランド、アメリカやアジアの「地域国家」などの経済活動の単位を測ってみると、ボーダーレス経済における「繁栄の最適単位」は、最小で人口300万人から最大2000万人程度である

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈326                             
                                  
         







国は防衛や通貨など、国家統治のために最低限必要なことを行うだけで、後はすべて道州に任せればいい


300万人~2000万人の単位は、国としての規模を立派に持っているから、中央の権限を委譲するのにじゅうぶんな受け皿となる。

国は防衛や通貨など、国家統治のために最低限必要なことを行うだけで、後はすべて道州に任せればいい

立法なども、どうしても全国的に統一する必要のある事柄を除いて、基本的には道州ごとに行えるようにすればいいのである。 

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 3 〈327〉                           



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔷 「道州制」のコンセプトを提示したのは、大前氏です。

自著やメルマガ、講演会などで持論を展開しました。

大前氏は、イメージではなく、数字で示し、具体的な提言をしました。

大前氏の考え方は、私たち一般人の考え方より一步も二歩(五歩も十歩?)も先行しているためか、私たちは真意を理解できずに、やり過ごしてしまいがちです。

大前氏が発言してから5年くらいたつと、「そういうことだったのか!」という事実に、とても多く気づかされます。

大前氏を批判する人は少なくありませんが、批判する人の多くが、自分の身分を隠して批判する態度は如何なものかと思います。

批判するなら、まず「自分はどういう人間であるのか」を明示し、「大前氏の考え方のどの点がおかしいのか」、「私はこう思う」という対案を示すことが不可欠です。

ところが、そうした基本的なルールさえ知らない人がいます。

文句を言うだけです。

日本では「言論の自由」が認められています。
ですが、その自由は限りなく認められているわけではありません。

発言には「責任」を伴うことを自覚しなくてはいけません。

2ちゃんねるでの発言のように、ハンドルネーム(HN)で「言いたい放題」の態度は、無責任としか言いようがありません。

誰がそんな人物を信用しますか?

HNを使うと、別人格を意図的に作り出すことができます。

HNで言いたい放題の人は、日常生活の中では、気が小さく、ボソボソと小声でしか話せない人かもしれません。

対面で話すことができない人かもしれません。

そのような人には、HNは別人格を使うのは都合がいいのです。

自分の考え方が優れていると自信があるなら、堂々と持論を展開するべきです。

あなたはどう思いますか?

🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。




⭐ 参考になるデータをご確認ください。(再掲)


道州制

道州制(どうしゅうせい)とは、国家の地方行政制度のひとつで、行政区画として「道」と「州」を置くもの。「府県制」「市制」「町村制」などにならった用語である。

日本では、現行の都道府県よりも広域な行政区分として「道」と「州」を新たに設ける構想を指す。

⭐出典元: 道州制 Wikipedia


大前氏が考えた道州制とは?

本物の道州制、ニセモノの道州制

2009年とかなり前に大前氏が提言した「道州制」について、本人自ら概要を述べています。

「現業の行政区を一度オールクリアにして、日本の国家運営の体系はどうあるべきか、統治機構をどうするのか、改めて決める。そして都道府県や市町村という現行の区割りを廃して、新しい時代に即した国家構成の単位として『道州制』を取り入れようというのが、かねてからの私の主張である。

私の道州制プランはこうだ。区割りはシンプルに、道州とコミュニティの2通りだけにする。

コミュニティの規模は、人口30万人程度とすると、日本全国で400ほどのコミュニティができて、これが生活基盤の単位になる。

道州は地域国家の概念に照らして一つの経済圏として成り立つ大きさで、500万~1000万人規模で11の“道”に区割りするのが私の案。

道州の役割は産業基盤の整備。世界中から資金、情報、企業、人材を呼び込んで雇用を創出し、経済を活性化する。そのための財源として、企業や個人から付加価値税を徴収する」

*全文を読むためには、President Onlineに無料登録する必要があります。 

⭐出典元: President Online PRESIDENT 2009年6月29日号





大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-07-14 20:51:01)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。










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