『ファートンいきもの記』【15】
今日の「いきもの」は≪リハーSARU≫である。
奴らはネパールの首都カトマンズにある寺院のスワヤンブーナートを拠点に活動している。あまりに奴らの数が多いので、寺院の正式名称よりも「Monkey Temple」として知られている。奴らは武道の中でも柔道に思い入れが強く、いつも乱取りをしている。おそらく柔道の試合本番に向けて、イメージを固めるために、稽古を繰り返しているのだろう。とにかく至るところで乱取りが行われており、柔道大国日本の地位がネパールの奴らに脅かされる日もそう遠くはないかもしれない。そのような自分に厳しく稽古を繰り返す姿は、中国の兵法書『三略』に基づいていて、「己を舎てて人を教うるは逆なり。己を正しうして人を化するは順なり」の一節が示すように、まずは自分自身が襟を正して真面目に取り組むことで、はじめて他者に何かを伝えることができるのである。奴らは武道を極めんとする者として、技の前に心を鍛えているのだろう。
奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「背負い投げ」である。(以下に動画も掲載)
柔道の技はそれぞれに趣があるが、素人目にも分かる大技として、「背負い投げ」があり、奴らはその大技を試合本番でも成功させるために稽古に余念がない。そして「背負い投げ」は先ほど紹介した『三略』の有名な一節「柔能く剛を制し、弱能く強を制す」を体現させた象徴的な技の一つと考えられ、奴らはそれほど大柄ではないが、力ではなくタイミングによって、大きな相手も投げ飛ばすことができるのである。このような日々の積み重ねが、試合本番での平常心につながるのだろう。奴らの直向きに努力を積み重ねる姿勢は尊敬に値する。
#サル #ネパール # MonkeyTemple #三略 # Swayambhunath
#柔よく剛を制す
(以下で今日の「いきもの」をスライドにて紹介)
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