見出し画像

鳩の撃退法(2021)

タカハタ秀太監督「鳩の撃退法」を観た。佐藤正午のベストセラー小説を藤原竜也主演で映画化。


かつて直木賞を受賞した天才小説家は、(その作品が実話に基づいていたために関係者から苦情が入ったこともあってか、)その後いっこうに新作を発表することなく、地方でデリヘルの運転手をする借金まみれのダメ男に成り下がっている。

ある夜、そんな彼が喫茶店で知り合った男が家族と共に失踪してしまう。その後、小説家の元には何故か謎の大金が転がり込むが、その金を使ったらニセ札だった! このニセ札から足がついて、裏社会のドンに追われて…

「で、この続きどうなるんですかッ!?」と問う編集者に、「この先どうなるかはまだわからない」と答えつつバーでこの小説を売り込んでいる小説家。編集者は、「まさか、またこの小説、実話じゃないでしょうね!」と言いながらも、物語にすっかり魅了されている。

実際に小説家の身に起きていること、小説家が実体験を基に小説に書いていること、その小説を読みながら編集者が頭に思い描いていること。この3つが渾然一体となって展開するが故に、何が本当で何が嘘なのかわからなくなるのが本作の魅了。

例えば、すべての出来事にはこんな関係があったりして…みたいな提示もありつつ、正解はないまま映画は終わる。それを楽しめるか、楽しめないか? そこで評価が分かれる一作。

藤原竜也と豊川悦司が秀逸。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?