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【講座・ワークショップ事例】価値観×天賦の才が燃料の自分ロケットを見つけよう!

昨年の後半、とあるご縁で大阪経済大学のキャリアデザイン講義にお招きいただき、「自分を知る」というテーマでお話し&ワークさせていただきました。

自分を知る・・・僕が追いかけている大きなテーマの一つでもあります。これだけで話し始めたら延々と話せそうな気がするテーマです。

とはいえ、学生の皆さんにとって唐突に現れるメガネのおっさんの独演会を聞いても「なんやねん」となることは目に見えていましたし、僕が学生の立場でも面白くないなぁと思ったので、この日に向けて一つ「自分を知る」の入口になりそうなワークを作って持っていくことにしたのです。

それが『価値観×天賦の才が燃料の「自分ロケット」を見つけよう!』でした。
どんなワークをどんな意図でやって、どんな感想が戻ってきたのかを振り返りたいと思います。


■「自分ロケット」ってどんなワーク!?


このロケットはそれぞれワークに取り組む個人を現すメタファーです。このロケットは「価値観」と「天賦の才」の2つを燃料に飛んでいきます。まずは自分がどんな価値観を持っているか、どんな天賦の才を持っているかをワークで考えてみることにしました。


■自分の価値観を掘り下げてみる

価値観はわかりやすいワードですよね。しかし「自分はどんな価値観を持っているんだろう?」と言葉を入口に考えることはしませんでした。

例えば「好奇心」や「多様性」や「リーダーシップ」など、大切にする価値観を表現するような言葉は世の中にたくさんありますが、しかし言葉の表現を入口に思考しても実はその価値観を表す言葉自体が自分の価値観を正しく言い表しているとは限らない。言葉を入口にする限り、自分とのズレにはなかなか気づかない。

だから今回のワークでは「エピソード」を先に見出したうえで、その先にどんな言葉で表現できるかを考えてみる、逆の思考プロセスを取ることにしました。

一般的に価値観を探るようなアプローチが演繹的であるとするならば、今回取った手法は帰納的です。だからこそ自分を一つの価値観で表現できるわけでもないことも実感いただけたと思います。自分の多面性のようなモノにも少しだけ気づきやすくするようなギミックを入れておきました。


■自分の天賦の才を掘り下げてみる

もう一つ、「天賦の才」とはちょっと大袈裟な表現と思われたかもしれません。

このワークにおいては一般的な意味での「天賦の才」とは異なる意味で、自分自身が没頭してきたことにより自分の内側に「自然と育ってしまったチカラ」を天賦の才と表現しました。

そもそも「能力」って僕はかなり相対的だと捉えています。関わる相手・環境との相互作用によって自分自身が持っている特性(敢えて能力とは表現しない)が意味を持つか持たないかは変化する。マイノリティデザインという有名な書籍がありますね、この概念がまさにだと思います。

だからこそ相対性を加味せずにそれでも自分だけが持っている自分のチカラと言えるものは何なのかと考えたときに、自分が没頭したことによって・あるいは息をするように続けてきた行為によって育ったチカラにその人らしさが現れると考えました。天賦の才とはその人の持つ特性によってその人が自然と「育ててしまったチカラ」です。これも言語化してみようとトライしていただきました。


■未来へはバックキャスト?、フォアキャスト?

燃料が出揃ったあとはロケットの発射です。でも、あれ?、そもそもどの星に向けて飛び立ちましょうかね?、このロケットはどの星に至ってしまうんでしょうね?

という問いかけを踏まえたうえで、未来への辿り方を二通りの思考パターンで考えてもらいました。それが「バックキャスト」と「フォアキャスト」です。僕自身、どっちも価値があるものだと捉えています。個々人に合う捉え方も異なると感じています。

だからこそ両方の思考で未来を描いたとき、どんな違いが出るのかを感じ取ってもらいたかった。その両方の思考から見えた世界の中で、どちらを選ぶかは自分自身です。でも、二つの捉え方を知っているだけで片方でうまくいかないときに別の捉え方が支えになってくれたりもするのです。


■名付けは意味づけ

ワークの最後にはこのロケットがどんな名前で表現できるのか「名付け」をしてもらいました。

名前をつけることには強い意味があります。名付けることで、その姿を自分自身が捉えられるようになっていく。名付けることで、その対象が意味を持ち自分の内側に染み込んでくる。

普段から定期的に開催する「ジブンの社名を見つけよう!」もそんな考えの表れです。色んな名付けワードが出てきてとても面白いワークでした。

「自分ロケット」を見つけたあとは、それをグループで共有してもらい、お互いのロケットの姿を感じ合う時間をとりました。なんか、ワークの構成を全部説明しちゃった。笑

ちなみにテスト開催にもたくさんの方が参加いただきました。ホントありがとうございました。問いかけのワードなどなどテスト開催で見えた課題をブラッシュアップして当日持っていくことができました。感謝感謝です。


■学生の皆さんの感想など


と、学生の皆さん(1回生が大半)には1時間ちょっとのワークの中で自分に対してアンテナを向け、自分の内側から出てくる言葉を拾いとることにチャレンジしていただいました。だいぶハードで思考体力を使うような時間でしたが、皆さん自分なりに言葉を搾り出そうとしていて、とても「楽しい悶々」が生まれた時間だったと感じます。

特に今回のワークで大切にしたのは「自分自身にアンテナを向ける」ことと「自分自身で自分の姿を自分の言葉で捉えようとする」という二点です。「人から見た自分」や「診断ツールから見た自分」といったモノには今後山ほど触れていくことになるはずなので、ソコとは別の観点で「自分自身がどう捉えるか」に意識を払ってもらうような構成にしました。

終了後、色んな感想をいただきました。幾つかを抜粋したいと思います。

  • こうでありたいという未来と、こうなるであろう未来というのは全然違うし、プロセスやとらえかたで未来は変えられるんだなと考えた。

  • バックキャストでの夢とフォアキャストで出た将来が全く違って驚いた。

  • 今までの自分はそこまで人に興味がないと思っていた。しかしロケット名が他人思い号となった。

  • 自分は価値観の違いで喧嘩をしたりしたことがあったので簡単な課題だと思っていましたが、いざ言語化するとなると思っているより難しかったです。

  • 自分が大切にしている価値観は日頃からよく考えているので、すぐに出てくると思ったが、エピソードを交えながら書くとなると、思っていた通りにはならなくて自分が大切だと思っていた価値観はひとつでは無いんだと気づいた。

  • 今まで自分で価値観というものを気にして生きてなかったけれど、価値観というものに触れたことで僕は自分の人生で思いやりを大事にしていると気づきました。

  • どうしても自分の将来について考えるのは苦手だし、億劫になりがちだけど、ワークシートもキャッチーな感じで工夫してあって取り組みやすくなっていた。

  • 改めて自分の経験したストーリーを思い返して、価値観や力を考えてみると、自分にはこんな考え方やこんな力があったんだと驚いたし、なりたい自分を見つめ直せる良い機会となった。

  • 授業の最後に自分の号の名前や感想を聞いている時に、自分の性格や生きてきた環境によって人それぞれ価値観や没頭したものが全然違っていて聞いていてとても楽しく、ほかの人の号の名前や価値観をもっと知りたくなりました。

  • 自分が今まで意識していなかったことが、意外と大切であると気づかされた。自分のためになることばかりだった。

  • ひとつ書くと沢山出てきて書かないと分からないこともあるんだなと感じた。

  • 今までそんなことを考えてこなかったのでとても悩みました。

  • 価値観のズレで話題に出てくるのが恋愛観が多いので恋愛においての価値観を考えると割と出てきました。

  • それぞれで価値観が違うのはもちろんだが、似ている価値観でも文言が違うだけで全然伝わり方が違うなと感じた

  • ロケットの周りがたくさん埋まって行くのが、とても楽しかったです。

  • 何人かはやっぱり自分のことについて考えるのが難しくてあんまり書けてないということになってしまっていて自分だけではないんだなと思った。

かなり皆さん真面目に取り組んでいただき、真面目に考えていることをアウトプットいただいたかなと思います。もうちょい疑ってもらってもよかったけど。笑


■所感と余談


ところで、こういう機会をいただくと改めて自分自身のキャリアを振り返ったりするのですが、僕のキャリア観・人生観って完全にフォアキャストなんですよね。「いま」を積み重ね、新しいチャレンジを繰り返し、好奇心の赴くままに飛び込み深掘りしときにケガする。笑

で、その結果生まれるものは「延長線上にある予想外」です。いまの自分には予想もしない未来だけど、いまの自分が積み重ねたことの延長線上にその未来が存在する。未来を思い描いてバックキャストするわけではなく、いまを積み重ねることで結果論的に「至ってしまう未来」の姿を受け容れて楽しむ。そんな感覚をずっと持っています。「キャリアデザイン」と言うよりは「キャリアアート」な感覚ですね。

まぁ、これは僕の感覚です。なので学生の皆さんには「バックキャストな辿り方」と「フォアキャストな辿り方」の双方で、見える未来像が変化することもワークから体験いただきました。その先にどんな道筋の辿り方を選ぶかは自分次第。誰もが自分なりに納得いく人生の辿り方を見つけ出せるとイイなぁと感じています。

と、ステキな機会をいただきました。今日のワークがいつか何かのヒントになればいいなと思っています。学生の皆さんからの感想を見ていると、かなり深く思考しようとトライした様子が見て取れたのも嬉しいところでした。

(余談)
なお、ワークの説明途中で「わっからん!」というワードを大写しするスライドを作っていたのですが、隅っこにさりげなく「マッカラン」の画像を載せるという小ボケを挟んでみました。挙句、そこには一切説明で触れず一瞬で画面を変えるという暴挙に出てみたのですが、見学に来ていた大学職員の方が気づいてくれていました。いやはや、ありがたい。笑


ちなみにこのワークショップですが、近日中にオンライン講座としてライトに受講いただけるようにしようと考えています。お楽しみに!


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