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「アフターコロナにおける中国の金融規制緩和」

2020年4月1日、当時の新型コロナ一色のニュースの中であまり話題になっていないが、中国ではこっそりと金融事業の外資参入の規制を緩和した。

外資100%で中国進出ができる

今までは中国と合弁でしか認められなかった金融事業(証券や資産運用等)が、外資100%で中国進出ができるようになった。

もちろん規定上は日本独資100%でも可能である。

勿論、実際にはある程度中国資本を入れた展開が現実的であるものの、中国全体に対して主体的に事業を行うことや、中国の投資家や資産家へ絞り込んだ金融商品の展開もより柔軟に可能になっていく。

アメリカの大手金融事業者は緩和と同時に動き出し

この開放を受けてアメリカの大手金融事業者は緩和と同時に動き出し、日本の一部の大手金融事業者もそれに追随している。

中国側に主導権を握られた合弁事業に頼らざるを得ない部分が開放されたので、あくまでも自社の商品が優れているという前提だが、中小の金融事業者でも中国市場に自社由来の商品を展開しやすくなった。

「規則」と「運用」の乖離に注意

ただし、そうは言うものの日本市場と全く同じ感覚で事業展開することは容易ではないだろう。

そもそも「規則」と「運用」の間に乖離が多々ある国だ。

規則通りに申請をしたとしても、認可に至らなかったり、幸いにも運用段階に進めたとしても想定外のハードルがたくさん現れ、苦汁を飲んでいる海外企業は多い。

特に国策の影響が大きい通信業種にその乖離は多くみられる。

今回の緩和は、2019年が終わるころに合意された、貿易に関する米中の「第1段階」

なお、今回の緩和は、2019年が終わるころに合意された、貿易に関する米中の「第1段階」に基づくものだ。

実際に緩和が実施された2020年4月1日といえば、アメリカで新型コロナが拡大一辺倒である最中だ。

つまり、中国が敢えてそのタイミングで、アメリカに譲歩を引き出したとアピールをされない形で、緩和に踏み切ったという見方もある。

世界的に新型コロナが収束するにつれ、中国が世界から厳しい追及を浴びせられるのは十分に想定出来るが、中国としては、国内の封じ込めによる早期回復、感染拡大国へ支援に回ったこと、そして今回のような緩和を踏み切ったことなど、最大限、新型コロナを利用するものと思われる。

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