🎵脳内　おもひで　音楽祭🎵・・・♪３曲目♪（2023年11月29日）

♪　３曲目　♪
【　いきものがかり ／　風が吹いている　】　

私は昔から漫画にしても、映画にしても、曲にしても、一度気に入るとかなりの頻度で繰り返す傾向があります。漫画の場合は何度も読み返すので、吹き出しのセリフを一字一句間違えることがないくらいインプットされます。映画の場合はじっくり観続けるわけではないのですが、毎日何か他の作業をしている間に映画を流し続けるので、自然とストーリーが頭の中に入っている状態になります。曲の場合だとその1曲のリピートにして聴き続けますが、映画と同じようにしっかり聴くというよりは、どんな作業をしているときでもその曲がBGMでひたすら流すため、その曲を繰り返している時期に取り組んでいた活動との結びつきが恐ろしく強固なものになります。

私に限らず、繰り返し聴いた曲とその時期の活動との結びつきが強くなることはあると思います。そしてその曲を聞くと、それまで記憶の奥に押し込められていた当時の思い出が一気に噴き出してきます。中学や高校の時まではラジオばかり聴いていたので、他の人と同じように、当時の流行歌とその頃の出来事が結びついていたような気がします。

しかし大学生以降になると、流行歌ではないものを繰り返し聴くことが多くなり、他の人からするとどうしてその曲とその時期の思い出とが結びついているのだろうと思われることが増えました。

今回はどこかでその曲が聞こえてきて、それと結びついた思い出が出てきたという流れではなく、現在は使っていない先代のノートPCのデスクトップに保存されていた動画を見たときに懐かしさが溢れてきたのでした。

その曲は「いきものがかり」の『風が吹いている』です。この曲がリリースされたのは2012年ですが、結びついている出来事は2017年なので、流行歌ではありません。2017年というと私がシンガポール第2期でシンガポール日本人学校中学部（ジャパ中）に赴任したときです。そのとき職場あるあるの一つとして、年度の初めのところで自己紹介と何らかのパフォーマンスが組み合わせられるようなイベントがありますが、ジャパ中ではそれが2度あったのです。1度目は、4月に赴任してすぐにジャパ中の教員やローカルのスタッフさんたちに対して、新任教員が一人ずつ自己紹介とパフォーマンスを披露するもので、2度目は5月頃、ジャパ中・チャンギ小学校・クレメンティ小学校というシンガポールの日本人学校合同の集まりがあり、そこで各校ごとに新任教員のグループが自己紹介を含めてパフォーマンスを披露するというものでした。

ジャパ中だけでのパフォーマンスは軽いものなのでいいのですが、3校合同の集まりの方が参加人数も多く、日本人会の大きな会場のステージで披露するためかなりのプレッシャーでした。去年や一昨年の様子などを先輩の教員が丁寧に教えてくれるのですが、そもそもこういったイベントに前向きではない私は、そんな悪しき風習があること自体に憤りを覚えていたのです。

しかし実際には存在しない都合をつけて欠席したり、当日体調不良を訴えて休んだりというのは、その偽りを知っているもう一人の自分から、幼さ・情けなさ・自意識過剰など心当たりのある自分の欠点を持ち出して非難されることは分かっていたので、どうせ参加するならば、誰かの提案した企画内容にその他大勢として受動的に関わるのではなく、むしろ企画内容を提案する側になってパフォーマンスを作り上げてしまおうと腹をくくったのでした。

そして同期教員とも意見交換をし、自分のアイデアを盛り込みながら、当時3年後の開催が予定されていた東京オリンピック2020の紹介動画のパロディを制作することにしたのです。動画制作を選んだのは、事前にパフォーマンス自体が終わっているので当日を迎えるときのストレスが少なくて済むというのが最大の理由です。本物の紹介動画の中では様々な競技が紹介されていたので、同期教員で分担しその競技のパロディを演じてもらいました。

基本線としては本物の紹介動画が流れていくのですが、それぞれの競技のところにパロディの演技を差し込み、そのときのＢＧＭとして『風が吹いている』を使用したのでした。なぜこの曲にしたかというと、以前にアメトークで芸人が何かのチャレンジをするときのＢＧＭでこの曲が流れていたのが頭をよぎり、そんなイメージでパロディの演技を本物の紹介動画の途中に差し込んでいこうと考えたからでした。

当然私も演技しましたが、私はフェンシングのパロディで、フォークを持って、シンガポールっぽさのあるフルーツを誰かに投げてもらい突き刺すチャレンジをしました。このパロディの撮影のためにゴールデンウィークの数日を使って、休校中のジャパ中に集まることとなりました。せっかくの連休なのにそれはおかしいという意見が出てくるのではと思いましたが、皆さん人間ができていらっしゃったので、前向きに撮影に参加していただけましたし、その活動によって同期教員の結束みたいなものもできた気がしました。

その後、私や他のＰＣ作業が得意な若手教員で、撮影した素材を編集することとなり、この『風が吹いている』が何度も何度も流れてくるので、ジャパ中の5月頃とこの曲は強固に結びついて、私の脳裏に焼き付いています。久しぶりにそのときの動画を最初から最後まで見ましたが、とても懐かしかったです。当時私は40歳目前でしたが、制作過程での同期教員とのやりとりは学生時代の学園祭などに取り組んでいるような感じで楽しかったですね。

本物の動画では最後に当時首相だった故・安倍晋三さんがマリオの帽子を被って登場するのですが、私たちと同じタイミングで校長が赴任されていたので、校長にはラストのマリオを演じていただき、盛り上がりを助けていただけました。さらに動画のあとにメイキングとしてＮＧシーンなども編集してつけておいたのですが、本編よりも受けが良かった気がします。

まあこうして綴ると良い思い出のようになりますが、構造上は何らかの芸を半強制的に要求されているブラックな話なので、終わり良ければ総て良しという捉え方はしておりません。それならば翌年にこのような悪しき風習を止めるような働きかけをしたのかというとそれはできていないので、口先だけで情けない気持ちでした。コロナも収束したので、いろいろな職場でこういった悪しき自己紹介は再会しているのでしょうかね。それともコロナを機に無くなっているのでしょうか。

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