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【医業「経営」の現実と未来】

今日は太宰府市の医療法人健成会さんの理事長鹿子生(かこう)健一先生と、デイサービスらららさんを運営される寛子さんと、「経営」の課題と展望についてお話しさせていただいた。
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医業をめぐる環境は激変している。公定価格=診療報酬が順調に伸びていた時代は今は昔、コロナの影響で受診者が減ることもあり、医業「経営」は厳しさを増している。病棟ごと売りに出す医療機関も徐々に増えている。ある意味、「冬の時代」と言ってもいい。
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そんな時代に、診療・介護報酬という「外部環境」だけでなく、自前の努力と才覚の「内部環境」で、どう乗り超えていくのか。
有床診の全国団体の代表も務めた鹿子生先生とのディスカッション。
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「もっと自由度を高めていく。特に介護分野の混合介護や営利事業の自由度を高めるべきだ。それがスタッフの創意工夫を引き出すし、働き甲斐も増す。人材不足にも効いてくる。」
「有床診という小回りのいい地域資源だからできることをもう一度、地域包括ケアの中でしっかり位置付けていくべき。その貢献に見合う報酬体制を。」
「中央、東京で見ている景色と、地方の現実は相当乖離がある。人材不足、医療資源の偏在など、もっと自治体が裁量を持って、一つの法人内で人員配置基準を柔軟に運用できる仕組みも必要ではないか。」
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多くの点で、共感できる部分があり、また現実を改めて学ばせていただくこともできた。
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「頑張れば頑張るほど、赤字になる。」「利用者さんに喜んでいただこうと思えば思うほど、経営が苦しくなる。」
制度における”合成の誤謬”がある。そんな構造が、医療や介護の世界には、まだまだ残されています。
改革の余地は大きいし、ときには国と地方の間で、そして現場との間で、ガチンコで闘う「余地」が必要だ。
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利用している医療や介護のサービスが、経営に汲々とせず、本当に利用者や患者の方に向き合うパワーと余裕を持つことが、利用する側にとっても、大きな差を生むし、結果として、現場で働く方々のやりがいとモチベーションにもつながる。
そのためには、制度を変えることも、折衝することも、あるいは特区などを活用することも極めて大事。
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ところで。
寛子さんが経営するデイサービス「ららら」さんは、僕も今まで見たことのないような巨大な梁が組み合わされた広々とした空間。驚いた。
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随所にアートと、書が掲げられている。そんな品々が、空間全体の豊かさと奥行きを醸し出しています。
それに。デイサービスで出されるランチを試食させていただいたが、そのクオリティの高さに舌を巻いた。
壁には、利用者さんたちの集合アート。そして、生活上の動作や器具を使った生活リハ。庭の大きな農園は、新鮮な野菜を生み、料理にも活用されている。
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以前、国の中核で、「制度」を作っていた時代があった。その時にはその時の悩みや葛藤、そしてやりがいがあった。
一方で、各地津々浦々の「現場」で経営の話を伺い、その悩みをディスカッションさせていただくことも、また手触りがあるし、面白い。
「制度」と「現場」をつなぐ。その往復運動。
もっと活発に、円滑に。
それができたとき、日本と日本人が、本当に、世界に冠たるシステムを誇ることができる。
私も、いろんな手で、応援していきます。

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