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不動産M&Aにおける不動産会社の必要性

不動産M&Aのセミナーに参加しました。

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参加したとは言っても自分がCCIM事務局の理事をしているので主催者側ではあるのですが、とても興味がある分野でしたので大変興味深く講義を聞かせてもらいました。

フィンテックアセットマネジメントさんは、実際に買主の立場で資産管理法人のM&Aをされています。年間7,8件程度の取引をされているそうです。

不動産M&Aを経験されている方はとても少なく、実体験をもとに良いことも悪いことも聞けたので大変参考になりました。

そして聞けば聞くほどハードルが高く、税務、不動産+鑑定、法律(会社法など)に精通していないとまともに取引ができないと感じました。

契約書はFRKのように雛形が用意されているわけではないので、弁護士に依頼して案件ごとにそれぞれ作成してもらいます。リーガルチェックです。

鑑定評価書の作成のため、鑑定士に依頼が必要です。

決算書の内容を把握する必要がありますので、税理士が必要です。簿外資産がないかなどチェックします。

不動産会社の役割は不動産に価値があるのか、さらにはどのようなリスクがあるのかを把握することです。

資産管理法人であれば不動産そのものに価値を見出すため、潜在的なリスクを表面化させることは最も重要です。

しかし保有物件が全国に点在していたり、借地、底地、再建不可といった物件もあるでしょうから、不動産だけでも幅広い知識が必要です。

なぜリスクを表面化することが重要であるかというと、宅建業法のように適正な取引を行うための法律がなく、仮に告知義務違反を売主に訴えても、容易には責任の追及・金銭の要求ができないためです。

損害賠償請求はできるのですが、原告側がそれ(被害金額)を立証しなくてはならないので、大変な時間と手間がかかります。

宅建業法は買主、被宅建業者を守るということに関して大変に効果的な法律です。これがあるのとないのとではリスクが全く変わってきます。

もし不動産M&Aが流行れば、この隙間を悪用する不動産会社がめちゃくちゃ増えると思います。これは間違いなく起こると断定できます。

不動産M&Aにおける現行法の規律は緩いです。一方で自由度が広くやりようは多くあるのですが、特定の資格も必要なく参入障壁が低いため、一度火がつけば広がりは早いと思います。

不動産の延長線に考えて取引をしようと思ったのであれば、本気で痛い目にあいます

クソ物件を集めた法人を個人に買わせて、被害者の会ができるかも (笑)

買主の立場としては、このようなリスクを避けるために特約を設けたり表明補償保険に加入したり、リスクヘッジの方法はあります。

不動産M&Aビジネスは、まだまだ開拓の余地があって面白い分野です。

融資付けの難易度が高いので一般化するのはまだ先の話ですが、どこかの金融機関が不動産M&A用のパッケージローンを作ってくれれば、もっと身近になってくると思います。




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