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医師はテロリスト 02 医師は看護師とコミュニケーションが取れない

前話01はこちら↓

では、医師がなぜテロリストになってしまうのか。現場の状態から見ていきましょう。

そもそも医師が院内感染を起こす現場である病院や有床診療所(厳密には20床を境に名称が変わるが、以下病院とする)で働いているのは、医師だけではない。患者を看護する看護師・准看護師のほか、X線やCT撮影を行う診療放射線技師、その他各種検査を行う臨床検査技師、調剤を行う薬剤師、視力検査を行う視能訓練士、様々なリハビリを行う理学療法士・作業療法士、ECMOなどの機器を操る臨床工学技士、病院食のバランスを管理する管理栄養士など、さまざまな職種の方たちが働いています。

が、これらの職種が患者に対し様々な処置を行うには、医師の指示が欠かせません。このためどの職種がどのような仕事をしているか把握し適切な指示を出せるように、医学生の病院実習のカリキュラムの中に最低数日ずつこれらの職種について学ぶ機会が設けられています。

しかし例外が2つあります。上に挙げた職種のうち看護師や薬剤師は医師の指示に意見を出し訂正させることができる権限があります(厳密には他職種にもあるのだが、使うことはほぼない)。これは薬剤師は医薬分業に原則に基づき医師とは完全に独立した立場であること、看護師は医師と比べ患者と接する時間が多いことから患者のことを把握しているためです。ちなみに病棟は看護師の統治下に置かれています。

このため、医学生の実習では看護師や薬剤師に関する実習はほぼありません(お情け程度に基礎医学としての薬理実習はあったが)。つまり医学生は看護師や薬剤師が一体どのような仕事をしているのか知らないまま医師になるのです

ただ、医師になりはじめの初期研修2年+後期研修3年の間は外来を持たせてくれないので(後期3年間は入院歴のある受け持ち患者の外来は診ることはあるが、新規患者はまず診ない)、医師になって最初5年間は病棟が主戦場です。病棟に行けば当然多くの看護師たちとともに仕事をすることになりますが、同じ空間にいるにもかかわらず全く別の作業を行っており、かつお互い会話をしようとすら思いません。ある意味医師と看護師は互いに素なのです

ちなみに医師は男女比7:3、看護師は男女比1:9ですが、同性同士で群れているわけではなく完全に医師や看護師の職種で群れています。

ただ病棟にいる医療従事者は圧倒的に看護師の方が多いので、病棟は看護師の支配下におかれています。看護師から見たら医師の回診・問診は医師が好き勝手にやってきて病棟を荒らしたと思っている人も実際多いです(ただ実情は医師側にだって半分くらいは事情はある。もう半分は本当に好き勝手来ているからあながち間違いでもないのだけれど)。

そんなもんで手指消毒をしましょうなどの患者を診る際の注意点が医師と看護師で情報共有することなんてないのです

解決策の1つとして、医師が看護師のすることを把握しコミュニケーションをとるようにするために、医学生の病院実習72週間及び初期研修医106週間のうち4週間ずつは病棟看護実習を入れた方がいいと思う。そうでもしないと医師は延々とのれんに腕押し状態どころか感染拡大をするテロリストのままだし、大病院からの看護師の大量離職は止まらないだろうね。

次回はでは看護師とコミュニケーションを取れない医師は病棟の患者をどのように診ているのか綴ります。



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