規格外野菜の活用でフードロス削減を謳う事業を作ろうとするすべての担当者に届け【前編(そもそも論)】
まず問おう。
なぜフードロスをなくさないといけないと、あなたは思っているのか。
誰(何)のために、あなたはフードロスをなくそうとしているのか。
会社のCSR活動で上からの命令で...!
SDGsに掲げられてるし!
食べられるのに捨てられるなんてもったいないし!
とかって答えが出てくるぐらいならその事業はやらない方がいいと思います。(急に厳しめ竹下登場)
冒頭の質問2つに明確に回答できない限り、そのフードロス削減はただのエゴです。
申し遅れました、兵庫県神戸市で八百屋のタケシタを運営しているタベモノガタリ(株) 代表の竹下友里絵と申します。
規格外野菜・フードロスみたいな文脈の中ではそれなりにメディアに出たり発信してきた方だと思います。
発信をしているとありがたいことに、こんな風に規格外野菜を活用した事業を考えているのですがどうでしょう!?的な相談をいただくことがあるのでいっそのこと一気に答えちゃおうってことでnoteを綴っています。
そもそも何が規格外と呼ばれるか知っているかい?
規格外野菜というとイメージされるのは二股の大根やひび割れたトマト、傷まみれの野菜だったりするのではないでしょうか。
たしかにこれも規格外で間違い無いのですが、私はどちらかというと「わけあり」という表現をします。
大量の雨が降って一気に水を吸ったというワケがある。土づくりがうまくいかなくて虫食いがきてしまったというワケがある。
わけあり野菜も規格外野菜という概念の中に包括されると思っていますが、じゃあ以下はどう感じますか?
例えばとある地域の梨。
黒星という表面に斑点がつく病気ですが深く剥く必要もなく普通に向いたら中身はおいしい。
しかし斑点が5個以上あると規格外。
5個未満だったら出荷して良いという決まりがあります。
とある地域のズッキーニの規格は180g未満であること。
185gだったら規格外で出荷できません。
写真で言うと右3本は規格外で出荷できず、販路がない場合廃棄せねばなりません。
そして最後にブロッコリー。
ブロッコリーの規格は直径15cm以内で上から見てまんまるか。
写真の20cm以上あるブロッコリーは規格外です。
(誰や私の顔で小さく見えるって言った人)
さあ、あなたは規格外野菜を通常価格の半値で買わせて、なんて農家を目の前に言えるだろうか?
フードロスはなぜ削減するべきなのか
「もったいない!」という精神論が通用しなくなってきた日本。
世は飽食の時代。食べ物なんて歩いて1分ごとに買うことができる。
そんな時代においてもったいないという理由だけでフードロスを社会問題と捉え、解決すべき課題だと考えるのは少々説得力にかけるかもしれない。
ここで私なりに持っている答えとしては、「生ゴミは燃やすのにとてつもないCO2を発生させる」ということです。
水分をたくさん含んでいる分燃やすのに時間がかかるためCO2もより発生してしまう。すなわち環境には絶対悪いよね、という話はできます。
あれ、規格外野菜って燃やさず畑に返すくね?
燃やさないから環境に悪くもないよね?
...さああなたは何のために規格外野菜のフードロスをなくそうと思うでしょうか。
そんな問いでこの記事は締めくくりたいと思います。
おまけ
産地で起きているフードロスは規格外品だけではありません。
写真は全部白菜が入ったコンテナ。
市場価格が超暴落して出荷すればするほど箱代で赤字だから冷蔵庫の中にとりあえず山積みにしているらしい。
消費者が野菜が安い!と喜んでいる背景ではこんなことが起きているのです。