見出し画像

コクリって誰?

 歳をとってくると20年前に起こった事でも、つい、この間のような気がする今日このごろ・・・年月と記憶のギャップを意識してしまう。
 ふと、もうそんな前だったかな、っとネットで検索すると17年も前の事だった。
 日差しの眩しい日だったように覚えている。
 隣の隣のおっさんが、近くで映画の撮影があると教えてくれた。
 「なんちゅう映画ですのん?」と尋ねたら、
 「わしもさっき聞いたんやけど、覚えられへん。ほんでも、人気もんが出てるらしいわ。」と応えるもんで、それは誰かと尋ねると、おっさんは自信満々に、言いきった。
 「おぅ、コクリシュンや!」と、私はすぐさま「オグリシュンと違うん?」
 「イヤっ!コクリシュンや!って聞いてんけどな・・・」と、しりつぼみトーンになって、「まぁ、たいした映画とチャウやろうから、」と付け足した。
 とりあえず、近くだったので観に行った。コクリシュンって・・・
 現場は、シークレットロケだったのか、それとも、本当にコクリシュンというパロディ俳優が主演なのか、見物人は少なく結構近くで観覧できた。
 晴天にも関わらず、結構な数のキャスト達が黒い傘をさして、黒い学ランを着て、スタッフ達がホースで散水して、このいかにもヤンキー映画の雨のシーンのようだ。
 シーンが始まってすぐに全員が傘を放り投げた瞬間、その集団の先頭ですごいオーラを放っている背の高い一際目立つ俳優が眩しい。
 パロディではない。本物の◆小栗旬◆がすぐ近くにいる。やっぱりカッコイイ。気付けば、見物に来たお婆ちゃんが近距離斜め後ろ右に来て、質問してきた。「けったいな格好してますなー、誰ぞ有名な俳優さんでも来てますノン。」と、
私は思わず、「コクリシュンや!」と言ってしまったが、お婆ちゃんは「ほーっそうでっか、❲こくりしゅんや❳ ねー、ほーっ」っと頷きながら帰っていった。
 また、間違った情報が伝わってしまった。 
 「伝言ゲーム」って難しいと思いながら帰路についた。
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?