スタートアップ適性というもの

自分がスタートアップらしいスタートアップに入ったのは、2000年の創業間もないスターバックスコーヒージャパンでした。入社して3日間、実は僕は全く仕事がなかった。数メートルのところに上司がいたけど何の指示も飛んでこない。さて、どうする?

①仕事は自分で見つけられるか。

Can you find your job by youself?

そう。自分で仕事を見つけてみた。最初に取り掛かったのは、予算管理のチームに配属になったけど、人生で一度も予算を作ったことはなかった。仕方ないので、「予算」と名の付く本を買ってきて読みまくった。読むだけでなく、これはというところを文章にまとめて、今後役に立ちそうなノウハウをWordにまとめた。そういえば一つだけ指示を受けた。「マウスを使うな」それから、僕は予算管理シートをおもむろに想像力を働かせながら作り始めた。覚えたての関数と覚えたてのショートカットを駆使して、キーボードでパタパタ作り始めた。実績データが欲しかったので、経理のマネージャーに仕訳データのとり方だけ教わった。アクセスでデータを抜け、ということらしい。クエリーを組むことを覚えた。本には、変動費とか固定費のことも書いてあった。部門別経費のことも書いてあった。それを駆使して、自分なりにコーヒーチェーンの予算を作るならこんな感じ?というエクセルを構築してみた。そして、4日目に出た指示が「来年の予算を作れ!」あの大体こんな感じでどうでしょう?と恐る恐る提出したら、「お、出来てるじゃん」

②ルールがなければ自分で作ってしまえるか

Can you create the new rule if there are no rules?

新興アパレルに勤めていた時には、ドル建ての輸入するときにドル調達ルールがなかった。毎回SPOTでドルを購入していたが、タイミングが悪く円安になることもあった。これおかしくないか?社内誰に聞いてもわからない。おそらくこの問題を問題と認識している人もいない。というわけで出入りの銀行員に他社の為替管理ルールを聞きまくった。で、想定ドル使用料の1/3をリープオーダーで適宜調達。1/3を為替ヘッジで調達、残る1/3をSPOT対応、そういうルールを自分で作ってみた。円安トレンドのなかでこの施策をとっておそらく億単位で円の消費を抑えられた。

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③1時間おきに違う仕事をやれるか

Can you do the different task every hour?

ともかく人数が少ないのがスタートアップ。そんなところにわざわざ入社しようなんてよほどの変人。一人でいくつもの種類の仕事をこなさなければならない。営業支援もするし、経理仕訳もするし、他部署の愚痴も聞く、採用活動もする。1日に何種類もの仕事しないと会社が崩れてしまう。ともかく仕事して会社が一歩一歩進むのを支えていくのだ。脳みそがクラクラするくらい右脳も左脳も使う。

④終わるまで止めないか

Can you continue your tasks until finished?

明日は明日で事件は起きるんだよ。どうせ時間取られるんだよ。だから目の前にある仕事を片付け切っておくんだよ。そうでないと結局自分の身を削り、深夜に吉野家の牛丼食いながらPCとにらめっこすることになるんだ。明日の自分、明日の仲間のために、今日の自分の仕事は終わらせる。これがスタートアップの鉄則。

⑤やりたいことじゃなく、やるべきことをやれるか

Can you do what you need to do instead of what you want to do?

自分のやりたいことをやっていられるだけならHappy。でもスタートアップには仕事を代わりにやってくれる人はいないもの。自分がやらなければ会社のビジネスが失敗するか、少なくとも成長が鈍るだけ。会社の成長のために何が必要か、何が第一優先か、それだけを考えて仕事を完遂する。そういうマルチ人間になることこそ、スタートアップの生きる道。

そしてやるべきことをやりまくっていたら、「おい、これやりたいんだろ」ってサクッと仕事を回してくれる同僚がいたりする。周りは僕のことをよく見てくれている。まるで兄弟あるいは優れた教師のように。これもスタートアップの醍醐味なのです。

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こういう話を読んで楽しい!転職したいと思う人、やめた方がいい。こういう話を聞いて、自分の会社でまずは今日から動いてみようと思う人、そうそんなあなたはスタートアップ適性あり。やりきって転職しよう。仕事は環境じゃない。自分事なんだよね。

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