その建替えは本当に必要なのか。

アパートを建替えするのにどのプラン・建築会社がいいのか?という相談を受けました。

どの会社も建替え前提で建築プランを提示するばかりで、本当に建替えが必要なのかという視点で物事をみていません。

ご相談いただいた物件は、23区、京王線沿線最寄り駅徒歩10分、築32年、木造・20㎡ワンルームのバストイレ別。

現況半分が空室でさらに数部屋の退去予定がでているということでしたが、空室の根本原因は間違いなく「女性限定」にしているから。

本来賃料単価が高いエリアなので、募集方法を変え、きちんとリフォームすれば空室も埋められ、さらに賃料UPが見込めそうな物件。

費用は室内リフォームと大規模修繕入れても1000万円前後。

新築アパートに建て替えた場合は建築費1億=借入。

税引き前のキャッシュフローは、修繕しても建替えてもほとんど変わらない結果でした。(建替えた方がGPIは高くなるが返済が発生するためにキャッシュフローベースだと差異がない)

同じキャッシュフローなら1000万円だしてリフォームした方が圧倒的に投資効率・安全性ともに高くなります。

さらにその土地を担保にして、収益物件を購入すればキャッシュフローは1.5~2倍まで増える見込みです。

話を聞けば結論は明らかですが、この提案をできる会社が圧倒的に少ないように感じます。

これを自信をもって行うには、投資分析 賃貸市場 建築 税金など幅広い分野において精通していないとまともに提案すらできません。コンサルタントとしての力量は大いに求められます。

しかし建て替え方向にバイアスがかかってしまう理由はそれだけではなく、建物を建てた方が会社が利益を取りやすいためです。

メーカーのアパートの場合は建築費の20~30%が会社の利益になりますから、会社の売上げ・担当のノルマを考えると建替えに提案を持っていきたい理由にも納得できます。

このように他の会社ができない(オーナーベストな)提案ができるのは本当にうちの会社の強みです。

彼らも遅かれ早かれこのことに気づくのですが、生活があるので辞められなかったり、逆に自分に嘘をつくことに耐え切れなくなって転職したりと悩んでいる人も多いです。

正直に仕事ができることは、誇りをもって楽しく仕事をするうえで大切なことだと思います。お金も大事ですが、どこに本質をおいて仕事するのかが明確でないと結局自分が苦しくなるんだろうなということは常日頃考えています。

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