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“それ”がいる森(2022)

ある日
森の中
○○○に
出会った

"「リング」「事故物件」の中田秀夫監督が贈るホラー"映画と称して宣伝している本作を観に行ったら…

とんでもないビックリ案件だった!!!!!

何を話してもネタバレになる。客を呼び込むという意味においては宣伝が上手かった。いろんな意味で凄い。褒めていいのか、貶すべきなのかさっぱりわからない。

【以下、激しくネタバレです】

予告を見て
UFOだと思ったら○○映画だった「NOPE」
に続き、
Jホラーだと思ったらUFO映画だった「“それ”がいる森」…

ある日
森の中
"宇宙人"に
出会った

これ、出オチの一発芸だよね…。でも、映画の中に"裏切り"はない。映画はいたって普通に子供向けのUFO映画として作られている。

要は、あたかもJホラーっぽい宣伝と映画の中身が全然違うので観客がビックリする作品なんだよね。僕は笑っちゃったクチだし、この映画をこうやって売ったことに一定の評価をするわけだけど、普通に期待して観に来たお客さまは、さぞかしガッカリすることでしょう…

そこんとこはおいといて、映画そのものについて語るなら、まず、映画全体のすさまじい"学芸会"感について触れておきたい。

相葉くんはじめ、子役に至るまでのセリフの棒読みと演技の薄っぺらさが凄い。徹底してる。最初にUFOが登場したときに衝撃を受けたハリボテ感、宇宙人の造形と動きには爆笑。ホントに学芸会の演し物を観ているようで微笑ましい気持ちになった。

物語の展開のぞんざいさも凄い。冒頭の歌舞伎町で強盗して何故かこの山に盗んだお金を埋めに来て宇宙人に殺される2人の設定のいい加減さ。

行方不明になった子供を大々的に捜査した際には発見できないスマホが、何日か過ぎて相葉くんが探しに来るとすぐ見つかる不思議。さらに、落としてから数日経ってるのに、その場で電源入って写真チェックできちゃうし!

ここで電源入れんなよ!!! こら、脚本! 誰が考えてもツッコまれるのわかってて、わざとやってるだろ。

宇宙人をめっちゃ怖がってるのに、いちいち丸腰でひとりで森の中やビニールハウスに入っていく相葉くん。しかも、他の人は一瞬で殺されてしまうのに相葉くんはなかなか襲われもしないテキトーさ。

ここまでくると、たぶん、ギャグでやってると思うんだ…

宇宙人を信じてくれない警察を散々描いて、最後はみんなの死体をサラッと見せて終わり。こんだけ大変なことが起きてもほとんどマスコミも来ない。なんか、何もかもがちぐはぐで、現実との乖離が激しく、クライマックスも全く盛り上がらない。

これはまさに、話題に事欠かない"問題物件"だ。だから、僕は映画に関わる仕事をしている方に片っ端から本作をオススメして、みんなに観てもらってます。学ぶべきところがあるからね。

いち観客としては、「ロッキー・ホラー・ショー」や「ザ・ルーム」みたいに、みんなで映画にツッコミを入れながら観ると盛り上がりそうだなぁ…とは思う。

2022年の記憶に残る、物凄いカルト映画になりえる一作である…としておきましょう。

本作で1番スゴイのは、エンドクレジットに出てくる本物のUFO映像を、今年、本作のスタッフが撮りに入って、普通に撮れていることですね!

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