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【実録】スタートアップのメンタルケア

ロジクラBizteXにてCSOをしています武末(@takesue1011)です。

3年前の夏、私は大好きだった会社をメンタル面での問題によって、離れることになりました。

創業期に参画して大好きだったママ向けのアパレル通販の事業で、M&Aされて親会社ができても、一生この事業に携わっていくと信じて疑わなかった会社でした。そんな自分をある日突然、メンタル面での問題がものすごい勢いで襲いました。

会社に行こうとするとパニック発作が起き、初期的に処方された薬を飲むと薬効が切れた際のぶり返しで苦しみ、COOであるという役職が影響して誰にも相談できず、ただただ悪化する状況と日々強まる絶望の中で、ボロボロになって会社を去りました。

経験して気づいたことは、スタートアップに関わる人々は信じられないほどメンタル面での問題を抱えている人が多く、その多くが誰にも適切な相談をできず人知れず苦しみ去っていっているという状況でした。特にCXOや創業メンバーでこうした状況にあることは多く、私に個人的に相談してくれる人も非常に多くいました。

コロナショックがもたらしたもの

そしていま、スタートアップはコロナショックの渦中にあります。とかくスタートアップへの事業面での影響ばかりがフォーカスされますが、私は実体験として、WFHが日常化し、他者とのかかわりが希薄になっているこの状況は、残念ながらメンタル面での問題を抱える人を増やす傾向にあると思います。5月以降、以下のようなアンケート結果も多く取り上げられるようになってきました。

テレワーク拡大も6割が「従業員のストレス増加」企業はメンタルケアが課題 | Business Insider Japan

こうした状況を踏まえ、スタートアップにおけるメンタルケアについて、その傾向と対策を、私や複数のスタートアップ経営者、従事者の方々の実体験を踏まえて、お話したいと思います。メンタル面の問題は、どんな人にとってもすぐとなりに実は潜んでいる問題です。問題と対策が本来は身近にあるべきにも関わらず、人々はいつも独りでもがき苦しみ、誰にも相談できず状況を悪化させていっています。私は経験者であるからこそ、この記事を通してそういった人々に寄り添いたいと思います。この記事が、スタートアップに携わる多くの人々にとってはもちろんのこと、広く世の中の全てのビジネスパーソンにとっても、よりどころになるものになれば幸いです。

メンタルケアの体系

まずはじめにお話したいのは、メンタルケアは症状によって原因も対策も大きく異なりますが、症状にかかわらず、対策の体系は大きくは変わらないということです。(私と複数の知人で症状はそれぞれ違いますが、基本的な対策の体系は変わらないと感じています)対策の体系とは、

1. 兆候をつかむ
2. 初期的なケアをする
3. 根本的なケアをする
4. 再発を防ぐ

今回の記事ではこの全てについてお話をしたいと思いますが、1と2が非常に重要なため、そちらについては特に重点的にお話したいと思います。なぜならば、メンタルは一度大きく崩してしまうと、冷静な対応が難しく、回復にも非常に長い時間がかかる場合が多いからです。何よりも、一度大きく崩してしまったものを再構築するプロセスはあまりにも辛く、そういった人々を可能な限りなくしたいという私の想いもあります。

1. 兆候を掴む

メンタルの不調について、それに気づくための方法は非常に多くあります。

ひどくなる前に気づいて予防 うつ病 | 睡眠・休息・メンタルケア | サワイ健康推進課
うつ病、うつ状態セルフチェック|うつ病、うつ状態|MSD

各製薬会社の参考記事もありますが、メンタルが不調と思われる場合、こういった記事にしたがってセルフチェックしてみて、自分が精神疾患を抱えていると特定されてしまったらどうしようとなる人がほとんどだと思います。私自身も全く同じ気持ちをいだきました。

一方で、不調の兆候を掴むことは誰しもが求めていることかと思います。結論として、兆候を掴むために無理なくやれるチェックは以下です。

A. 作業スピードが普段より落ちてないか?
B. mtgを重ねると普段より疲れる気がしないか?
C. 乗り気にならないことが多くないか?

Aは集中力の低下を、Bはコミュニケーションの難化を、Cは気力の低下をそれぞれ示しており、初期的な症状として把握しやすい特徴があります。また、A、B、Cは、それぞれ、単独・対人・行動といった日々の活動を類型化し捉えているため、3つのポイントで早期に兆候を掴むことができます。

そして、最も大切なことは、普段からチェックポイントを念頭におき、不調になってから急にチェックをしないことです。繰り返しになりますが、不調になってから急にチェックをせざるを得ない状況は、極力避けないといけません。普段から上記の兆候を念頭に活動していれば、兆候に無理なくいち早く気づくことができ、対策も取りやすいです。

2. 初期的なケアをする

上記のような兆候を掴んだ上で、初期的なケアとしてどういったことができるのかをお話したいと思います。

メンタルに不調の兆候がある場合、まずは自律神経を整える方法を試してみることをおすすめします。

2-1. 自律神経を整える

兆候が現れている場合、リズムを掴み解放に向かっていることを実感することが非常にメンタル面での支えになります。そうした中で、自律神経を整える方法は、姿勢や睡眠、食事、運動、考え方等、多面的にリズムを掴むための方法がまとめられており、自身にあった継続可能な方法を見つけることができると思います。以下のような書籍は読みやすく整理されており、メンタルが不調の場合でも無理なく読むことができるので、おすすめです。

Tarzan特別編集 決定版 自律神経を整える。 (マガジンハウスムック) | マガジンハウス |本 | 通販 | Amazon
忙しいビジネスパーソンのための自律神経整え方BOOK | 原田 賢 |本 | 通販 | Amazon

大切なことは、自分に合ったリズムを掴む方法を見つけ、継続して行うことです。1週間程度継続してもなかなか回復が見込めないことも多いと思いますが、焦らず、自分に合った方法を見つけ、継続して行い続けること、また継続して行えるかも自分自身と確認しながら取り組んでいきましょう。

2-2. メディテーションを取り入れる

メディテーションと言われる瞑想も、心身をリラックスさせ集中力を高める方法としておすすめです。米国のメンタルケアスタートアップでも、Calm等のアプリが注目されていますが、コロナショックの影響でさらに注目度が増しています。

瞑想とマインドフルネスのアプリは新型コロナ禍で急成長中 | TechCrunch Japan

ちなみに私は日本語の音声で集中したいので、以下のアプリを使っています。また、瞑想には正しい方法があるため、一度本格的な瞑想方法を教わることもおすすめです。瞑想における導入スピードや集中の持続時間が断然変わってきます。(宗教色が強いようで抵抗を覚えるかもですが、全くもってそんなことはなく、正しい瞑想方法を学ぶことができます)

マインドフルネス・アプリ - みんなのための瞑想 - Google Play のアプリ
タイ瞑想

2-3. コーチングを受ける

上司や同僚、知人に相談することができれば良いのですが、的確に相談に答えてくれる人はやはり少ないというのが実情だと思います。また、精神科医に相談することも相当な抵抗感があり、私の場合は友人がたまたま精神科医でしたが、それでも相談するまでにかなり抵抗感を抱いたのを覚えています。

そうした場合に活用可能なのが、コーチングです。私がコーチに依頼していた時はエグゼクティブコーチングがメインで非常に費用も含めハードルが高かったですが、いまは最近話題のcotree含め、様々なサービスが登場しています。

オンラインカウンセリングは日本最大級の「cotree」
エール株式会社
mento(メント)| パーソナル・コーチングサービス

コーチには相性が重要なため、最初から相性の良いコーチに出会えるとは限りませんが、相性の良いコーチと定期的なメンタリングを設けることで、自身の状況を整理し、客観的に自分自身について把握したり、メンタルケアを進めるマイルストーンとして活用できるかと思います。

但し、気をつけなければいけないのは、コーチはメンタルケアの専門家ではないので、あくまで兆候を客観的に捉えたり、メンタルケアを進めるマイルストーンとして能動的に活用することを忘れないようにしましょう。

2-4. 外部環境を変える

メンタルの問題は、多くの場合自分自身の問題だけでなく、周囲との関係性の中で発生します。家族、上司、部下、同僚、恋人、友人等など、自分自身がどんなに気をつけていても、周囲との関係性によって、あなたの心が蝕まれていくこともあります。

スタートアップな方々は、様々なことを犠牲にしてミッションの実現のため、その事業に打ち込んでいると思います。起業家や経営陣であれば尚更であり、信じてくれたスタッフ、株主、お客様に対する責任を強く感じている人ばかりではないかと思います。

私自身も全く同じです。スタッフの雇用やキャリアを考えつつも、彼ら彼女らとの関係性に悩み、事業成長に貢献しきれていない自分に対する周囲からの目線を想像して苦しみ、そして限界へと向かっていきました。

そういった経験を通じて思うことは、周囲を変化させることは簡単なことではないということと、環境を変えれば問題はすぐに解決することもあるということ、そして何より、環境を変えてもあなたの人生は終わらないということです。

自分自身をここまで変えていくことに取り組みつつも、外部環境を変える選択肢も考えておくこと、難しいことであることは承知ですが、散々やりきった上で絶望の中で環境を変化させるよりも、快方に向かうスピードを早めることはできると思います。

3. 根本的なケアをする

初期的なケアを行ったとしても、1ヶ月以上状況が改善しない場合は、根本的なケアが必要かと思います。根本的なケアは各自の症状によって、対応策が大きく異なるので、対応策についての意見は持ち合わせていませんが、根本的なケアをどう見つけるかについてはアドバイスできるかと思います。

私自身、根本的なケア方法を見つけるまでに、実は非常に時間を要しています。私の場合は、症状がめまいや乗りもの酔いがひどいという状況からスタートした関係もあり、

①近隣の病院 × 耳鼻科

②近隣の中核医療センター × 耳鼻科

③近隣の中核医療センター × 脳神経外科

④大学病院 × 耳鼻科

⑤大学病院 × 精神科

といった形で病院を転々としてから根本的なケアに入りました。一方で、その間1-2ヶ月ほどを要しましたが、結果的に良かったと思っています。

根本的なケアをする上で大切なことは、自分がどういった原因でいまの状況になっているのかを正確に把握し、集中すべきケア方法に納得することです。初期的なケアをしてきた上で感じることは、いつになったらこの状況は回復するのかという先の見えない恐怖が心を蝕んでいくということです。こうした中で、一つ一つ原因と思われる症状を確認していくことは、その過程においては苦しみを味わいますが、結果的に納得度の高い状況になれば、根本的なケアの過程に集中でき、対策を徹底することができるようになります。

また、集中すべきケア方法を見つける過程では、自分に合う納得度の高い専門家とお付き合いすることも非常に大切です。セカンドオピニオンを得るだけの余裕がない状況かもしれませんが、できれば口コミも含め確認の上、専門家を選ぶべきですし、納得できないようであれば別の専門家に頼ることもおかしな選択ではありません。(私自身最初に相談した専門家の方と合わず、結果的に精神科医をしている学生時代の友人に相談の上、別の専門家に相談をしましたが、相対的な評価もでき、非常に良かったと思っています)

根本的なケアはどんな形であれ、改善に時間を要するため、無理なく続けられることが非常に大切です。無理なく続けられるよう、納得度の高いケア方法を焦らずに見つけて頂ければと思います。

4. 再発を防ぐ

根本的なケアを通じて、快方に向かい始めた後は、再発の不安を感じるようになります。メンタル面での問題は、残念ながら外傷のように時間が経てば確実に完治し再発しないものではありません。ある日突然、どういうことが原因か分からずに再発する可能性すら秘めています。

一方で、私自身がこの3年間自分自身と付き合ってきて学んだことは、

1. 自分に合う初期的なケア方法を徹底すれば再発は防げる
2. 兆候を常に意識し続ければ再発は防げる

ということです。初期的なケアに一つ一つ取り組んでいれば、結果的にそれはあなたの血肉となります。初期的なケアを行うことは、あなた自身を正確に把握することにつながっているからです。

ここまでくれば、習慣化が非常に重要になってきます。ぜひ習慣化にトライするためのケーススタディとして、気持ちを上げて継続して取り組んでもらえればと思います。

最期に:あなたは決して独りじゃない

ここまでお読みいただいた方は、相当この記事に興味を持って頂けたかと想います、ありがとうございます。伝えたいことはたくさんありますが、最期に2つのことを伝えたいと思います。

つまづいても、私はこうやって立ち続けている

3年前、私は確かにメンタル面での問題で大好きな会社を去りました。絶望の中、妻子もおり一生再起できるかも不安な状況だったのをよく覚えています。そして、3年の年月が経って思うことは、「人の苦しみがわかることが、これほどにも財産になるのだな」ということです。

あまりにも辛くて不安で、そんな中でも一つ一つ乗り越えるプロセスは、間違いなくあなた自身を強く優しくします。私はこうやって2つのスタートアップでCSOをしていますし、自分とスタッフのメンタルケアを日々神経を張り巡らしながら的確に行っています。きっとあなたも乗り越えることができるし、乗り越えた先には大きな進化が待っていると思います。

あなたは決して独りじゃない、独りにさせない

私は誰にも相談できず、唯一コーチングだけは偶然受けましたが、かなり悪化した状況に自分を追い込んでしまいました。

多くの人が後から「もっと相談してくれればよかった」「なんで相談しなかったんだ」と言ってくれましたが、当時の自分にはどうしてもそれが出来ませんでした。ただ、この3年間で、スタートアップを取り巻く環境は大きく変わりました。私自身こういった記事を公開できる風潮が生まれていると感じますし、コーチングやメディテーションの重要性は年々高まっています。あなたは決して独りじゃないし、あなたを独りにさせないためのサポートをしたい人は世の中にたくさんいます。そういったサービスを活用し、自分自身を孤立させないことを大切にしてほしいと思います。

最期に、私で良ければいつでも相談に乗りますので、twitterでも何でも、気軽にご相談ください。自分の経験が誰かの役に立つなら、いつでも喜んでお話を伺いたいと思います。

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