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「中国失速」の真実 2013.10.7 #26 2014-03-14 21:24:11

【『日経ビジネス』の特集記事 】 #26  初出 2014-03-14 21:24:11 <バックナンバー>

⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所重要と考えた個所を抜粋しました。

⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。

⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当しますには、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。

⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」「雑誌発行年月日」を表示します。


再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


2022年7月20日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の7月以降に定期購読する予定です。



日経ビジネスの特集記事 #26


「中国失速」の真実 2013.10.7 1/3 2014-03-14 21:24:11 

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

「失われた10年」高度成長の爪痕 

石炭バブルの宴は終了

中国が日本のGDP(国内総生産)を抜いて、世界第2位となったのは、2010年のことでした。

その後の中国は、「世界の工場」として目覚ましい発展を続けてきました。

ところが、最近になってその成長の影で、いろいろな歪が露呈し始めました。

北京や上海では、大気汚染が深刻化し、市民はマスクなくして外出することがままならなくなっています。

PM2.5という有害物質は、中国上空に高く舞い上がり、日本にも到達し、一部で被害が出ています。

そうした中国に、日経ビジネス取材班は乗り込み、現場をつぶさに観て、中国の「今」をリポートしています。

一般週刊誌と一線を画す日経ビジネスの取材は、中国の問題は「対岸の火事」ではないことを、私たちに突きつけています。

湯気が出るようなホットな話題を、日経ビジネスの特集記事を通じてお伝えします。

最初は、マンションの建設ラッシュについてです。
その裏で、どんなことが起こっているのでしょうか?

北京から西へ500km離れた陜西省楡林市神木県。古くから炭鉱の街として知られた神木は、中国で最大級の埋蔵量を誇る「神府東勝炭田」の中心に位置する。

この神木が本格的な発展を遂げたのは胡錦濤(フージンタオ)政権(2003~2013年)の10年間だった。

石炭価格はこの10年間、ほぼ右肩上がりで上昇してきた。10年までは貧しい炭鉱の町に過ぎなかった神木は「石炭マネー」で急速に豊かになった。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.28
                   


しかし、その一方で、深刻な問題も出てきています。

今の中国は手放しで喜べる状況にはない。

高度成長が残した爪痕が社会のあちこちに露見している。胡錦涛政権は「和諧社会(格差のない調和の取れた社会)」というスローガンを掲げてきたが、成すべき改革は先送りばかりしてきた。

まさに中国は「失われた10年」と呼べる状況にある。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.28                   


具体的にどのようなことでしょうか?

神木は今、新市街を中心にマンションの建設ラッシュに沸いている。新市街
には計画的に配置された高層マンションは、ざっと数えただけでも100棟を数える。

人口40万人足らずの神木にどれだけのマンション需要があるのか。

神木の場合、事態をさらに悪化させているのが高利貸しの存在だ。

神木では多くの住民が数十%から数百%という高利で借金して、そのカネを
石炭開発に投資していた実態が明らかになった。

石炭投資で儲けが出ていたのは僅かな期間だけだった。

今年に入って石炭価格が下落すると破産する者が続々と現れた。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                  
  pp.28-29
                  


赤字でも過剰生産

石炭は化石燃料であるため、石炭を燃やせば有害物質や二酸化炭素を排出します。これらが原因で公害をもたらしているのです。

半世紀近く前の日本も「高度成長」の名のもとに、石油や石炭などの化石燃料を燃やし、大気中や川、最終的に海に有害物質を垂れ流す愚を犯しました。

もちろん、そのことによって日本はGDPで世界第2位(当時)の国となったわけです。

物事には、必ず光と影の二面性があります。

中国の鉄鋼業界は今後も従来と変わらない社会インフラ投資が続くと期待して、毎月6000万トン以上という過去最高水準の生産を年初から続けてきた。

各社がフル生産を続ければ、当然のことながら在庫は積み上がる。

赤字でも過剰生産を続けるのはなぜか。

なぜなら生産を減らすと余剰人員が発生する。

業績不振で企業が淘汰されたら大量の失業者が出てしまう。こうした事態を回避するために、地方政府は地元企業を手厚く支援する。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.31
                   


問題はこれだけではすみません。

過剰生産は人民の生活も脅かしている。

最近、中国で問題視されるようになった大気汚染はその典型だ。「PM2.5」と呼ばれる微粒子状物質は、石炭を大量に燃焼させる鉱工業の発展と密接に関わっている。

大気汚染のあまりのひどさに北京市民は「諦めよう。この空気は中南海の人間も吸っている」と慰め合う。

中南海とは共産党幹部が住む地区を指す。

環境汚染は大気だけでなく土壌や水質にまで広がっている。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                  
 p.31
                  


経済発展が生む格差

中国では土地の所有は認められていません。
使用権だけです。

そのため中国は北海道の土地を買いあさっているのです。

北海道は水資源が豊富であることが重要なポイントになっています。土地と水資源を同時に手に入れることができる、北海道の自然は中国人にとって宝の山なのです。

土地の使用権を持つ地主であれば現金を支給されるか、代替地があてがわれるなど補償を受けられる。だが、借家住まいの人には何の補償もない。

つまみだされてそれで終わりだ。

振り返ってみれば、中国の経済発展は格差を認めることでスタートしたと言っても過言ではない。

親が共産党幹部など特権階級に属す場合、その子供は生まれながらにして豊かな生活が保障される。こうした金持ちの2世代目を、中国では皮肉を込めて「富二代」と呼ぶ。

一方、貧しい家庭の子供は「貧二代」と呼ばれ、多くの貧しい生活を強いられる。

かくして貧富の格差は次世代にまで引き継がれ固定化していくことになる。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
pp.32-33                   

                  

中国がわかりにくい国と見られている理由の一つは、「中国政府は都合の悪い事実を公表しないことが多い」からでしょう。

中国における格差は、いたるところに弊害をもたらしています。

今や格差は中国社会のあらゆるところに腐敗を伴って存在している。

中国改革研究基金会の調査によると、いわゆる「灰色収入」と呼ばれる来歴不明の収入の総額が6兆2000億元(約100兆円)とGDPの12.2%に相当することが分かった(2012年のデータ)。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.33                   


この数字を見ると、中国の腐敗はここまで来ているのか、と思うとゾッとしますね。

次回は、「だが早期破綻はない」と「『困る中国』こそ商機」というテーマで、日経ビジネスの特集記事をお伝えします。

お楽しみに!



日経ビジネスの特集記事 #26


「中国失速」の真実 2013.10.7 2/3 2014-03-14 21:43:49

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

だが早期破綻はない

なお有効なインフラ投資も

前回、マンションの建設ラッシュが進行中で、過剰供給に陥っている状況をお伝えしました。

中国全域でこうした事態を招いているわけではない、というのが日経ビジネスの見方です。

実は中国の公共投資は一貫して年率2割ほどのペースで増え続けている。

北京や上海の地下鉄、または上海~南京間の高速鉄道のような、明らかに高い収益が見込める案件は減りつつある。

ただ、足元に限れば最低限の採算が合い、街の経済を活性化させるような案件が残っているのも事実だ。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.35
                   


財政に余裕あり

中国経済に関連して、「シャドーバンキング」という言葉がよく出てきます。地下経済とも言える表に出てこない金融です。高金利で融資をしているのですが、実際にどれだけの規模なのかは推測するしかありません。

シャドーバンキングがどれほどの規模にあるのかは明確ではない。多くの金融機関が推計しているが、数字はまちまちだ。

あえて言えば20兆~30兆元(約320兆~480兆円)の範囲にあるとの見方が多い。

中国政府の財政にも余力がある。

国際通貨基金(IMF)によれば、中国政府の債務は2012年末時点で12兆元(約192兆円)弱。GDP(国内総生産)に対する比率は2割ほどにとどまり、大半の先進国よりも健全に見える。

シャドーバンキングを通じた資金調達など、地方政府や国有企業の債務をどう加味していくかがポイントになる。

様々な見方がある中で、例えば格付け会社の米英フィッチ・レーティングスは、広義の政府債務をGDP比で74%と見積もる。

現時点では、地方政府などを含めた公的債務はGDP比で60~80%ほど、というのが一般的な見方だ。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.35                   


「困る中国」こそ商機

中国国内では、レンガ生産をロボットを使って、行っているそうです。製造ロボットを導入するには高額な設備投資が必要になるにも関わらず、どうしてこのようなことをしているのでしょうか?

レンガは工業製品の中でも低付加価値品の代表選手のような存在だ。手作業で作るレンガは、農民が農閑期に副収入を得るための手段というイメージがある。

「実態は逆です。このような低価格な品々に、もう人手はかけられないのです」。

ベンチャー企業で製造部門の責任者を務める夏順文氏はこう話す。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.38
                   


中国の人件費が高騰し、今まで中国で生産していた日本企業はインドネシアなどへ拠点を移し始めています。中国の競争力が低下してきているのです。

「チャイナプラス1」という言葉にも現れています。

中国は日本以上に少子高齢化が進行しています。
こうした傾向は、日本企業に商機を生み出しています。

介護事業者は、これまで培ったノウハウを活かせる新市場として、中国に期待しています。

カゴメは内モンゴル自治区にトマト畑を持ち、大切な調達先にしています。

「リスクと手間をかけてでも、付加価値の高いトマトを作ってほしい。カゴメが培ってきた疫病対策を生かせば、双方にメリットがある」(P.41)と考えたからです。

次回は、「朱鎔基の再来なるか」と「中国の強さと弱さ」というテーマで、お伝えします。

お楽しみに!




日経ビジネスの特集記事 #26


「中国失速」の真実 2013.10.7 3/3  2014-03-14 22:18:04

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

朱鎔基の再来なるか

朱鎔基元首相は、国有企業改革やWTO加盟で辣腕を振るったということですが、後を継いだ李克強首相は学者肌で、どこまで政策を実行できるかが、問われています。

朱鎔基元首相が共産党幹部の汚職に対して厳しい姿勢を貫いたことを象徴する言葉があります。

「100の棺桶を用意せよ。私の分も1ついる」

李克強首相とはどんな人なのでしょうか?

北京大学を優秀な成績で卒業した李克強は、学者肌であるがゆえに線が細いとも指摘される。

その李克強が、中国経済を安定成長に導くために必要な改革を断行できるかどうか。ひとえに国家主席の習近平が支えきれるかどうかにかかっている。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.45
                   



中国は、国家よりも共産党を上位に置く特殊な政治形態を持っています。

共産党幹部が出世するための条件があります。

共産党幹部は、担当する自治体の経済を任期中にどれだけ成長させたかで出世が決まる。

人間の欲と国に発展をシンクロさせる仕組みがはまり、中国は驚異的な経済成長を成し遂げた。

日経ビジネス 「中国失速」の真実                   
p.45
                   



中華人民共和国が誕生してから現在までの歴代指導者と主な政策を見てみましょう。

第1世代 毛沢東

大躍進政策
(工業と農業の大増産を図るも大失敗)


第2世代 鄧小平

改革開放、先富論
(豊かになれる者から先に富め)


第3世代 江沢民

愛国主義、3つの代表
(企業経営者にも党員資格を与えた)


第4世代 胡錦濤

和諧社会(格差の是正)、科学的発展観
(持続可能な発展)


第5世代 習近平

中国の夢
(中華民族の偉大な復興)



中国は1党独裁の政治形態なので、大過なく過ぎれば、習近平体制が2023年までの10年間政権を担うことになります。


中国の強さと弱さ

日経ビジネスは中国の強さと弱さをそれぞれ2つずつ取り上げています。

強さ1

都市化はもうしばらく続く

農村人口は今も6億人を超えている。
年間1000万~1500万人が都市部に移動すると仮定しても、もうしばらくは都市化の恩恵は受けられそうだ。


強さ2

消費に力強さはないが、伸びている

消費関連のビジネスには十分な可能性がある。民間の自動車保有台数は1億台を超えた段階。

自動車販売が急減速するとの予測はほとんどない。


弱さ1

高齢化はヒタヒタ迫る

2012年末の時点で、65歳以上の人口は1億2714万人に達した。日本の総人口と同じ数の高齢者を抱えていることになる。対象を60歳以上に広げれば2億人近い。


弱さ2

投資効率はかなり低下

足元ではGDP(国内総生産)に占める投資の割合が約5割に達している。
しかも、この比率は徐々に上がってきており、目先の成長確保のために投資を繰り返してきたことを裏づける。機会化や自動化、そしてイノベーションを進めて生産性を改善することができるかが問われる。



今回の特集記事は、中国の現状と将来の展望でした。近い将来、中国はGDPで米国を抜き世界一になることはほぼ確実と見られています。
もはや、中国国内の問題は中国1国の問題ではなく、日本にとっても世界にっても重要な問題を孕んでいることが分かります。




🔷 編集後記


さて、この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことです。
私のブログは8年前のものです。

この期間に中国で大きな変化がありました。

習近平主席の任期は2023年でしたが、その後もさらに主席に留まろうと画策しています。最終的には自分の子や孫に至るまで永久的に主席の継承者となるような行動をしています。

この問題は中国一国だけですむことではありません。
習近平主席は「一帯一路構想」を掲げ、アジア諸国だけでなく、アフリカ諸国含め中国の支配下に収めようとしています。


習近平主席とロシアのプーチン大統領が接近し、習近平主席はロシアのウクライナ侵攻に理解を示しています。

このことは、日米欧の考え方と対立することです。

一部の報道では、中国内部でクーデター計画が明らかになっています。
習近平主席の独裁を許さないという動きです。
ただ、クーデターが失敗すれば、首謀者だけでなく関わった人間は粛清されることは明白です。




⭐ 参考データ

中国経済は悪化、20年のコロナ禍より幾つかの側面で深刻-李首相

このサイトの中で重要なポイントを抜粋します。

「コロナ感染封じ込めのロックダウン(都市封鎖)が繰り返し実施されているため、米国の経済成長率が1976年以降で初めて中国を上回る可能性が高まっている。こうした状況の中、中国政府の指導部は成長の下支えに努めている」

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