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権利証を紛失した場合の不動産の売却

権利証(登記識別情報通知)をなくしても不動産の売却は可能です。

以下の選択肢があります。

(1) 公証役場で本人確認を行う。費用は数千円程度。

(2) 事前通知制度を利用する。費用は数千円程度。

(3) 司法書士に本人確認してもらう。費用は5万~10万円。

売主の立場であれば、費用をかけたくないというのが本音だと思います。

(1)は所有権移転後、法務局から届く書類に2週間以内に必要書類を同封し返送すれば済むので、最も簡単な方法です。しかし、万が一期限を過ぎたり、返送を怠るようなことがあると所有権移転ができませんので、これは損害賠償請求の対象となる可能性があります。

仲介会社としては決済後に起こりうるリスクは極力避けたいと考えます。売主が病気で入院してしまう可能性もありますから。

(2)は委任状、印鑑証明書、実印、身分証などを持って公証役場に行って手続きを行います。平日に行く必要がありますが、費用も少額なので時間に余裕がある方は便利です。しかし、本人確認の書類が印鑑証明書と実印と免許証の3点しかないので、これだけだとあの有名な地面師事件(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/89822)と同じことが起こった場合に不正を見抜けないんですよね。

地面師事件の時も司法書士は売主のパスポート、印鑑証明書の原本確認を行っています。

もちろん100%所有者であることの確認は不可能に近いのですが、これをできる限り100%に近づけるために(3)を推奨します。

(3)は司法書士と面前で本人確認が必要です。印鑑証明書、実印、身分証はもちろん場合によっては売主の自宅まで司法書士が赴き、公共料金の控えや固都税の納税通知書原本の提示が必要になります。本人しか所有していないであろう書類の原本を複数確認することで、リスクを最小限に抑えることができます。

費用は司法書士によって異なり、5万~10万円程度かかりますが、仲介会社の立場としては、ここまでやってほしいです。

権利証を紛失した時点で売主の信頼が落ち込んでいることは事実なので、信頼回復にあたり買主にとってベストな提案を売主が選択してくれることを望みます。


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