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蜘蛛の瞳(1998)

黒沢清監督の1998年作品「蜘蛛の瞳」を見た。当時、「蛇の道」と共に2本撮りで製作されたVシネ作品らしい。

物語的には、「蛇の道」のその後みたいになっていて、娘を殺した犯人に6年がかりで復讐を果たした男が、長きにわたり執念を燃やした"復讐"という生きる糧が消えたことから情熱をなくし、虚無の中で生きていくお話。「蛇の道」に続いて哀川翔さん演じる新島が主人公だ。

いろいろ調べていると、物語の起点となる「蛇の道」のシナリオがなかなか完成しなかったために、前段の話が分からないままに続編の「蜘蛛の瞳」のシナリオを書かねばならなくなったとか… そんな背景があったようで。それが理由なのかはわからないけど、「蛇の道」と違って物語は曖昧模糊としていて、面白いショットを時系列をバラバラに並べて見せていくという、主人公のみならず物語も"虚無"的で不思議な仕上がり。

登場人物もそれぞれの行動も妙ちくりんだし、一本筋が通った物語にもなってない。でも、ロングショットで捉えた山の中での2人の男の追いかけっこや、歩道を歩く哀川翔と平行に車道を走る車から大杉漣が声をかけながら前に行ったり後ろに行ったりする可笑しなシーケンスなど、変な見どころは結構あったりする。かなり謎な作品です。

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