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メトロポリス(1926)

フリッツ・ラング監督によって1926年に製作されたモノクロサイレント映画「メトロポリス」を、僕が最初に観たのは1984年に劇場公開されたジョルジオ・モロダー版だった。

これは、本作の大ファンだった作曲家のジョルジオ・モロダーが(第二次世界大戦などの理由で完全なフィルムがなくなってしまった中)世界各地のコレクターからフィルムを購入し再編集して、一部カラー化したり、字幕に演出を加えた上で、自ら曲を付けたバージョンで、サイレント映画特有のややギクシャクした大袈裟な役者の動きがロック調の音楽にピタリとはまって独特の味わいを醸し出す不思議な傑作に仕上がっていた。

その後「メトロポリス」は、さらに各地で発見されたフィルムを加えて完全版復元を目指しながら123分版、150分版と再編集され、都度それぞれのパッケージを買って見てきたのだが、やはり最初に観たジョルジオ・モロダー版が忘れがたく今回久しぶりに海外版DVDで見て、サントラを聴いて、やはりこれが自分には1番しっくりくるなぁ…と思ってしまったのでした。90分という尺も良くてね。

本作は、高度な文明によって繁栄がもたらされている未来都市が、実は上層階に住む裕福層と、地下で過酷な労働に耐える労働者階級に二極分化しており、何も知らずに平和に暮らしてきた支配者の息子が労働者階級の美しき女性と出会ったことから社会の現実を知り、この状況をなんとか解決しようと考えるものの… と、当時の資本主義と共産主義の対立をテーマとした96年も前の作品だが、現代の"格差社会"といわれる世の中にも相通じる内容とも言える。

また、「スター・ウォーズ」のC-3POなどに影響を与えた、本作に登場するアンドロイド・マリアのデザインやインパクトはかなり凄い。

すでにパブリックドメインとして、いろいろなところで見ることができる本作ではあるが、機会があれば、是非この音楽がカッコいいジョルジオ・モロダー版も見ていただきたいと思う。

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