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5営業日連続休暇の理由

以前の「ライフワークバランスの重視にも書きましたが勤務弁護士にはお盆と正月以外に5営業日連続休暇を取ることを推奨しています。

土日と合わせれば9営業日連続で休みになりますし、もともとの連休と合わせれば10連休です。

10連休あれば、海外旅行もゆっくり行けます。

オフシーズンに旅行できるので費用も安く、配偶者や友人と有給休暇を合わせて取得して旅行もしやすいです。

今回は5営業日連続休暇を導入している理由についてお話しします。

休む練習

「雇用?業務委託?」の記事のとおり、勤務弁護士は業務委託契約ですので、自由勤務です。

業務委託契約なので休む休まないは自由なのですが、勤務弁護士のうちに長期で休みを取る習慣をつけてもらいたいので、5営業日連続休暇を推奨しており、概ね実現してくれています。

というのも、弁護士という仕事はやろうと思えばいつまでも終わりがない仕事になってしまいます。
意識して休む習慣を身に付けないと休めない仕事スタイルになってしまいかねません。

それではライフワークバランスが崩れてしまいますし、いつか身体を悪くしてしまいます。
働き過ぎが原因かは分かりませんが、働き盛りの年代で亡くなっている先輩方も悲しいことに複数います。

しっかりと休みを取りながら、いつまでも元気に働けるということを目指しており、勤務弁護士のうちから長期間休む習慣を身に付けてもらおうと思っています。

仕事を引き継ぐ練習

お盆や正月であれば自分が休んでいる間は概ね世間も休んでいます。
しかし、それ以外の期間に自分だけ休むとなると、世間は普通とおりに動いていますので案件は進めていかなければいけません。

勤務弁護士が休むとしても、その期間に仕事を停滞させては依頼者に迷惑がかかってしまいます。

依頼者にご迷惑をかけるわけにはいかないので、休むとなると、その間に起こりそうなことを事前に想定して、他の弁護士に引き継いでおく必要が生じます。

ここがこの制度のポイントです。
1年に1回自分だけ長期間休みを取るということは、少なくても1年に1回案件を誰かに任せないといけないのです。
※休暇中は、事務所事件の要件での連絡は原則として行わず休暇に専念してもらいます。

長期間休むということは、案件を引き継ぎ他の先生に任せるという練習の機会になっているのです。

以前は、いくらパートナー弁護士が「自由勤務なんだから好きに休んでよいよ」と言っても、責任感が強い先生が多く、休むと私たちや依頼者に迷惑をかけるからと休みを取らないことが続いていました。

そこで休暇は業務引継ぎの練習の機会という設定にして、5営業日連続休暇取得をお願いし、ようやく休むことが定着してきました。

いったん長期間休んでみると、休んでいても他の先生がサポートしてくれるので仕事が意外と何とかなってしまうという実感を掴めてもらえます。

そうすると休むことに抵抗がなくなり、定期的に休む習慣が身に付いていきます。

事務所のBCPになります

連続休暇はパートナー側にもメリットがあります。

事務所を運営していれば勤務弁護士が急に病気になってお頼みしていた業務ができなくなるということだってあり得ます。

いざその時になっても体制が整っていないと上手く業務が引き継げません。

定期的に長期間休んでもらい、休みの度に仕掛業務の引き継ぎをしておくと、仕事を引き継ぐという習慣がついていますので、いざという時に慌てずに業務を引き継ぐことができます。

勤務弁護士は短期的には替えが効くが長期的には替えが効かない存在です

勤務弁護士の先生には、勤務弁護士は短期的には取り替えが効く存在だが、長期的に見ると取り替えがきかない存在なのだということをお伝えしています。

勤務弁護士が休みたいと言った場合に休んでもらい、それでも仕事が回るように仕組みを整えておくことは経営者である私たちの問題です。

体調が悪いから今日休みますというのはもちろんのこと、海外旅行に行きたいので1週間休みたいとか、1年間育児休暇を取りたいとか、今まではないですが2年間海外留学したいとか言われても、勤務弁護士にお願いしている仕事は替えが効くように備えてあります。

そのように備えておくことが私たちの責任ですし、現に備えてあるので、勤務弁護士には短期的には替えが効くのだからいつでも休んでよいよと伝えています。

一方で、勤務弁護士は長期的にみれば替えが効かない大切な存在です。

何と言っても、数ある事務所からアルシエンの良いところも悪いところも知った上でなお理念に共感して加入してくれた面々です。
それに私たちには大量採用するだけの規模とスペースもなく、アルシエンに入ってくれた先生はとても貴重な存在です。

私たちは、勤務弁護士に一時的な労働力となってもらうことを期待しているわけではなく、将来に渡って一緒になって事務所を盛り上げていく仲間になってもらうことを期待しています。

私たち設立パートナーも実務はしていますし他のパートナーの先生も勤務弁護士も実務ができますので勤務弁護士は労働力としては代替可能性はあります。
しかし、理念に共感してくれた将来の仲間としては代替性はありません。

勤務弁護士は短期的には替えが効くが、長期的には替えが効かない存在なのです。

ということで今休んだら迷惑とかそういうことは考えずに長く一緒に働けるようにしっかり休みを取ってください、という意味を込めて5営業日連続休暇の取得を推奨しているわけです。

追記

長崎の飯田直樹先生がtwitterで記事に言及してくださいました。

「短期的には替えが効くが長期的には替えが効かない」という言葉は、
「替えが効く」と言うと実際には替えが効かない存在だから採用しているわけだしややもすると傷つけてしまうし、
かといって「替えが効かない」と言うと休んでもらえないのではないし、
ということで一生懸命考えた言葉なので、良い言葉と褒めてもらえて、とっても嬉しいです。


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