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ケルト系言語を学ぶことの経済的なインセンティブ

 ウェールズ語やアイルランド語ができることによってなれる職業といえば、該当言語の教員、郷土資料の研究者や図書館司書、学芸員に加えて、公文書の翻訳者(アイルランドは憲法上アイルランド語が第一言語、ウェールズ語もウェールズ内では英語と同等の位置付けだと行政では定義されているため)、該当言語での放送・出版が挙げられるだろう。また、実際に言語の使用機会がなくとも、教員や警察官などでは該当言語の試験が課せられることもある。すなわちは、アーティストや詩人などを除けば、大半は公務員ないし、それに準ずるような仕事が多く、給与・雇用機会がウェールズ語・アイルランド語学習のインセンティブに多少はなっていると言えるだろう。
 公用語と位置づけられているアイルランド語の場合、国内での雇用機会に加えて、EU国際公務員として行政文書のアイルランド語への翻訳や言語研究などの仕事が存在する。200人弱が実際に公用語のアイルランド語翻訳者として従事している(Deutsche Welle, 2021)。残念ながら、ウェールズ語については英国の公用語が英語であることと、そもそもBrexitによりEUの構成国から外れてしまったことから、このような国外での大きな雇用機会は存在していない。

参考文献
Deutsche Welle, 2021., Brussels gives Irish an upgrade to full EU working language, https://www.dw.com/en/brussels-gives-irish-an-upgrade-to-full-eu-working-language/a-60306645

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