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あなたは宙ぶらりんな存在だと医者から言われた話

先日医者から「今あなたは宙ぶらりんな存在ですよ」と言われた。
宙ぶらりんな存在とは、どこにも拠り所がなく心の内を相談できる相手がいないという状態のことだ。

元来私は人からよく相談を受けるのである。どれくらい相談をされるのかと言うと、ガールズバーに行ったらそこの女の子から「彼氏とうまくいってなくてさー」と相談を受けるくらいには相談されるやすい体質なようだ。
相談を受けるというのをうつ病になるまでは積極的にやっていた。
ところがそうしている内にだんだん自分の存在が薄れていくような感覚になった。
相談をしてくる相手というのは、私の話には興味がないのである。もっといえば私に興味がない。
ひとしきり私に愚痴をいった後は、「あーすっきりした」と言わんばかりに去っていく。
結局彼らにとって私は都合のいい人間だったのだ。そこから話を発展させようなんて気はなく、私の考えとかにも興味がなかったんだということに最近気づいた。
ようは、私は大切に扱われていなかったのである。

そんな私の特徴を知っている主治医が言う「宙ぶらりんな存在」。
私にも拠り所になる人を探すときが来た。私に興味を持って話を聞いてくれる人を探すときが来た、とそういうことらしい。

だが、これが難しい。
散々人の相談に乗ってきた私。
今度は人に相談をするやり方がわからない。

いったい何を話せばいいのかわからない。
愚痴とか心の内を話すやり方がわからないのである。

私は仕事の相談は得意なのである。
「こういうプロジェクトを考えてまして、今のところここが原因で実現が難しそうなんですけどどうでしょう?」みたいな相談は今ままで散々してきた。
その度に上司や仲間から「じゃあ、そこはこうしよう」と提案され形になってきた。

だが、心の内を吐露するというのが難しい。
そもそも私に興味のある人がいないのではないか。
だとしたら、私の心の内にも興味がないのではないかとそんなことを思ってしまう。

というわけで、34歳にもなってしばらく私は宙ぶらりんな存在として生きなければいけないようだ。
それが楽しいかというと全然楽しくない。
宙ぶらりんとはまさに幽霊のように浮遊している感覚だもの。ちょっと自分が気持ち悪い。

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