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歴史を学ぶ

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2022年8月の記事一覧

勢力の優劣が不明確であることのリスクを説いた『戦争の原因』(1988)の紹介

数多くの思想家、著述家、研究者が戦争の原因をめぐって議論を交わしてきました。その中には価…

論文紹介 国家を見限ったとき、国民はどのような行動を選択できるのか?

自分が属する組織に未来がないことに気が付いたとき、そのメンバーが選択できる行動は2種類に…

第一次世界大戦でドイツが冒した失敗を分析した『ドイツの戦略とヴェルダンへの道』(2…

第一次世界大戦(1914年~1918年)で膨大な犠牲者が出た戦闘の一つにヴェルダンの戦い(1916年…

論文紹介 フランス革命が戦争の歴史に与えた影響を統計的に検討する試み

1789年のフランス革命の意義は単にフランスで君主制が崩壊し、共和制が成立しただけにとどまり…

論文紹介 兵士は1週間ほどで戦闘に慣れるが、4週間で精神の限界に達する

19世紀以前の陸上戦では1日から2日の間に戦闘が終結することが一般的でした。しかし、20世紀以…

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メモ 冷戦の最初期に書かれた核戦争の戦略論『もう時間がない』(1946)の紹介

核戦略の分野でウィリアム・ボーデン(William Liscum Borden)の知名度はバーナード・ブロー…

米国が台湾の防衛に慎重な姿勢を見せてきた理由を歴史的に考察する『米国の台湾海峡政策』(2012)の紹介

アメリカは中国と台湾に対する外交関係で「戦略的曖昧さ(strategic ambiguity)」として知られる立場を堅持してきました。この戦略的曖昧さは、中国が台湾を武力で統一するため、軍事侵攻に踏み切った場合、アメリカが台湾に派遣する戦力の規模や種類をあえて曖昧にする立場をいいます。 アメリカ政府がこのような立場を採用してきた理由については、政治学者ディーン・チェン(Dean P. Chen)が著作『米国の台湾海峡政策:戦略的曖昧さの原点(US Taiwan Strait