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歴史を学ぶ

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歴史に関する記事をこちらにまとめています。
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#書評

宇宙開発の政治史を記述した先駆的研究The Heavens and the Earth(1985)の紹介

1957年にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニク1号はその後の国際政治の展開に大きな影響を及…

大英帝国の覇権を可能にした電信の歴史を語る『ヴィクトリア朝時代のインターネット』…

科学技術ジャーナリストのトム・スタンデージ(Tom Standage)は、19世紀にモールス符合を用い…

いかに国家は戦費を調達するのか? How States Pay for Wars(2016)の紹介

戦争を遂行する能力を構築するためには、財政的な裏付けが必要です。軍隊を構成する人員、武器…

第一次世界大戦の太平洋戦線を記したThe Neglected War(1995)の紹介

第一次世界大戦(1914~1918)はその名の通り世界規模で遂行された戦争でしたが、その歴史はヨ…

アジア太平洋の戦争史で兵站の意義を考えるMilitary Logistics and Strategic Perform…

その国の軍隊が与えられた任務を達成できるかどうかは、産業動員や兵站支援の成否によって大き…

戦間期における米国の対日戦構想の変遷を辿る『オレンジ計画』の紹介

アメリカは1941年に第二次世界大戦に参戦し、日本との戦闘を開始する前から、日本との戦争を想…

なぜ戦争で民間人が攻撃されるのか?『戦争で民間人を標的にする』(2008)の紹介

国際法では戦時であろうとも軍隊が敵国の民間人を意図的、計画的に攻撃し、殺傷することは容認されていません。それは倫理的、道義的に避けるべきことだと見なされています。それにもかかわらず、現実に戦争では多くの民間人が意図的に攻撃目標とされており、それによって命を落とすことも珍しくありません。ジョージ・ワシントン大学のAlexander B. Downes教授は『戦争で民間人を標的にする(Targeting Civilians in War)』(2008)の中で、民間人を標的とした攻

政治家の収入源を知ることが、政治史の理解を深めることを示した『合衆国憲法の経済的…

一見すると政治の世界で起きている対立は価値観や主義主張をめぐる対立のようですが、その背後…

戦闘で有利なのは分権的な組織か、集権的な組織か?『指揮か、統制か』の紹介

戦争は不確実で無秩序な状況であるため、可能な限り計画的に部隊の行動を指導できる集権化が必…

エリートを買収したヒトラーの金権政治『総統からの贈り物』の紹介

権力者が蓄えた富を使って仲間に忠誠を誓わせる手法は、政治の歴史において何ら目新しいもので…

戦う決意を見くびられると、戦争のリスクが高まると論じた『戦争の起源と平和の維持』…

古代ギリシアの戦争史の研究で知られる歴史学者ドナルド・ケイガン(Donald Kagan)の『戦争の…

独ソ戦を新たな研究成果で見直した『モスクワのための戦い』の紹介

1941年6月22日、ドイツがソ連に対する大規模な攻勢をとったことで、独ソ戦(1941~1945)が勃…

現代世界を形作った歴史を振り返る『冷戦史』の紹介

アメリカとソ連の冷戦は1991年にソ連の崩壊という形で終わりを迎えました。しかし、冷戦の影響…

19世紀から20世紀までの小部隊戦術の変遷を辿る『戦闘に向けて前進』の紹介

イギリスの軍事著述家パディー・グリフィス(Paddy Griffith)の『戦闘に向けて前進:ワーテルローからベトナムまでの戦術(Forward into Battle: Fighting Tactics from Waterloo to the Near Future)』(初版1981;2011)は19世紀から20世紀に小部隊戦術がどのように変化したのかを解説した著作です。軽妙な語り口で、研究者向けの専門書ではなく、一般向けの教養書として読むべき一冊だと思います。 198