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歴史を学ぶ

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歴史に関する記事をこちらにまとめています。
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#作戦

論文紹介 戦争の複雑性とマーケット・ガーデン作戦の敗因

軍事学の研究では戦争の結果は完全な予測が不可能であり、複雑性に富んだ現象であると考えます…

複数国が参加する連合作戦は外交交渉と不可分の関係にある:1943年のカサブランカ会談…

1943年1月14日、フランス領モロッコで開催されたカサブランカ会談は、第二次世界大戦で同盟関…

第一次世界大戦におけるフランス軍の戦略と作戦を分析したPyrrhic Victory(2008)の紹…

第一次世界大戦(1914~1918)でフランスは西部戦線の作戦で中心的な役割を果たしました。フラ…

メモ 機甲師団はどのような編成で運用されるべきなのか?

1955年に主権を回復し、再軍備を開始した西ドイツは、北大西洋条約機構(NATO)の一員としてソ…

論文紹介 朝鮮戦争とベトナム戦争で米軍が消耗戦を選んだ理由は何か?

消耗戦(attrition warfare)が望ましくないもの、非合理なものと見なされることが多い主な理…

メモ フォークランド紛争の事例で考える対潜戦の重要性

1982年3月、アルゼンチンが南大西洋のフォークランド諸島を攻撃し、軍事占領に成功しました(…

情報技術の視点で20世紀の海軍史を捉え直すNetwork-centric Warfare(2009)の紹介

ネットワーク中心の戦い(network-centric warfare)とは、遠く離れた離れた部隊を広域的な通信ネットワークで結び、部隊間の情報共有、状況の変化への即応性の向上、迅速な指揮活動などを目指す構想です。1990年代に提案された構想であり、アーサー・セブロウスキー(Arthur Cebrowski)とジョン・ガルストカ(John Garstka)が提唱者として知られていますが、研究者のノーマン・フリードマン(Norman Friedman)はこの構想の発達をより広い

論文紹介 米海軍の軍人は80年代にソ連潜水艦にどう対処しようと考えていたのか?

現代の軍事情勢を考える上で核兵器が戦略的な意義を持っていますが、それを運搬する手段として…

メモ 技術が戦闘に与える影響を適切に分析することの重要性

以前、プロイセン陸軍の参謀総長を務めたヘルムート・フォン・モルトケが、19世紀の火器の性能…

メモ クラスター弾などの無誘導爆弾だけで戦局を一変できるわけではない

クラスター弾とは、複数の子弾を内蔵し、それを目標に向けて散布できるように設計された砲弾、…

20世紀初頭の軍事学では空間と戦力の関係をどう分析していたか

軍事学史では空間と戦力の関係に関する考察が数多く書き残されています。例えば19世紀にプロイ…

メモ 第一次世界大戦で米軍はどのように情報活動を合理化したのか?

軍隊の指揮官は、刻々と変わる状況を適切に判断し、適切に決定を下さなければなりません。しか…

軍事史で指揮システムの発達過程を追ったCommand in War(1987)の紹介

指揮(command)とは、組織から与えられた権限に基づいて、部隊や個人に対して自らの意志を示…

欺騙の行い方を分析した軍事学の研究『計略(Strategem)』(1969)の紹介

古代中国で成立した軍事学の古典である『孫子』では「兵は詭道なり」と記されています。これは敵に不利な行動をとらせるために、味方の態勢、能力、行動、意図などを誤認させる欺騙(deception)に関する最も古い記述であり、その軍事的な重要性は今でも変わってはいません。この記事では、現代の軍事学で欺騙に関する研究成果として知られている『計略(Strategem)』(1969)を紹介しましょう。 Whaley, Baron. 2007(1969). Strategem: Decep