用途変更に確認申請が必要か?
居住用のマンションにも関わらず、登記の種類が「事務所」になっているケースがあります。
特に横浜の物件に多いのですが、居住用として利用しているにも関わらず、登記(種類)が事務所の場合、銀行が融資をしてくれない可能性があります。
その場合は、事務所から居宅へ登記変更の手続きを行う必要があります。これは法務局でできます。
区分マンションのケースです。
法務局での手続きは所有者でも可能ですが、賃貸中の場合は土地家屋調査士に依頼することお勧めします。
手続きを行うには、室内の写真を法務局に提出をしなくてはなりません。
それは現況が、居住用であることの証明です。
空室であれば容易ですが、賃貸中の場合は入居者の許可が必要です。
過去のケースでは、入居者が女性ということもあり当初は反対されていました。入居者にメリットはないですしね。
しかし買主が居宅でないと購入しないということだったため、入居者に再度お願いをし、1ヵ月間のみ賃料を減額することを条件に写真撮影を認めてもらうことができました。
結果として、売買が成立し、めでたしめでたしで終わったわけですが、疑問が残ります。
そもそも、
1.なぜ居住用のマンションを事務所登記としていたのか?
2.居宅に変更し、遵法性を満たしているのかどうか?
1の考えられる理由は、(確証がなく推測ですが)当時の条例などで一定規模のマンションに事務所を設けるような取決めがあったものと思われます。
そうであれば、用途変更を行うと遵法性が満たされない可能性があるのではないかと考えますが、それを立証することまでは求められておりません。
建築基準法では特殊建築物として用途変更する際、200㎡を超える場合に確認申請が必要とされています。
つまり、建築基準法の範囲内ではありますが、遵法性が満たされているかどうかは不明確であり、適合証明書を発行できるかどうかは実際にやってみないとわからないということです。
適合証明書が発行可能かどうかについては、建築当時から建築基準法改正が何度も行われているため、必ずしも用途変更だけが問題とは限らないということをご理解ください。
当該物件については検査済証も発行されていますが、結局、現在においても遵法性が満たされているかどうかはわからないのです。
銀行もここまでは調べません。
厳密には取引の前に適合証明書を発行するのが買主にとってベストですが、そこまで現所有者や管理会社に求めることは現実的ではありません。
コストが多大にかかるというだけでなく、入居者がいる状況で正確な調査ができるのかどうかにおいても調査を始めてみないとわからないからです。
実際にここまで法律で求められるようなことがあれば、中古物件の取引はゼロに近い件数まで減少するでしょう。
この先、金融機関がここまで厳密に調査を求める可能性は大変低いのですが、実際には曖昧な状況で売買取引が行われていることは、所有者として認識しておくべきです。
そして今回は区分マンションを事例にあげましたが、一棟アパートやマンションでも同様なケースが見受けられます。
この件については、改めてblogに書いていきたいと思います。