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強い女は美しい◇映画「エバー・アフター」(1998)

男性諸君に告ぐ。この世に弱い女はいません。以上。
いるとすれば、演技、でなければ本来の力を発揮できていないだけ、それか一見弱そうに見えるだけ。※私調べ

いつか職場で20代~40代の男性陣としゃべっていた時のこと。「他の人には優しい彼女が、自分にだけ厳しい」「自分の奥さんは気が強い」なんて言っていて「なにをいっとるんだ」とびっくりした。ネット調べれば何でも分かる時代。こんな事実、だれでも知っていると思い込んでいたが、そうでもなかったらしい。
女は強い。そしていい彼女や奥さんじゃないですか。「厳しい」の中身にもよるけど。と思いました。

今回はこちらの映画レビューです。

なんか違う…”強い女性像”

強い女性というのは、小説にアニメ、映画にドラマとありとあらゆる物語に描かれているけれど、いまいちピンとこないことが多い。色気があったり、口が達者だったり、めちゃくちゃ仕事ができたり、男にやる気を出させたりとか、それらは表に出てきた1つの現象であって、どれかに当てはまる=いい女じゃない。

なんとなくの印象だけど、国内の映画やドラマは、女がいいと思う女が少ないなあ、カッコイイ風だとしてもイマイチ、など感じる。まあ単に私の好みが世間とズレているのかもしれないし、ストーリー上仕方ないのかもしれない。でもやっぱ日本特有の傾向みたいなのはありそうだ。

強いシンデレラ 全米初登場no.1

海外の映画に出てくる女性像は比較的好きなタイプが多い。そんな中、恋愛映画の中でも私好みの女性が登場するのが本作。
1998年アメリカ映画。ウィキによると、全米で初登場第1位だったとか。私が初めて見たのは数年前だったので、そんな話題だったの? とびっくり。でも見て納得。

舞台は16世紀フランスで、演じるのは若き日のドリューバリモア。チャーリーズエンジェルの印象が強く、あとはETくらいしか知らないけど覚えてない。特にかわいいと思ったことはなかったのが、この映画ではもうめっちゃ輝きを放っていた。

シンデレラをオマージュした本作は、大筋の話は本家をなぞっているが、魔法はナシ。シンデレラのストーリーに沿っているんだろうなと見ていてぼんやり分かるものの、リアリティのある中世ヨーロッパの話として描かれており、1つの作品としての完成度が高いため、まったく別物として楽しめる。パーソナリティーがしっかり描かれていて、とにかくシンデレラ=本作ではダニエルが強くたくましい。

度胸があるだけじゃない

父を亡くした後、継母とその娘たちの城で召使同然に働き、継母と上の姉のイジワルに耐えながら、でも召使とは信頼関係を築いている。置かれた立場を恨むだけでなく楽しみも見出しながら、せっせと肉体労働をこなすダニエル。

王子との出会いは、事情があって城の馬を盗んだ王子に遭遇し、知らずに攻撃を仕掛けるという、人によっちゃあそれで首をはねられてもおかしくない状況。その後も女性にしてはたくましすぎる姿を見せ、山賊に襲われた際も男前すぎるアイデアで王子を助けるなど、聡明かつ大胆。一方で純粋さや女らしさも持ち合わせるダニエルの姿に、王子は恋に落ちる。

ディズニーアニメでも勇敢なプリンセスはたくさんいるけれど、ちょっと違う。戦う、とか立ち向かう、という行動だけがカッコイイんじゃないんだな、と実感する。

キレイごとだけじゃない描写もダニエルの良さを引き出した。暴力はいけないことだけれど、心底我慢できないことだったり、身を守るには仕方ないこともある。で、普通に強い。

また、読書を愛し「ユートピア」について語れる言葉を持ち、王子という立場に臆することなく対等に話せるのは、度胸があるからだけじゃない。それだけ思慮を深めているということ。かわいいだけじゃなく聡明。いや、聡明さが美しさを強化している。心技体という言葉がよく似合う(ちょっと違う?)。

ダニエルに惚れる王子も好き

こういう人に惚れる王子もいい。国のことを真剣に考え、自信にあふれた人物。一国の王子だからそりゃ自信もあるでしょうけど。表面的な女性らしさ、なんてのには騙されないのだろう。
好きでもない粗暴な男と結婚させられそうになり、助けにいったはずがもうダニエル1人で解決しちゃってた、なんて人によっては引くと思うのだが、王子はそんなの気にしない。むしろ惚れ直したんじゃないだろうか。お似合いのカップルだった。

ちなみに王子役はミッションインポッシブル2の悪役らしい。出てきた瞬間は「えーこれが王子?」と思ったけれど、役が魅力的だとだんだんカッコよく見えてくるから不思議だ。

それに恋愛映画にしては男くさすぎるのは確かである反面、リアルな世界でカッコいい王子はこういう人だろうなと思った。色白で華奢な王子様は、創作だから描けるわけで。

素敵な女性像は色々あるけど

召使と次女が優しいという救いもあり、イジワルな継母や長女の人物像が描かれているのもgood。分かりやすい悪役で感情移入はできないけれど、この人たちも人間なのね、とは思う。途中、ダニエルが継母に「自分も愛してほしい」と訴え、それが退けられるシーンはちょっと切なかったけれど、善と悪がハッキリした映画でこういうシーンがあるのは新鮮で印象深かった。

好きな女性像は色々あって、前に書いた猟奇的な彼女も好きだし、普通に峰不二子とかも好きだけど、総合的に見て大人の女no.1は今のところダニエル。

映画としての面白さ、登場人物の魅力どちらも満載な映画でした。


このほかも映画レビュー書いてます。ラブコメ好き、強い女が好きです。次は500日のサマー書こうかな。

ある意味弱く、ある意味強い女・松子の話↓

こちらの”彼女”は分かりやすく強い↓

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