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雇用?業務委託?

次稿で産休・育休についてお話ししようと記事を書いていたところ、契約形態についてまだ投稿していないことに気が付きました。

ということで、今回は勤務弁護士との契約内容についてお話しします。

アルシエンの勤務弁護士は業務委託契約です

アルシエンでは勤務弁護士と業務委託契約を締結しています。
なので正確には「勤務」弁護士ではないのですが、イソ弁というとカジュアルですし、アソシエイトというほどかっちりした事務所でもないので、便宜的に勤務弁護士という言葉を用いています。
※事務所内では主にイソ弁という言葉を使っています。

業務委託契約については書面で締結しています。

希望した内定者には内定受諾の前に業務委託契約書ひな形を事前にお渡しして内容の確認もしてもらっています。

その勤務弁護士に仕事をお頼みするパートナー弁護士各々と契約をしてもらうので、パートナー4人の仕事をするのであれば4人と業務委託契約を締結します。

時間的な制約はありません

業務委託契約ですので就業時間という概念はありません。
自由出所、自由退所です。
休みも自由です。土日休む人が多いですが、起案が重なってる時は土日に仕事して平日来ないという先生もいます。
不在なのか事務所に来るかが分からないと事務局の電話対応に支障があるのでスケジュールに不在とだけは入れてもらっています。

ただ、勤務弁護士にとって当面の最大のクライアントはパートナー弁護士なので、パートナー弁護士から仕事の受注が請けやすい、コミュニケーションが取りやすいという時間帯に在所している先生が大半です。大体10時前後に来る先生が多いです。

個人事件について

業務委託契約なので職務専念義務はありません。当たり前といえば当たり前ですが、個人事件も自由です。

個人事件に関する覚書という覚書を交して、パートナーフィー(負担金)の取決めをしています。

※法テラス、国選弁護、弁護士費用20万円以下の案件(顧問契約を含む)についてはパートナーフィーはもらいませんので、最初のうちはほとんど発生しません。

会務や派閥活動

東京には3つの弁護士会がありますが、どこの弁護士会に所属するかも自由です。私、清水、木村の3人は東弁ですが東弁に入る必要もありません。
一弁も3人います。新卒で一弁に入った弁護士も2人おり、最初からどこの弁護士会に入るかも自由です。

委員会活動も自由です。
やってもよいですし、やらないでもよいです。
私は委員会活動はしています。個人的には、誰かがやらないと弁護士会の活動は回らないですし、委員会活動をすると事務所外でのつながりもできますので、興味ある委員会に入ってもよいのではないかと思いますが、特に勧めたりもしていません。

東京の弁護士会には派閥もあるのですが、派閥に入るかどうか入るとしてどこに入るかも自由です。

弁護士会費の負担

申し訳ないのですが弁護士会費はご自身で負担してもらっています。
これは顧問税理士の指導でして、業務委託契約であれば弁護士会費は自身の業務に必要な経費なので自身で負担しなければおかしいとのことで、そのようにしています。

業務委託契約にしている理由①
法人でない複数パートナーなので難しい

まず形式的な理由ですがアルシエンは弁護士法人ではなく経費共同型合同事務所です。
アルシエンの勤務弁護士は複数のパートナーの仕事をする関係上、もし雇用契約となると複数のパートナー弁護士と雇用契約しなければならなくなります。
しかし、業務は同時並行で行いますので事実上誰の仕事をどのくらいの時間行なっているかの管理をすることができません。

勤怠管理ができないのであれば、雇用的な要素を徹底的に排除して業務委託契約にしまった方が法的にはクリアになるではないかと考えています。

業務委託契約にしている理由②
業務委託の方が気ままに働ける

次は実質的な理由です。こちらの方が重要です。

アルシエンでは勤務弁護士も1人の専門家として扱っており、指揮監督関係が生じるとは考えていません。依頼者から依頼された案件をプロ同士が一緒になって解決をするという関係と捉えています。
※詳しくはなんで事務所内でも先生って呼ぶの?をご参照ください。

法律の専門家としての業務をお願いするためにアルシエンに入所してもらいますので、勤務弁護士に事務所運営上の業務をしてもらうことは原則としてありません。事務所の運営上の業務はパートナー弁護士とその従業員である事務局が全て分担しています。

勤務弁護士のデスクの電話は鳴らないのでよほどのことがない限り電話は取る必要ありません。
事務作業は弁護士業務を行う上で大切な業務ではありますが、コピーや宛名書きなどの弁護士でなくてもできる作業をお願いすることも、よほどのことがない限りありません。

このように勤務弁護士の先生には案件処理のための業務のみをお頼みしており、それ以外のことをしてもらうことは基本的にはありません。

複数のパートナーの先生の案件をお願いするという性質上、締切が近い重い起案があると他の先生の仕事が請けられないこともあります。そのような場合、××先生の案件があるので今は難しいですということも可能です。

私たちは弁護士の自由に働けるという部分がとても大好きです。

なので、雇用契約にして職務専念義務を課したり、指揮監督に服させて案件の拒否を認めないというよりも、事務所事件を通じて弁護士としてのスキルを身に付けつつ、事務所事件の案件処理以外の業務はせずに自由な時間を確保して、個人事件や自分の将来のための種蒔きをするという方が気ままでよいのではないかと考えています。

自分に合ったスタイルの事務所を選べばよい

上記の考えは私たちの考え方であって、もちろん、それぞれの事務所、それぞれの弁護士によって考え方は異なります。

弁護士が選べるキャリアは様々です。

雇用が良いという方は雇用契約の事務所や企業に勤めればよいわけですし、それよりも自由が良いという方は弊事務所のような業務委託の事務所に入ればよいだけだと思います。

雇用のミスマッチによる早期退所をしてもらいたくないので、働き方についても事前に赤裸々にお伝えするようにしています。

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