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大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(3)

『ロウアーミドルの衝撃』(3)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

1%金利が上がれば、個人部門の収入は14兆円増える


今の日本には1400兆円の個人金融資産があるのだから、金利を上げたほうが景気は良くなる。
金利を下げるのは、銀行や一部の企業を救済する、これまた提供者の論理だ。
1%金利が上がれば、個人部門の収入は14兆円増える
常識的な4~5%の金利水準が維持されれば、年間50兆~70兆円ものカネが市場に出てくる。
政府部門のできるどんな景気対策よりも効果が大きいのだ。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈253〉                     



国と地方の債務と短期債務、財投債を合わせた政府の債務残高は、2004年度ですでに1000兆円を超えている


日本にとって最悪のシナリオは、国債の暴落である。
国と地方の債務と短期債務、財投債を合わせた政府の債務残高は、2004年度ですでに1000兆円を超えている。それを支える国債が暴落すれば、
日本の国家財政そのものが破綻してしまう。
2001年末にアルゼンチンの国債がデフォルトを起こしたのと同じような事態が起き、年率4ケタの超インフレが発生して、日本政府が金融緊急措置法を発令して預金封鎖するといった最悪のケースも、絶対にないとは言えないのである。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈254〉                             
                                  
         







所得格差の拡大にともなう所得階層の二極化、とりわけロウアーミドルクラス以下が国民の大半を占めることが及ぼす影響は、個々の生活にとどまらない


所得格差の拡大にともなう所得階層の二極化、とりわけロウアーミドルクラス以下が国民の大半を占めることが及ぼす影響は、個々の生活にとどまらない
マーケットの劇的な変化を引き起こし、企業戦略の転換や組織体系の改編を促すとともに、日本の社会や国家の仕組みそのものにも大きな変革をもたらすことになる。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 3 〈255〉                                                                     



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。

🔷 大前さんは、「預金封鎖」について言及していますが、私も可能性ゼロではない、と思っています。

預金封鎖が実施されると、預金者は自分のお金であるにも拘らず、一定額しか引き出せないか、あるいは一切引き出すことができなくなります。

日本国債が暴落すれば、日本中がハイパーインフレに見舞われることになるになります。

日本国債の大半を所有しているのは、日銀をはじめ、日本の金融機関ですから、体力のない金融機関は破綻します。

日本国債の残りの保有者は日本国民と、一部の機関投資家(生保など)や外国人投資家です。

その点が、米国債と異なります。金利はもちろん異なりますが、米国債の大半の保有者は、米国の金融機関や米国民ではなく、今では中国です。昔は日本でした。

その意味で、米ドルの最大保有国は中国です。
もっとも、米ドルは基軸通貨ですから、必要なら米国はどんどんドル紙幣を印刷すれば良いのです。

その結果、インフレを加速させることになりますが…。
貨幣価値が下がるからです。

1929年の世界大恐慌直後、日本でも預金封鎖が実施されました。


デノミネーション(デノミ)が実施される可能性もあります。
デノミは、例えばこのようなことです。

例えば、100円が1円に、つまり100分の1に変更されることです。
新紙幣を発行し、従来の紙幣と交換することになります。

タンス預金をしていた人は、そのまま持っていると、紙くずになってしまいますから、すべての紙幣を出さざるを得なくなります。

私は金持ちではないので、デノミが実施されてもまったく影響を受けませんが。

あなたはいかがですか? 心配になりましたか?


大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-05-16 22:34:34)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。



✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。









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